フランス陸軍省のフロランス・パルリー大臣は、「サイバー攻撃の多発と深刻化」に対応するため、2025年までに当初予定していた1100人に加え、800人近くのサイバー隊員を追加雇用する計画であることを8日に発表した。
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『ニース・マタン』紙によると、フランスには2017年から軍のサイバー部隊が設置されているが、2019-2025年の国防7年計画では、サイバー攻撃対策のために16億ユーロ(約2100億円)の予算が計上され、サイバー隊員を1100人追加採用して4000人の人員にすることが定められていた。
しかし、パルリー軍事相は、サイバー攻撃の数と深刻さが増していることから、2019年から2025年の間に採用を強化する。...
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『ニース・マタン』紙によると、フランスには2017年から軍のサイバー部隊が設置されているが、2019-2025年の国防7年計画では、サイバー攻撃対策のために16億ユーロ(約2100億円)の予算が計上され、サイバー隊員を1100人追加採用して4000人の人員にすることが定められていた。
しかし、パルリー軍事相は、サイバー攻撃の数と深刻さが増していることから、2019年から2025年の間に採用を強化する。ロシアや中国からの定期的な攻撃が確認されており、「サイバー空間における冷戦」が起こっていることが懸念されているという。
2025年には軍隊の装備総局(DGA)、フランス対外治安総局(DGSE)で5000人の人員を確保するために、「軍事省は、当初予定していた1100人に加えて770人のサイバー隊員を採用する」ことを決定したという。フランスは、「サイバーセキュリティでトップレベル」になることを目指している。
サイバー隊員の増員は、サイバー攻撃に対する防御対策にとどまらず、「軍事作戦の支援のためにサイバー兵器を使用する」ことも含まれるという。パルリー軍事相は、「我々の敵は、それが国家権力であろうと、テロリスト集団であろうと、その支援者であろうと、サイバー攻撃を実施することを躊躇していない。」と指摘している。
5000人以上のフランス兵を動員し、今後数ヶ月の間に抜本的な見直しが予定されているアフリカのサヘルでも、テロ対策のためのバルカン作戦の現場で、「最近、攻撃が増加している」という。
パルリー軍事相は、2022年前半にフランスが欧州連合理事会の議長国を務めるにあたり、27の加盟国のサイバー部隊の司令官を集めたフォーラムを1月に開催する予定だと述べた。
仏『レクスプレス』誌によると、データ盗難やランサムウェアによる攻撃は、ここ数ヶ月の間に世界的に増加しており、米国の石油パイプライン事業者、食肉加工会社、アイルランドの医療サービスのコンピュータシステム、インドの大手航空会社など、さまざまな企業や行政機関が標的となっている。また、2020年末には、米国で起きた大規模なサイバー攻撃により、マイクロソフト社の電子メールサーバーが被害を受けたほか、大企業や行政のコンピュータネットワークの管理・監督に用いられる米国企業ソーラーウインズ社のソフトウェア「Orion」が危険にさらされた。最近では、米国のIT企業であるKaseyaが、巨大なランサムウェアによるサイバー攻撃の被害に遭い、世界中の数百社の企業顧客に影響を与えた。
フランス地政学研究所の研究員であるオードゥ・ジェリー氏は、サイバー攻撃対策のための追加募集の発表は、フランス当局がサイバーリスクに対して「フランス企業の脆弱性が高まっていることを認識し、それに対して行動をとる必要があることを示している」とコメントしている。フランスは「受けて立つこと、その手段があること、そして戦略的利益を守るつもりでいること」を見せようとしているという。ただし、問題は、「採用された人材が守備隊となるのか、それとも攻撃隊となるのか」であり、後者の場合は、デジタル紛争がより激化するリスクがあると指摘している。
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