米軍、撃墜した中国偵察気球の残骸回収が荒海のため難航【米・英国メディア】(2023/02/11)
米軍は2月4日、中国製偵察気球が米領空を侵犯したとして同気球が沖に出たところを撃墜した。しかし、荒海のために、海面に浮いていた風船部分やごく少数の電子部品を除き、海中に沈んだ機材の主要部分の回収が難航している。
2月10日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙(1801年創刊)は、「国防総省、サウスカロライナ州沖に沈んだ中国偵察気球の残骸回収が荒海のため難航と発表」と題して、ごく一部の部品を除き、肝心の偵察気球主要部分の回収が難航していると引用報道している。
米空軍報道官のパット・ライダー准将(2022年就任)は2月10日の記者会見で、“荒海のため、撃墜した中国偵察気球の残骸回収に手間取っているが、回収チームは引き続き天候を見ながら回収作業に注力している”と公表した。...
全部読む
2月10日付米
『ニューヨーク・ポスト』紙(1801年創刊)は、「国防総省、サウスカロライナ州沖に沈んだ中国偵察気球の残骸回収が荒海のため難航と発表」と題して、ごく一部の部品を除き、肝心の偵察気球主要部分の回収が難航していると引用報道している。
米空軍報道官のパット・ライダー准将(2022年就任)は2月10日の記者会見で、“荒海のため、撃墜した中国偵察気球の残骸回収に手間取っているが、回収チームは引き続き天候を見ながら回収作業に注力している”と公表した。
米軍チームによる回収作業によって、一部の残骸が回収されているが、同報道官は何が回収されたのか等は明言を避けた。
関係者情報によると、気球の電子部品の主要部分は50フィート(約15メートル)の海底に沈んでいるとし、そこには中国が機密情報を得るために搭載した偵察用電子機器が含まれていると考えられるという。
同報道官は、“回収チームは主要な残骸が沈んでいる場所を特定している”とした上で、“既に回収された残骸は研究施設に搬入されていて、分析が進められている”と付言した。
国防総省は、中国の偵察気球の情報収集能力、今回の偵察で取得した情報の中身や、その他中国側偵察部隊の関連情報が得られることを期待して、当該気球の残骸回収に躍起になっている。
ただ、関係筋によると、回収及び解析作業に数年かかる可能性があるという。
なお、当該偵察気球は1月28日にアラスカ州領空に侵入したが、北米航空宇宙防衛司令部(1958年設立、米加共同運用)は軍事的脅威になると感知することに失敗していた。
同気球はその後、カナダ領空を通過した後に、米軍の重要拠点がある場所を含めて1週間程米領空上を通過していたが、2月4日についに撃墜された。
ジョー・バイデン大統領(80歳、2021年就任)は、米領土上であっても撃墜すべしと表明していたが、米軍高官から地上の市民生活を脅かす恐れがあるとして、大西洋沖に出ていくまで待つよう説得されていた。
同日付英国『デイリィ・エクスプレス』紙(1900年創刊)は、「米高官、偵察機器が含まれた中国気球残骸を捜索中とコメント」と詳報している。
米高官が2月10日、米『ABCニュース』のインタビューに答えて、サウスカロライナ州沖に沈んだ中国気球には偵察用電子機器が装着されていたと考えられるとコメントした。
同高官によると、当該装置が据えられていた台座は30フィート(約9メートル)長であるといい、目下、米海軍と沿岸警備隊組成の合同チームが回収作業に取り掛かっているという。
ただ、現地の悪天候の影響で、回収作業は少なくとも2月13日まで見合わせられることになっているという。
同回収チームは、米潜水艦キングフィッシュ(1942~1960年運用)等を模した偵察用水中ドローンやダイバーを起用して、当該偵察気球の残骸回収に当たっている。
これまで回収できたのは、一部の残骸であるが、回収後に米中東部バージニア州・クアンティコ在の米連邦捜査局(FBI、1908年設立)研究施設他に運び込まれて、解析作業が進められている。
なお、米政府は2月9日、当該中国気球には“複数のアンテナ”が付いていて、かつ、“明らかに偵察用と認められる”電子機器が装備されていたと公表している。
閉じる
ロシア;NATOによる後方支援で勢いを増すウクライナ軍を恐れてか、初めて首都モスクワで対空防衛訓練【米・ロシアメディア】(2023/01/23)
ロシアがウクライナに軍事侵攻して11ヵ月が過ぎようとしている。ロシアは短期決戦で制圧できると踏んでいたから、大変な思い違いである。そして、北大西洋条約機構(NATO、1949年設立)加盟国から、第3局面とされる戦車等実戦兵器の提供が増えるに連れて、ロシアとしても戦況拡大を懸念せざるを得ず、いよいよ首都モスクワにおける対空攻撃に備えて初めて防衛訓練を実施している。
1月21日付米」
『ニューヨーク・ポスト』紙(1801年創刊の保守系メディア)は、「ロシア、ドイツ製戦車のウクライナへの提供が協議される中、首都モスクワで対空防衛訓練実施」と題して、ドイツを含めたNATO加盟国がウクライナ軍に更なる兵器提供を実施していることから、ロシアとしても首都攻撃の可能性を懸念して、ウクライナ軍事侵攻以来初めてモスクワでの対空防衛訓練を実施したと報じている。
ロシアは1月21日、首都モスクワで初めて対空防衛訓練を実施した。...
