中国王毅外相、米中関係の軌道修正を求める(2021/02/22)
中国はバイデン米政権に対し、中国製品への追加関税を早急に撤廃する等、トランプ前政権の対中強硬路線からの転換を求めている。
2月22日付
『ロイター通信』は「中国が米中関係の再建を求める」との見出しで以下のように報道している。
中国の王毅外相が22日、外務省主催のフォーラムで、アメリカと中国の関係悪化が改善されれば、気候変動やコロナ禍などの問題で両国は協力することができると述べた。トランプ元大統領のもとに二国間は冷え込んだが、中国は、米国との建設的な協議を再開する用意があるとし、米国に対して、中国製品への関税撤廃と中国の技術分野への不当な抑圧を求め、これらが協力関係の前提として必要条件だとした。...
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2月22日付
『ロイター通信』は「中国が米中関係の再建を求める」との見出しで以下のように報道している。
中国の王毅外相が22日、外務省主催のフォーラムで、アメリカと中国の関係悪化が改善されれば、気候変動やコロナ禍などの問題で両国は協力することができると述べた。トランプ元大統領のもとに二国間は冷え込んだが、中国は、米国との建設的な協議を再開する用意があるとし、米国に対して、中国製品への関税撤廃と中国の技術分野への不当な抑圧を求め、これらが協力関係の前提として必要条件だとした。
フォーラム開始前、当局は1972年、米中の卓球選手の交流から外交の道を開いた「ピンポン外交」の映像を流した。過去数年間、米国は協議を全面的に絶ったが、我々は問題解決に向けて率直な対話を行う用意があるとし、習首席とバイデン大統領の電話会談を前進との認識を示した。両国は貿易、少数民族の人権問題、インドシナ海の領有権問題などで対立してきた。
一方バイデン政権は中国に圧力をかける方針を変えないとしている。政権は、中国の「威圧的で不公正」なやり方に懸念を示し、中国が新疆で大量虐殺をしたとするトランプ元政権の認識を支持しているとしている。だがバイデン氏は、多国間的アプローチにより、気候変動や北朝鮮核問題で、中国との協調を図るとしている。
同日付中国『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「王毅外相:アメリカは関税を撤廃し技術輸出制限をなくすべき」との見出しで以下のように報道している。
中国でのフォーラムで王毅外相は22日、米中の関係は重要な局面にあり、米国は関係を改善したいなら政策を見直すべきだと述べた。米国が早急に政策を変更し、中国製品への不当な関税、中国企業、研究所への一方向の制裁、技術抑圧をやめるよう求めるとした。
また同氏は、米中関係回復の条件を挙げ、ハイレベル交渉と、コロナ対策、気候変動、経済回復での協調の必要性を再度強調した。また、米国はトランプ政権での中国メディア、教育や文化分野での活動交流への制限を解除し、教育交流を再開するべきだとした。
バイデン大統領は中国政策を打ち出してはいないが、欧州やアジアと連携し、中国との競争に備える姿勢を示している。トランプ政権は中国をライバル視し、台湾との関係強化、科学技術輸入禁止、国家安全保障問題などの対中政策を打ち出してきた。
中国はバイデン就任後、協議を求めてきたが、バイデン新政権の対中専門家からのコメントをみると、米国の強硬姿勢は継続されるとみられている。バイデン政権には、ロイド・オースティン国防長官の特別補佐官に任命され中国作業部会を率いるエリー・ラトナーがいる。バイデン副大統領時代の国家安保顧問で、昨夏に中国の知的財産権侵害やインドシナ海覇権を含む多方面の対中戦略を求めた注釈書を書いている。また、キャサリン・ヒックス国防副長官は、中国を「現代の解決すべき課題」と述べている。
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ジョー・バイデン政権の対中国政策(2021/01/22)
米国のバイデン新大統領は就任演説で、今は「軌道修正し米国を癒す時だ」と述べた。トランプ政権の高官らに制裁を課した中国に対し、閣僚候補らからは強硬な発言もみられ強行政策が転換するとは考えにくいが、より融和的な政策となると見られている。
1月21日付米国
『CNN』は「中国貿易戦争の見直しにも慎重なジョー・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
ジョー・バイデン米大統領となっても、前政権同様、中国との緊張関係が続くと見られる。熾烈な貿易戦争やIT企業への数々の制裁等、トランプ前政権は過去4年、米国最大の経済ライバルに圧力を与えてきた。更に過去数週間はビジネスや投資への追加制裁で状況が悪化したが、バイデン氏は、トランプ氏よりは予測可能で如才ない方法を取ると見られている。...
