10月22日に予定された、天皇即位の礼の一連の国家行事は予定通り行われる。しかし、台風19号による大災害に鑑み、祝賀パレードは11月10日に延期されることになった。海外メディアも一斉に報道している。
10月17日付米
『ロイター通信』:「数百人の海外要人が天皇即位の礼に列席」
10月22日に行われる、徳仁天皇(59歳)の即位の礼には200ヵ国近い要人も含め2,500人余りが列席する予定である。
日本の天皇の即位礼は数百年も続く儀式で、徳仁天皇の父君である明仁上皇も、1990年に即位礼を行っており、その際、平和国家の建設並びに象徴天皇としての責務を担っていくと発言されている。
今回の即位礼を含めた新天皇即位に関わる一連の国家行事には、約161億円(1億4,800万ドル)が投じられる。
当日午後の即位礼正殿の儀(天皇が即位を国の内外に宣明する儀式)に参列した、海外要人及び国内の賓客約900人を招いて、安倍晋三首相主催の晩餐会が、当日夜にホテルニューオータニで開催される。
安倍首相は、今回の行事には、英国のチャールズ皇太子、米国のエレーン・チャオ運輸長官、中国の王岐山(ワン・チーシャン)国家副主席、サウジアラビアのモハンマド・ビン=サルマン皇太子初め、190ヵ国以上の要人が出席予定であると表明した。
そしてこの機会を捉えて、同首相は50ヵ国以上の首脳と会談する予定であるという。
一方、『朝日新聞』の10月16日付報道によれば、政府は即位の礼に鑑み、55万人を対象に恩赦(編注後記)を与えるとする。
但し、『毎日新聞』によれば、対象となるのは軽犯罪者に限られるとし、また、国家資格取得の制限(通常、5年間は医師、看護師等の免許取得禁止)はそのまま適用されるという。
なお、東日本を中心に77人の犠牲者を出した台風19号の大災害に鑑み、当日予定されていた祝賀パレードは延期されることになった。
安倍首相は、具体的日程について触れていないが、『NHK』報道によれば、代替日は11月10日だという。
同日付中国『チャイナ・デイリィ』:「日本の天皇即位の祝賀パレードが11月に延期」
当初、10月22日の即位礼正殿の儀の後、皇居から迎賓館赤坂離宮までの約5キロメーターを30分掛けて祝賀パレードを行う予定であった。
しかし、先週末に日本を襲った台風19号による甚大な被害を考慮して、日本政府は当該パレードを11月に延期することを決めた。
但し、190以上の国及び国際機関の代表が参列する即位正殿の儀、並びに当日夜に開かれる晩餐会は予定通り行われる。
なお、安倍首相は10月17日、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害に遭い、また、今回の台風でも災害に見舞われた福島県と宮城県を視察した。
また、同首相は、特定非常災害への支援金として、7億1千万円を拠出する意向だと表明した。
麻生太郎財務相によると、特定非常災害基金として5,000億円を予算化しているという。
同日付シンガポール『ストレーツ・タイムズ』紙:「安倍首相が台風の被災地訪問、一方、天皇即位の祝賀パレードは延期」
安倍首相は10月17日、台風19号の被害を受け、国内最多の28人の犠牲者を出した福島県を訪問し、被災者らを激励した。
一方、菅義偉官房長官は、10月22日に予定された天皇即位の礼の一連の国家行事のうち、祝賀パレードについては、甚大な台風被害を考慮して、延期することを決定したと表明した。
なお、予定通り開催される即位正殿の儀には、内外から総勢2,500人の賓客が参列する。
*編注:昭和天皇の大喪の儀にあわせて約1,000万人、また、平成天皇の即位の礼の際は約250万人が恩赦されている。
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シンガポール保健省は10日、砂糖を非常に多く含む飲料の広告を全面的に禁止する方針を発表した。糖尿病などを防止する健康対策の一環であり、これが実施されれば世界初の厳格な取り組みになると注目されている。
地元紙
『ストレーツ・タイムズ』のほか
『ロイター通信』や
『ブルームバーグ』などが報じた。同方針はエドウィン・トン上級国務相(保健担当)が保健関連の会議で明らかにした。対策の詳細は来年発表の予定であり、実施に1~4年を要すると見込まれている。
ストレーツ・タイムズによれば、砂糖含有量が非常に多い飲料の広告の全面禁止は、世界初の取り組みだという。同国の対策は、英国やメキシコなど他国のものよりさらに厳格である。他国では、高カロリーの食品や飲料の広告は、子どもの視聴を限定するため、テレビ放映が可能な時間を制限しているが、シンガポールの広告禁止の対象には、テレビ・ラジオ放送、印刷媒体、インターネットなど全ての地元メディアが含まれる。
トン上級国務相はまた、砂糖の含有量が極度に多い飲料ばかりでなく、砂糖が多めの商品についても、パッケージ前面にラベルを貼付し、不健康である点を警告することも義務付けると説明した。砂糖含有量の多い飲料メーカーや輸入業者への課税、そうした飲料の販売の全面禁止なども検討の対象に挙げられている。
シンガポールやマレーシアなどの東南アジア諸国は、世界で1人当たりの砂糖消費量が最も多い地域の1つであり、アジアでもシンガポールの消費量はトップクラスだ。他の先進国同様、それが糖尿病や肥満などの健康問題の深刻化につながっている。糖尿病を抱える人の割合は世界最高水準となっており、糖分の過剰摂取の抑制は喫緊の課題である。
さらにシンガポールでは、国民の高齢化が急速に進み、65歳以上の人口は、今後10年で倍増するという。トン氏は、「政府が介入しなければ、国民の急速な高齢化と慢性疾患の有病率の上昇により、保健医療制度は持続不可能で高額なものとなる。」と指摘した。
シンガポールは国民の健康増進のため、様々な政策を採用してきた。2017年には、ソフトドリンクのメーカーに対し、国内で販売される飲料の砂糖含有量を減らすよう規制を設けた。また、喫煙対策も実施しており、1970年代から公共の場所などでの禁煙を進め、その後順次実施範囲を拡大するなどしている。
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