世界に対して閉じ始めた中国、ブラックボックス化がさらに強まる(2021/12/09)
2020年に新型コロナウイルス感染症が出現して以降、中国は国境を封鎖してきた。国内でも厳しい都市封鎖を実行し、世界のどこよりも早く経済活動を再開させた。しかし今、世界の多くの国々がコロナと共存することを選択し、再開していく中、中国だけはゼロ・コロナの方針を維持し、ますます内向きになりつつある。同時に、中国国内の情報も遮断され始めている。
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『CNN』は、中国の内向き志向は、中国の最高指導者である習近平が、ほぼ22カ月間、中国を離れていないことでも表れている、と伝えている。また、中国と世界との間の人的交流が激減し、観光、学術、ビジネス旅行の流れが鈍化していることにも表れている。この変化は、習近平が10年近く前に共産党の指揮を執って以来、何年もかけて進められてきたものであるが、新型コロナウイルス感染症とそれを取り巻く政治によって、さらに強調され、悪化した。...
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『CNN』は、中国の内向き志向は、中国の最高指導者である習近平が、ほぼ22カ月間、中国を離れていないことでも表れている、と伝えている。また、中国と世界との間の人的交流が激減し、観光、学術、ビジネス旅行の流れが鈍化していることにも表れている。この変化は、習近平が10年近く前に共産党の指揮を執って以来、何年もかけて進められてきたものであるが、新型コロナウイルス感染症とそれを取り巻く政治によって、さらに強調され、悪化した。専門家たちは、中国が世界からあとどれほど遮断されたままでいられるのか、公衆衛生以外の問題があるのではないかと疑問を投げかけている。
米外交問題評議会の中国研究の上級研究員であるカール・ミンズナー氏は、「思想的には、80年代、90年代の改革開放の時代に比べて、中国は徐々に偏狭になってきており、これは習近平の新時代の特徴でもある」と述べている。「中国の伝統を、外国の価値観、特に西洋の価値観に対するイデオロギー的な盾として展開する戦略的な取り組み」が取られてきたという。2012年末の就任以来、習近平は、民主主義、報道の自由、司法の独立など、西洋の価値観の「浸透」を繰り返し警告し、外国のNGOや教会、西洋の教科書などを取り締まってきた。
米『ウォールストリート・ジャーナル』も、中国共産党は長い間、情報を厳しく管理してきたが、習近平国家主席の下でさらに強化されていると報じている。世界での存在感が高まる一方で、この1年で中国国内はますます不透明になっているという。
中でも、新しいデータセキュリティ法が9月に施行されたことにより、外国の企業や投資家は、供給品や財務諸表などの情報を入手しにくくなっている。中国領海内の船舶位置情報を提供する複数の企業が、国外への情報提供を中止したため、現地の港湾活動を把握することが困難になった。中国当局は、石炭の使用に関する情報も制限し、公式の司法データベースからは、国家の安全をおびやかすとされる事件に関連する文書を削除し、他国との学術交流も停止した。
日本の国際基督教大学の政治・国際関係学上級准教授であるスティーブン・ナギ氏は、「中国は常に大きなブラックボックスだった」が、情報へのアクセスが減少していることで、外国人が中国で何が起こっているのかを理解することがさらに難しくなっており、「ブラックボックス」化が進んでいると指摘している。
中国在住の経営コンサルタントであるキャメロン・ジョンソン氏は、「中国国内で何が起きているのか、また中国の国家としての目的や目標が見えず、それが不信感につながっている」と述べている。なお、ビジネスマンや政治アナリストによると、中国が秘密主義を強めているのは、単一の政策によるものではなく、パンデミックへの対応、データセキュリティへの懸念の高まり、外部から疑惑の目を向けられている政治的環境など、さまざまな要因が重なっているという。
また、『ウォールストリート・ジャーナル』は、習近平氏は、米国をはじめとする民主主義諸国からの反感が高まる中、これまでの謙虚さや開放性を重視する姿勢から一転して、国の誇りや自給自足を重視する姿勢を打ち出した、と伝えている。
