サウジアラビア、競馬で女性騎手歓迎
サウジアラビアは、来年2月、世界最高賞金額となる競馬レース「サウジカップ」を主催する。女性騎手を歓迎し、観光客を呼ぶツアーも企画し、新たな収入源に大きな期待を寄せている。
9月17日付英国
『BBC』は「賞金270万ドルのサウジカップ開催:女性ジョッキーを歓迎」との見出しで以下のように報道している。
サウジアラビアの首都リヤドで、来年2月29日サウジカップが開催される。女性の権利を巡り人権批判を受けているサウジのバンダル王子は、女性ジョッキーを「一番に歓迎し、男女を平等に扱う。」と述べ、レースはサウジを変えるきっかけになるとしている。
競馬以外にも同国では、ボクシング世界ヘビー級王者再戦(米国アンディ・ルイス・ジュニアと英国前王者アンソニー・ジョシュア)が12月に予定されており、これらスポーツイベントは人権批判をスポーツでかわそうという狙いだとの国際的批判にもなっている。...
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9月17日付英国
『BBC』は「賞金270万ドルのサウジカップ開催:女性ジョッキーを歓迎」との見出しで以下のように報道している。
サウジアラビアの首都リヤドで、来年2月29日サウジカップが開催される。女性の権利を巡り人権批判を受けているサウジのバンダル王子は、女性ジョッキーを「一番に歓迎し、男女を平等に扱う。」と述べ、レースはサウジを変えるきっかけになるとしている。
競馬以外にも同国では、ボクシング世界ヘビー級王者再戦(米国アンディ・ルイス・ジュニアと英国前王者アンソニー・ジョシュア)が12月に予定されており、これらスポーツイベントは人権批判をスポーツでかわそうという狙いだとの国際的批判にもなっている。
バンダル王子は、表現の自由や女性の権利への制限、国際法で犯罪とみなされない理由での死刑制度への関心が高まっているが、国内では改革が進んでおり、サウジが更に開かれた時代となるとしている。
来年のレースには、5年前UAEダービーで活躍したジェイミー・オズボーン調教師など女性騎手を歓迎する意向を示している。キング・アブドゥルアズィズ競馬場で開催、レースの賞金は、欧州最大の競技であるツールドフランスの3倍となる。主催者側は12000人の来場者を想定しており、チケット購入者は通常制限が設けれれているビザの発給が保障されるという。レースのため国際専門家チームが結成され、プロジェクトはサウジの騎手クラブ会長であるサウジ王室のバンダルビン・ハリド・アル・ファイサル王子が主導。「参加者皆さんに楽しい時を過ごしてもらい、また来訪してほしい」とアブドル・アジズ王子(エネルギー相)。
石油で経済は繁栄しているが、他の収入源も欲しいサウジが注目するのが観光やエンターテイメントで、モーターレースやゴルフ欧州ツアーが行われてきた。サウジカップは賞金最高額のドバイワールドカップの前に行われ、両大会での調整が必要となる。
9月16日付サウジアラビア『アラブニュース』は「世界最高賞金のサウジカップで観光客を呼ぶサウジアラビア」との見出しで以下のように報道している。
バンダル王子は来年開催のレースに関する取材で、「このレースはサウジアラビアの騎手クラブが主催し、2年を費やしてきた。この成功を政府も大きく期待し支援している。」とした。賞金はイベント成功のために非常に重要なのは確かだが、それだけでなくサウジを世界の競馬大国にしたいとも述べている。
また、女性騎手やトレーナーの参加を第一に歓迎するとしている。「イギリスでは馬術で女性が広く活躍している。サウジがそれを支援するのは当然のこと。」としている。
サウジの素晴らしい競馬場は世界からも人気を集めることを確信している。F1などイベントを主催、ホスピタリティやエンターテイメント、宿泊施設でも問題はない。サウジ国内を旅行したい人のために、史跡や自然、海、砂漠、山などへのパッケージツアーも用意しているという。
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米・英・シリア・ロシアメディア;ISと有志連合の戦いの行方は?(3)-安保理の後押し
12月17日付
Globali「イスラム過激派組織イスラミックステート(IS)と有志連合の戦いの行方は?(2)」で触れたとおり、野党・共和党から弱腰外交と非難されたオバマ大統領が、IS掃討作戦に積極的に動き出しただけでなく、英国、フランス、ロシアの協調に加えて、ドイツも積極的に関わり始めている。そして今度は、国連安全保障理事会が、資金面でISを封じ込めようと、ISを支援した個人・団体に資産凍結や渡航禁止、また、武器禁輸などの制裁を科す決議案を全会一致で採択したと各国メディアが伝えた。
12月17日付米
『CBSニュース』は、「国連安保理、IS資金遮断を決議」と題して、「国連安全保障理事会は12月17日、理事国15ヵ国の財務相会合を開き、ISのテロ活動等を弱体化させるため、数十億ドル(数千億円)に上る資金提供の道を絶つための政策についての決議を全会一致で採択した。ISはこれまで、石油密売、薬物密輸、身代金目的の誘拐、シリアやイラクの歴史的遺物の売買などを通じて多くの資金を集めている。...