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1月21日付米国
『CNN』は「中国貿易戦争の見直しにも慎重なジョー・バイデン」との見出しで以下のように報道している。
ジョー・バイデン米大統領となっても、前政権同様、中国との緊張関係が続くと見られる。熾烈な貿易戦争やIT企業への数々の制裁等、トランプ前政権は過去4年、米国最大の経済ライバルに圧力を与えてきた。更に過去数週間はビジネスや投資への追加制裁で状況が悪化したが、バイデン氏は、トランプ氏よりは予測可能で如才ない方法を取ると見られている。
一方でアナリストはIT関連や貿易に関しては、それ程手ぬるい政策とはならないと予測、対中強行政策が転換するとは考えにくいという。中国製品への関税撤廃はバイデン政権の最優先事項とはならないと専門家は予測する。大きな同盟を利用し、見通しの効く通商政策を模索するとの見方で、バイデン政権はトランプのように欧州同盟国に攻撃するようなことはしないと考えられている。
戦略国際問題研究所(CSIS)の貿易政策の専門家で全国外国貿易評議会長を15年務めたWilliam Reinsch氏は、「時間を要するが、他の民主同盟国と連携したアプローチ方法をとる。中国との関係は無視する事は出来ない重要なものだが、急務とは考えていないだろう。」としている。
国家安全保障の脅威となるIT関連やビジネス摩擦にも対応しなくてはならない一方で、バイデンチームが国内政策に集中するとの見方もある。
米中の緊張がより悪化すると悲観的見方もある。ユーラシアグループ(コンサルタント会社)は、米中の緊張が2021年最大のリスクだとする。中国への猜疑心は高まり、バイデンは中国に抵抗するため、EU、日本、インドの協力を仰ぐだろうとする。
同日付中国『サウスチャイナ・モーニングポスト』は「米中関係:天使が悪に打ち勝ち、関係は修復へ」との見出しで以下のように報道している。
米国のバイデン新大統領は就任演説で、今は「軌道修正し米国を癒す時だ」と述べたが、中国外務省の華春瑩報道局長は、「米中関係についても同じだ。両国が努力すれば、善良な天使が邪悪な力に打ち勝つことができる」と述べている。就任演説中に中国は、ポンぺイオ国務長官を含むトランプ政権の高官28人に制裁を科した。この動きをバイデン政権の国家安全保障委員会国家安全保障会議(NSC)のスポークスマンであるエミリー・ホーンは、「非生産的で攻撃的な動き」だと批判している。香港とマカオ事務弁公室も、中国の内政問題干渉で個人を制裁することを批判する声明を出している。
中国は制裁リストにある名前をすべては公開していない。中国に強硬姿勢だったライトハイザー元通商代表が含まれるかも不明である。上海の復旦大学米研究センター長 Wu Xinbo氏は、「トランプ政権のように制裁を科すことがあれば、同じ結果が待っているという、バイデン政権へのシグナルでもある。バイデンチーム内でイデオロギー上中国と対抗するであろう人物が含まれている。この傾向に警戒を続ける必要がある」としている。
スティムソンセンター(米シンクタンク)のYun Sun氏は、制裁はバイデンチームへの警告、「バイデン政権のアジア圏対外政策補佐官や中国関連のコンサルティング企業が多く含まれる」という。だが同氏は、中国の動きがバイデン政策に直接影響する事はないだろうという。
就任式の参列者の中には、台湾の事実上の駐米大使であるHsiao Bi-khim氏がいた。台湾代表が大統領の就任式に来賓として呼ばれたのは初めてのことだ。NSCのエミリー・ホーン氏は、米国の台湾へのコミットメントは手堅いとする。一方中国外務省の華氏は、「台湾問題に米国は注意を払うべき」とし、米政権が台湾と公的関係を持つのを控えるべきと警告している。
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