全部読む
1月21日付米」
『ニューヨーク・ポスト』紙(1801年創刊の保守系メディア)は、「ロシア、ドイツ製戦車のウクライナへの提供が協議される中、首都モスクワで対空防衛訓練実施」と題して、ドイツを含めたNATO加盟国がウクライナ軍に更なる兵器提供を実施していることから、ロシアとしても首都攻撃の可能性を懸念して、ウクライナ軍事侵攻以来初めてモスクワでの対空防衛訓練を実施したと報じている。
ロシアは1月21日、首都モスクワで初めて対空防衛訓練を実施した。
NATO加盟国がこの程、ドイツ製最新鋭戦車のウクライナ軍への提供の可能性について討議しているのに鑑み、ウクライナ軍による首都への攻撃の恐れを懸念した表れとみられる。
ロシア国防省は、“西部軍管区(WMD、注1後記)のミサイル防衛大隊が、首都圏の重要な軍事施設及び司令部への空爆に備え、兵士150人及びS-300長距離地対空ミサイルシステムを投入して対空防衛訓練を実施した”と発表している。
ただ、訓練地については“モスクワ地区”としただけで、具体的な場所は明かしていない。
『モスクワ・タイムズ』紙(1992年創刊の独立系英字紙)によると、ロシア政府は、首都が攻撃を受けると懸念しているのかとの質問への回答を拒否したという。
ロシアが11ヵ月前にウクライナに軍事侵攻して以来、ウクライナ軍のものと思われる無人攻撃機によってロシア領土内の軍事施設が何度か攻撃され、核兵器搭載可能な爆撃機が損傷したりしていたが、これまでロシア領土内で大規模攻撃を受けたことはない。
一方、ドミトリー・メドベージェフ元大統領(57歳、2008~2012年在任、2020年ロシア安全保障会議副議長就任)は1月21日、“ウクロナチス(注2後記)や西欧諸国がロシアと戦闘しようとしている”とし、“しかし、ロシアはかつて1812年にナポレオン軍を、また1945年にはナチス・ヒトラー軍を打ち破ったように、今回も我々が勝利する”とツイートしている。
同氏はこのツイート前の1月19日、“通常戦力による核保有国の敗北は、核戦争の引き金になる可能性がある”と、欧米を牽制する脅しと取られる発言をしている。
同氏は同時に、ダボス(スイス)で開催されていた世界経済フォーラム(WEF、注3後記)に出席した多くの政財界幹部が、ロシアを打ち負かすためにもっと戦車等の武器をウクライナに送るべきだと発言していることに対して、嘲笑うコメントもしている。
なお、同氏が1月21日にツイートした前日に、ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相(55歳、2021年就任)が、ドイツ西南部のラムシュタイン米空軍基地で開催されたNATO加盟国国防相会議において、西側諸国から更にウクライナに武器を提供するよう直訴していた。
同日付ロシア『タス通信』(1902年前身設立)は、「国防省、S-300地対空ミサイルを投入してモスクワ近郊で対空防衛訓練実施と発表」と詳報している。
ロシア国防省は1月21日の公式ウェブサイト上で、S-300地対空ミサイルシステム含め30以上の武器及び150人以上の将兵を投入して、モスクワ地域における対空攻撃防衛訓練を実施したと発表した。
同省によると、同ミサイルシステムが配置された作戦地帯に将兵が集結し、装甲車編隊搭乗の仮想敵を撃退したという。
なお、今回の訓練は、モスクワ地域の重要な軍事施設・作戦本部等への攻撃を防御するために実施されたものだとする。
(注1)WMD:ロシア連邦軍の西部における軍管区。従来のモスクワ軍管区、レニングラード軍管区、北方艦隊、バルト艦隊(カリーニングラード特別区を含む)を統合して、2010年9月に発足。司令部はサンクトペテルブルクに所在。
(注2)ウクロナチス:ウクライナのナチスを意味する造語。特にロシア軍と敵対するウクライナ人を攻撃的に呼称するロシアの俗語。
(注3)WEF:経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関。1971年に経済学者クラウス・シュワブにより設立された。独立かつ非営利団体であるとされている。
閉じる
その他の最新記事