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12月17日付米
『CBSニュース』は、「国連安保理、IS資金遮断を決議」と題して、「国連安全保障理事会は12月17日、理事国15ヵ国の財務相会合を開き、ISのテロ活動等を弱体化させるため、数十億ドル(数千億円)に上る資金提供の道を絶つための政策についての決議を全会一致で採択した。ISはこれまで、石油密売、薬物密輸、身代金目的の誘拐、シリアやイラクの歴史的遺物の売買などを通じて多くの資金を集めている。そこで米国ルー財務長官のリードで国連安保理は、ISへの資金提供に関わった個人・団体に資産凍結や渡航禁止、また、武器禁輸などの制裁を科す決議案を採択したもの。」と報じた。
12月18日付シリア
『シリア・アラブニュース』(1965年創刊の国営通信)は、「国連安保理、テログループの資金封じ」と題して、「国連安保理でロシアのチュルキン国連大使は、ISが搾取した大量の原油が、シリアからトルコの国境を越えてトルコの石油精製所に運び込まれており、この原油密売によってISは、一日当り150万ドル(約1億8千万円)の資金を得ていると糾弾した。更に同大使は、ロシアの空爆によって原油密売ルートを絶つことに成功したが、ISは依然、その他の天然資源、農作物、工業製品などの売買で年間7億ドル(約840億円)の収入を得ているとも付け加えた。」と伝えた。
また、同日付ロシア
『ロシア国営テレビ』は、「国連安保理、IS資金封じを狙った決議案を全会一致で採択」と題して、「今回の決議案は、各国にIS資金源遮断のため何を履行したかを120日以内に報告すること、また、国連潘基文(パン・ギムン)事務総長にIS資金源を洗い出す報告書を45日以内にまとめるよう求めた。なお、同決議案が採択される前の12月15日、米ケリー国務長官がモスクワを訪問し、ロシアのラブロフ外相と会談して、シリア問題について米ロ間の歩み寄りを図っており、プーチン大統領も12月17日、シリア問題に関し米ロ間の意見の相違はかなり狭められたと強調していた。」と報じた。
一方、12月17日付米
『ABCニュース』は、「国連決議を受けて、米人二人がテロ支援容疑で逮捕」と題して、「国連のIS制裁決議が採択された12月17日、米当局は、ペンシルベニア州の19歳の男を、ISを支援する目的で57ものツイッター・アカウントを保有・運営した容疑で逮捕し、また、カリフォルニア州の22歳の男を、IS戦闘員になるために出国しようとしたところを拘束した。」と伝えた。
更に、12月18日付英
『ハフィントン・ポスト英国版』は、「アノニマス、ISに更なる警告」と題して、「国際的ハッカーグループのアノニマス(注後記)は12月18日、テロリストグループのISに対して新たな攻撃を仕掛けると発表した。ISとインターネットでつながっている世界中のアカウントを焙り出すというもので、既に、IS支援者と認められる2万人のソーシャル・メディアアカウントを特定したという。なお、アノニマスは先月、ISによるパリでの無差別テロ事件を受けて、“パリ作戦”と題したISネット攻撃を仕掛ける反ISキャンペーンを展開するとしていたが、直近数週間では、IS支援者と無関係なネット・アカウントも攻撃されたとして非難されていた。」と報じた。
なお、国連安保理は12月18日、シリアの和平を目指す初めての決議案を全会一致で採択している。決議は、シリア政府(アサド政権)と反体制派の双方が参加する「政権移行プロセス」についての公式な交渉を、来年1月初旬を目処に開く等、シリア内戦終結、和平に向けた段階的なステップを踏むよう、国連がリードすることを求めたもの。これまでの国連安保理決議案は、常任理事国のロシアや中国の拒否権行使で一切採択されていなかった。
(注)アノニマス:ハクティビズムという、政治的な意思表示や政治目的の実現のために、ハッキングを手段として利用する行為、もしくはそのような行動をインターネット上で取る活動家の国際的ネットワーク集団。
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