9月1日に施行された新しいデータセキュリティ法が特に情報収集を困難にしている。これは、中国政府が潜在的な機密データの海外移転に懸念を抱いていることを受けた法律である。この法律では、データの収集、保存、使用、送信など、データに関連するほぼすべての活動が政府の監視対象となっている。この法律が成立して以来、中国本土の企業は、金融、医療、公共交通、インフラなどの戦略的分野における多国籍企業との情報共有に消極的になっているという。当局は、何が機密情報にあたるのかを曖昧にしているため、中国企業にとっては、外国の取引先と何を共有できるのかが不明確になってしまっているのだ。
政治アナリストや米国政府関係者によると、このような不透明さは、短期的にも長期的にも中国と米国の間の緊張を高める可能性が高いと指摘している。
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米国、入国の条件として接種完了と陰性証明書提示の義務化(2021/10/26)
アメリカのバイデン政権は25日、11月8日から米国に入国できる条件を発表した。外国人がアメリカに入国する場合、原則として、ワクチン接種の完了とともに、出国3日前までの陰性証明書の提示が義務化される。ただし、17歳以下は接種義務が免除される。
仏
『レゼコー』紙によると、11月8日以降、米国に入国するためには2回目のワクチン接種から2週間後であること、そして出国3日前までの陰性証明書の提示が必要となる。
航空会社が搭乗時に乗客の予防接種証明書を確認することになる。航空会社は、提示された予防接種の書類が公的なものと一致しているかどうかも確認することが求められる。入国のために認められるワクチンは、米国の規制当局であるFDAが認可したものと、世界保健機関(WHO)が認可したものとなる。...
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仏
『レゼコー』紙によると、11月8日以降、米国に入国するためには2回目のワクチン接種から2週間後であること、そして出国3日前までの陰性証明書の提示が必要となる。
航空会社が搭乗時に乗客の予防接種証明書を確認することになる。航空会社は、提示された予防接種の書類が公的なものと一致しているかどうかも確認することが求められる。入国のために認められるワクチンは、米国の規制当局であるFDAが認可したものと、世界保健機関(WHO)が認可したものとなる。
米『ウォールストリート・ジャーナル』紙によると、17歳以下の子供、特定のワクチン臨床試験に参加している人、医者からワクチンは禁忌だと言われている人、緊急または人道的な理由で旅行していることを確認できる連邦政府の手紙を持っている人は、ワクチン接種義務が免除される。また、米国疾病予防管理センター(CDC)がワクチンの入手が困難と判断した国から観光目的以外のビザで渡航する人にも例外が認められる。ただし、入国者は、2歳以下の子供を除いて全ての人が陰性であることを証明する必要がある。
米政府高官によると、世界保健機関(WHO)が人口の10%未満しかワクチンを接種していないと判断した国からの渡航者は、やむを得ない理由があれば、この免除措置を受けることができるという。人口の10%に相当するワクチンがまだ接種されていない国は約50カ国あり、そのほとんどがアフリカと中東にある。
なお、免除を受ける人でも、米国に60日以上滞在する予定のある人は、原則的に米国でワクチンを接種することが義務付けられている。
また、バイデン政権は、カナダとメキシコからの陸路による渡航制限を緩和し、これらのルートを利用して米国に入国する外国人は、11月以降、不要不急の旅行である場合はワクチン接種の証明書の提示が求められる。
米『ブライトバート・ニュース』は、バイデン大統領は、正規入国者と米国内の従業員数100人以上の企業の従業員にワクチン接種を義務付けるよう指示する一方で、メキシコとの国境からの不法越境者には、ワクチン接種の義務や検査の必要性を免除したままにしていると指摘している。不法入国者は、免除されているだけでなく、新型コロナウイルス感染者であっても、そのまま米国内に釈放されているという。
9月には、下院司法委員会の民主党議員全員が、不法移民へのワクチン接種を義務付ける修正法案を阻止した。修正法案を提案したダレル・アイサ議員(カリフォルニア州選出)は、「バイデン大統領がアメリカ人にワクチンを義務付ける一方で、不法に国境に押し寄せ、無断で地域社会に釈放されている人々を免除していることを、アメリカ国民は十二分に認識している」と述べている。
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