TikTokがGoogleを抜き、今年最も人気のあるサイトに(2021/12/23)
コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)やウェブセキュリティを提供しているアメリカの会社Cloudflareによると、今年、中国のTikTokが米Googleを抜いて世界で最も人気のあるサイトに耀いた。また、最も人気のあるソーシャルメディアウェブサイトとしてFacebookを抜いたという。
米
『NBCニュース』によると、昨年はCloudflareのリストで「7位か8位にしか入っていなかった」TikTokが、いつの間にか首位の座を獲得した。同社は、2020年9月に開始したツール「Cloudflare Radar」を使ってデータを追跡しているという。つまり、昨年のデータは9月から12月までしか網羅していないが、2021年は通年で網羅している。
Cloudfareは、1年を振り返るブログ記事で「TikTokが1日だけトップを取ったのは2021年2月17日のことだった。...
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『NBCニュース』によると、昨年はCloudflareのリストで「7位か8位にしか入っていなかった」TikTokが、いつの間にか首位の座を獲得した。同社は、2020年9月に開始したツール「Cloudflare Radar」を使ってデータを追跡しているという。つまり、昨年のデータは9月から12月までしか網羅していないが、2021年は通年で網羅している。
Cloudfareは、1年を振り返るブログ記事で「TikTokが1日だけトップを取ったのは2021年2月17日のことだった。3月にはさらに数日、また5月にもトップになったりしたが、ほとんどの日でトップになったのは2021年8月10日以降である。Googleが1位の日もあったが、10月と11月は感謝祭(11月25日)とブラックフライデー(11月26日)を含め、ほとんどTikTokだった。」と書いている。Googleに次いで、Facebook、Microsoft、Apple、Amazon、Netflix、YouTube、Twitter、What’s Appの順でランクインしているという。
また、Cloudfareは「パンデミック2年目にして、ソーシャルメディアドメインが引き続きランキングの上位を占めた」ことを述べた上で、 TikTokが2021年に最も人気のあるソーシャルメディアウェブサイトとしてFacebookを追い越したことも明らかにした。
米『ビジネス・インサイダー』によると、TikTokは、正式名称ByteDanceと呼ばれる中国企業が所有し、2018年8月に別の人気アプリMusical.lyと合併し、世界中で利用できるようになった。インターネットインフルエンサーたちは、ユーザーが7秒の動画を投稿できる人気アプリ「Vine」が2017年にサービスを終了した後、Musical.lyに目を向けていた。そうした中、TikTokとMusical.lyがサービスを統合したことで、アプリの人気が飛躍的に上昇したという。
TikTokは、これまで主に10代の若者向けのプラットフォームと考えられていたアプリだが、パンデミックの間に、あらゆる年齢層の人々が殺到したことで人気アプリになった。15歳から25歳の間では利用率が180%も伸びた。新型コロナウイルスの影響が世界の人々に及び始めた2020年第1四半期、TikTokは世界で3億1500万のダウンロードを記録している。
米調査会社Sensor Towerは今年7月、TikTokが30億回以上ダウンロードされていることを確認した。これは、Facebookに並ぶ記録であり、アプリは今やブランドが自社製品を販売するための有力な場所となっている。
『ビジネス・インサイダー』は、「TikTokの成功は、おそらくそのアルゴリズムにあると思われるが、同社はそれについて徹底的な秘密主義を通している」と伝えている。今月初めに流出した文書によると、このアプリはユーザーが飽きないように、ホームページ(有名なFor Youページ)を意図的に多様化させているという。
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アップル、取り締まりを避けるために2016年に中国と2750億ドルの契約を締結していた(2021/12/09)
米アップル社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、中国共産党政府によるビジネスに対する取り締まりを防ぐため、2016年に中国との間で2750億ドル(約31兆円)の契約を結んでいたことが報じられている。アップルは、「中国企業と一緒に成長し、相互利益とウィンウィンの状況を実現する 」ことに合意していた。
米
『ビジネス・インサイダー』によると、アップルCEOは2016年、規制強化により中国でのビジネスが阻害される中、中国政府と契約を結んだという。テクノロジー系ニュースサイト「ザ・インフォメーション」が閲覧した内部文書によると、この5年間の契約は2750億ドル以上の投資が約束されたと推定され、アップルが同国の経済に十分な貢献をしていないと考えた中国政府関係者をなだめるためのものだったという。
クックCEOは、2016年を通じて、アプリストア、アップルペイ、アイクラウドなどのサービスを脅かすような措置について、政府関係者に働きかけていたという。...
