米フォード・モーターは1月3日メキシコで建設を予定していた小型車生産の新工場の建設を取りやめて、その代わりに米ミシガン州の工場に新規投資を行い雇用を増やすと発表した。メキシコ工場建設についてはトランプ次期大統領が選挙期間中から一貫して米国の雇用を奪うものとして批判して来たが、フォードは次期大統領の意向に沿う形に方針を転換したことになる。トランプ次期大統領は個別企業の経営を直接批判して、経営方針の変更を行わせている。トランプ氏としては自分の選挙期間中の公約を実現させる方向に動いており、選挙でトランプ氏を支持した人々は評価するであろうが、このようなやり方が最終的に真に米国経済の強さを取り戻すことになるのかどうかは、今少し時間を掛けて見る必要があると思われる。
1月3日付
『ハフィントンポスト』は、「フォード、メキシコ工場計画中止 但し、トランプ氏が理由だとはせず」という見出しで、フォードが火曜日メキシコに16億ドルを掛けて工場を建設する計画を中止し、その代わりに7億ドルでミシガン州の工場を拡張し700名の新規雇用を創設すると発表したと報じた。ミシガン州の工場では、電気自動車や自動運転車を生産するほか、電気コードなしで電気自動車に充電するステーションなどの新しい技術も開発する計画である。昨年の選挙期間中トランプ氏はフォーカスの生産をメキシコに移転させることを批判し、後にはケンタッキー州の工場を閉鎖しないことでフォードを説得したと自慢したが、フォードは工場を閉鎖する計画はもともとなかった。今回の決定についてもフォードはトランプ氏の影響を否定している。ただ、記者会見でフィールズ最高経営責任者(CEO)は、トランプ次期大統領及び共和党議員が経済成長重視の政策をとる予定であることは大変助けになると賞賛した。
自動車産業ほどコスト削減のために労働組合との紛争に巻き込まれて来た産業はないとアナリストはいう。全米自動車労組(UAW)は、今回のフォードの決定をこれまで米国に雇用を残すため一生懸命戦ってきた成果だという。しかし、米国の雇用に対して脅威となっているのは外国への生産移転ではなくオートメーションである。今後何十年かに亘ってロボット、人工知能、3Dプリンティングなどの技術進歩は製造業の雇用を大きく減らすであろう。昨年テスラ・モーターズのイーロン・マスク氏はその工場のロボット群を誇らしげに紹介した。昨年11月トランプ氏がメキシコ移転を取りやめさせたインディアナ州のエアコンメーカーのキャリヤーでもコスト削減のため1,600万ドルのオートメーション投資を行うと言っていると報じている。
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先月フランスで使い捨てのプラスチック製カップや皿を禁止する法律が世界で初めて制定された。同法は2020年1月に施行予定の同法は、ピクニック用食器やオフィスのドリンクサーバーにも影響する見込み。フランスでは今年7月、レジ袋が禁止された。レジ袋禁止までは他国や地域でもあるがこれだけの厳しい法は初。すべての使い捨て食器類について、部分的にコンポストで堆肥にできる生物由来の素材を使うことを義務づける。フランスは昨年、地球温暖化対策について定めた法律を制定しており、今回の法律はその追加的措置。気候変動対策で世界を主導することを目指す。同国で廃棄される使い捨てカップは年間では47億個、そのうちリサイクルされるのは1%のみ。
環境配慮の一方、欧州の食品容器メーカーなどは、同法が商品の自由移動を定めた欧州連合(EU)の法律に違反すると主張。欧州委員会に対して同法を阻止するよう要請しているという。
9月20日付米
『ハフィントンポスト』は「フランスで世界で初、プラスチック製のコップや皿を禁止、2020年実施へ」との見出しで次のように報道している。
・AP通信によると先月、フランスで世界で初めてプラスチック製食器を禁止する法律が制定された。一度切しか使用できないコップ、皿、その他食器は堆肥(コンポスト)にする必要があり、部分的に生物由来素材で生成されされていなければならないと規定。基準を満たすよう企業に与えられた猶予は2020年1月まで。
・フランスでは年間47億個のプラスチック製コップが廃棄されており、内わずか1%がリサイクル。
・新法制定に対し環境活動家らは賞賛、一方では批判の声もあり、使い捨て製品メーカーらは商品移動の自由に関する欧州連合(EU)法に抵触するとしてフランスに法的手段をとるとする。
・昨年気候変動会議を主催したフランス政府は、環境変動対策を強化、今年7月にはプラスチック製の袋を禁止していた。
同日付米
『ワシントンポスト』は以下のように報道している。
・プラスチック製食器を禁止する法律は2020年1月施行予定。生物由来成分で作られた食器は例外として許可される。
・この法律は政府の「緑化推進法のためのエネルギー遷移」の一部で、同じく7月にはスーパーでのプラスチック製の袋を禁止。プラ製袋は他国やアメリカの一部の州でも禁止されているが、プラ製品でこれほどの厳格な法は仏が初めて。製品デザインからリサイクルまでの流れで、ごみ処理「再生可能な経済」を目指すもの。
・プラスチックは、生分解不可能で極小さな破片に砕くしか方法がない。その為野生生物(特に海の生物)が食べてしまう危険がある。エコシステムの問題に加え、プラ袋や食器の製造には年間、数百万バレルの石油が使用されており、環境専門家は気候変動への重大な影響を懸念。
・仏オランド大統領は、これは世界に先駆け、温室効果ガス排出削減への手本となる法だとする。EUからは、商品移動の自由に関するEU法に抵触するという声もある。
・同法支持者は来年の実施を望んでいたが仏環境相は、低所得世帯がプラ食器に頼っているとし初期からこれを「反社会的」法だと反対、2020年実施に延期された。
9月20日付英
『インディペンデント』は「フランスのプラ製食器禁止法をヨーロッパに広げるべき」との見出しで以下の様に報道している。
・仏のプラ製食器禁止は欧州でも実施すべきである。パリのクルブヴォアの自治体カウンセラーは、プラ禁止法キャンペーンを成功に導いた立役者。「このリサイクル問題はヨーロッパ全体にある。同じ法律を制定すべき。ラテン諸国ではすべてが無限にあると考える。メンタリティを変える必要がある。」という。
9月13日付仏
『ローカルFR』は「プラスチック製のコップ禁止はピクニックや子どものパーティに影響」との見出しで次の様に報道している。
・政府が可決した再利用できないプラスチック製コップ、ナイフ、フォーク、皿を禁止する賛否両論の法は、ピクニックやパーティ好きな人々に一番影響を与える。ピクニックでは、ワインをプラ製の器から飲めず、プラ製ナイフでカマンベールチーズを切れなくなる。
・子どもの誕生会では、親は紙コップと紙皿を使用。この法は珈琲メーカーやウォーターサーバーにも適用されるため、オフィスでもマイカップ持参が必須となる。
・施行までには4年と猶予はたっぷりある。この法は生活をより複雑にするためのものでなく、環境への影響を減らすもの。環境ホルモンが人体に悪影響を与えるかを含め、飲み物の熱でコップから有害物質を排出するかの疑問は議論されてきた。
・同法が欧州に拡大するとの懸念もある。ブリュッセルの欧州食品包装協会「Pack2Go」の事務局長は、この仏法への挑戦を挑んだ。「EU法に抵触するフランス政府に法的手段をとるよう欧州委員会へ働きかけている。欧州委員会が実行しないなら我々がやる。」という。消費者に対し、「生成由来プラスチック」で出来ているから、ゴミをそこらじゅうに捨てればいい、という誤ったメッセージを送る事になる法は事態悪化を招くとする。
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