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『ビジネス・インサイダー』によると、アップルCEOは2016年、規制強化により中国でのビジネスが阻害される中、中国政府と契約を結んだという。テクノロジー系ニュースサイト「ザ・インフォメーション」が閲覧した内部文書によると、この5年間の契約は2750億ドル以上の投資が約束されたと推定され、アップルが同国の経済に十分な貢献をしていないと考えた中国政府関係者をなだめるためのものだったという。
クックCEOは、2016年を通じて、アプリストア、アップルペイ、アイクラウドなどのサービスを脅かすような措置について、政府関係者に働きかけていたという。そして、中国を訪問した際、合意書を締結した。
この合意書には、アップルが地元労働者を教育し、中国の製造業者が「最先端の製造技術」を構築できるようになることを支援するという約束が含まれていた。また、アップル製品の部品に中国製を増やすこと、中国のソフトウェア企業と取引を行うこと、中国の大学と技術協力を行うこと、そしてアップルがそれまで中国に投資していた額よりも「何十億ドルも多く」投資することが求められた。投資の一部は、中国のテクノロジー企業を対象とし、その他の投資先としては、小売店の新設や、再生可能エネルギープロジェクト、研究開発センターなどが考えられていた。
アップルは、中国の「第13次5カ年計画」に沿って、「中国企業との相互利益とウィンウィンの関係を実現するために共に成長し、中国のIT産業の発展を支援し、科学、技術、教育、環境保護を促進する」ことを約束した。その見返りとして、中国は「必要な支援と援助」を提供することに合意したという。
なお、アップルはビジネスを継続するために、この取引以外でも中国政府に譲歩していたことが明らかになっている。例えば、中国国家測量地図局は2015年初めに、中国と日本が領有権を主張する尖閣諸島を、地図を拡大していない状態でも大きく見えるようにするようアップルマップに指示し、規制当局はアップルが従わなければアップルウォッチの承認を拒否すると圧力をかけた。アップル社は最終的にこの要求を受け入れた。
なおアップルは、2016年には中国最大の風力発電機メーカーである新疆金風科技(ゴールドウインド)との取引を発表し、2017年にアイクラウドの運用を中国に移す計画を立て、2018年には中国でクリーンエネルギーのための3億ドル(約340億円)の投資ファンドを立ち上げ、中国本土に11の小売店を増設し、中国メーカー「Luxshare Precision Industry」をアイフォン 13の生産に参加させた。アップル社のビジネスは中国で好調に推移しており、今年9月までの12ヶ月間で香港やシンガポールなどを含む大中華圏からの収益は680億ドル(約7.7兆円)を記録し、現在ではアップル社の総売上高の約5分の1を中国が占めているという。
一方『ロイター通信』は、アップルは、中国での秘密の取引により、さらに大きな代償を払うことになるかもしれないと伝えている。市場参入と引き換えに技術移転を強要されることは、中国とその貿易相手国との間で大きな外交的摩擦となっているが、多くの経営者はビジネスを行う上でのコストとして受け入れている。マイクロソフトからボーイングまで、中国に研究開発センターを建設したり、知的財産を直接提供したりしている。しかし、その見返りが必ずしも利益をもたらすとは限らない。例えばウェスティングハウスは、契約欲しさに原子炉のノウハウを提供したが、その後、倒産してしまった。
『ロイター通信』によると、2016年、中国政府はアップルを、様々な違反行為を行っているとして標的にしていた。その結果、中国での売上が17%も減少した。中国での取り締まりが続けば、同社のサプライチェーンとグローバルな収益性が不安定になる可能性があったこともあり、合意書を締結するに至った。しかし、圧力から解放されたこと以外に、アップルがどのような利益を得たのかは不明だという。合意書に含まれていた中国の配車サービス企業ディディ・グローバルへの10億ドル(約1千億円)の投資は、けっきょく米国では上場廃止となっており、ディディのライバルである米ウーバーを中国から追い出すことに役立った可能性もある。また、アップルは、過去5年間に大中華圏で2490億ドル(約28兆円)の売上を上げているが、これは同意書で約束した投資金額よりも少ない。
そして、中国のスマートフォン市場におけるアップルのシェアは、最大ライバルであるファーウエイをスマートフォン事業から追い出したホワイトハウスの制裁の恩恵を多少受けたとはいえ、2016年からほぼ横ばいで推移している。この取引を株主に隠してきたことは、クックCEOがそのことを正当化することを難しくする可能性も高い。さらには地政学的緊張の高まりも相まって、米国内での反発も大きくなることを予感させる。『ロイター通信』は、アップルは少なくとも時間を稼ぐことができたが、それだけの価値があったのかどうかは不透明である、と伝えている。
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