ゲノム解析の必要性が高まっている(3月6日)
変異株は子どもに対する感染の割合が高いのではないかと言われており、学校での変異種の大流行が懸念されている。
変異株が日本でどういう広がりを持っているのかを調べ、追跡するためのゲノム解析の必要性がこれまで以上に高まっている。
神戸市は、独自にゲノム解析を実施し、新規陽性者の約60%を調査した結果、半数以上が変異ウイルスだったことを突き止めた。
ただ、神戸市のケースは例外であり、日本においてコロナでゲノム解析を行ってきたのは国立感染症研究所だけというのがほぼ実情である(※地方衛生研究所でもゲノム解析は行ってはいるが感染研ほど精密なものではない)。...
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変異株は子どもに対する感染の割合が高いのではないかと言われており、学校での変異種の大流行が懸念されている。
変異株が日本でどういう広がりを持っているのかを調べ、追跡するためのゲノム解析の必要性がこれまで以上に高まっている。
神戸市は、独自にゲノム解析を実施し、新規陽性者の約60%を調査した結果、半数以上が変異ウイルスだったことを突き止めた。
ただ、神戸市のケースは例外であり、日本においてコロナでゲノム解析を行ってきたのは国立感染症研究所だけというのがほぼ実情である(※地方衛生研究所でもゲノム解析は行ってはいるが感染研ほど精密なものではない)。
日本はコロナ陽性患者のうちの1割しかゲノム解析ができていないということからもわかる通り、諸外国と比べ、日本のゲノム解析がなぜか遅れている。
ゲノム解析機器を多くの大学・大学病院でも所有されているので、本来ならばできないはずはないのだが、こういう施設が今回のコロナ禍で積極的に活用されていない。
これは日本のシステムが平時対応で作られており、緊急時対応にできていないということに起因している。
加えて、省庁の縦割りも大きな障害のひとつであり、今後は省庁の壁を取り払い、民間の力も援用し人員を増やすなどして、総力を挙げてオールジャパンでゲノム解析をやっていく必要がある。
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注射器問題で露わになった厚生労働省問題(2月13日)
日本政府は米国製薬会社ファイザーと7200万人分の契約をかわしたが、早くも問題が生じてきている。7200万人分を日本と契約したファイザーだが、この前提としていたのは1本で6人分とれる特殊な注射器であった。一方、日本側は一本で5人分とれる通常の注射器を想定していた。
そもそも最初からボタンの掛け違いが存在していたことになる。厚労省は6人分とれる特殊な注射器は現時点では入手不可能としており、今後1200万人分のワクチンが無駄になる可能性が高い。...
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日本政府は米国製薬会社ファイザーと7200万人分の契約をかわしたが、早くも問題が生じてきている。7200万人分を日本と契約したファイザーだが、この前提としていたのは1本で6人分とれる特殊な注射器であった。一方、日本側は一本で5人分とれる通常の注射器を想定していた。
そもそも最初からボタンの掛け違いが存在していたことになる。厚労省は6人分とれる特殊な注射器は現時点では入手不可能としており、今後1200万人分のワクチンが無駄になる可能性が高い。契約慣れしていない日本が損をした形である。
厚労省は「6人分とれる注射器というのは日本では普段使わない」と主張し、自己弁護している。そもそも契約の段階で前提となる注射器を確認しておくのが筋である。加えて、この注射器の問題について途中で誰も気が付かなかったということも信じがたいことである。このような組織が国民の税金を使い、他国や団体と契約を交わすことについては懸念する声もあがっている。
政治ジャーナリスト・田崎史郎は今回の事態は、厚労省の医薬局という部署のずさんな仕事が招いたとしている。
田崎は医薬局は他にも名称が類似した薬剤の取り違えや、PTP包装シートの誤飲問題など数多くのミスを犯しているとしているが、今回の注射器問題は特大級のミスであろう。田崎は厚労省の立て直しをやらない限り、誰が総理になろうとも、どこの政党が政権をとろうとも失敗するだろうとしている。
厚労省がミスを犯しがちである背景には他省庁に比べ、全体的に業務量が多いことがある。厚労省内部で行ったアンケートで65%が業務量について多いと感じているという結果が出たことがこれを象徴している。
以前と比べ官公庁を指向するエリートが減っていることも理由の1つとしてあげられる。厚生労働省分割案や厚生労働省に複数の大臣を置く案など、本格的に厚労省を改革すべき局面に来ているのかもしれない。
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日本の「ワクチン開発」事情と対策(2月11日)
先進国であると自負してきた日本でなぜ「ワクチン開発」が遅れているのだろうか。
2月10放送のBSフジの番組「プライムニュース」でその一端がはっきり見えた。
出演者は、KMバイオロジクス社の永里社長、大阪大学森下教授、武見敬三自民党新型コロナ対策本部本部長代理の三氏であった。
結論的に言えば、3つ問題点が浮き上がってきた。
第一に厚労省を始めとする国の機関に今回のような「パンデミック」時の対策が出来てなかったということである。...
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先進国であると自負してきた日本でなぜ「ワクチン開発」が遅れているのだろうか。
2月10放送のBSフジの番組「プライムニュース」でその一端がはっきり見えた。
出演者は、KMバイオロジクス社の永里社長、大阪大学森下教授、武見敬三自民党新型コロナ対策本部本部長代理の三氏であった。
結論的に言えば、3つ問題点が浮き上がってきた。
第一に厚労省を始めとする国の機関に今回のような「パンデミック」時の対策が出来てなかったということである。
第二の問題はワクチンの治験に対するルールであり、特に第三ステージの治験の対象人数とそれにかかる膨大なコストの問題がある。
第三に巨大なコストがかかる開発費と製造工場の整備コスト等を、国や製薬会社、それに資本市場やベンチャーキャピタルが充分に先行投資ができていないという点がある。
どうやら、今回のワクチンの開発に挑戦をしている日本勢のKMバイオロジクス社や大阪大学臨床遺伝治療学のチームは、従来型「不活化ワクチン等」や最先端の「DNAやmRNA型ワクチン」の開発に目途をつけている様子である。
今回の様に世界を巻き込む「パンデミック」に対する認識とその非常事態に対応するべき特別な対策を日本全体で早急に議論し、「その考え方」「対処方法」「リスク」について明確に結論を出さなければならない状況にあると言える。
しかもこのパンデミックは、1年や2年では収束しない恐れもあり、走りながら考え、結論を出し、実行することが求められている。
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コロナ禍によって炙り出された日本の課題(1月16日)
新型コロナウイルスによって日本の弱点が浮き彫りとなった。特にはっきりしたのが日本という国が平時のオペレーションを想定し、緊急時のエマージェンシー体制が弱いため、パンデミックなどの非常時に対しスピーディかつ効果的な対策がなかなか打てなくなっているということである。
例えば、新型コロナウイルスに際し日本政府の打ち出す措置は、ことごとく「あまりに小さく、あまりにも遅いため、有権者の支持を失っている」と外国メディアからも批判されてきたが、ここに至ってもこの域を出ているようには見えない。...
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新型コロナウイルスによって日本の弱点が浮き彫りとなった。特にはっきりしたのが日本という国が平時のオペレーションを想定し、緊急時のエマージェンシー体制が弱いため、パンデミックなどの非常時に対しスピーディかつ効果的な対策がなかなか打てなくなっているということである。
例えば、新型コロナウイルスに際し日本政府の打ち出す措置は、ことごとく「あまりに小さく、あまりにも遅いため、有権者の支持を失っている」と外国メディアからも批判されてきたが、ここに至ってもこの域を出ているようには見えない。
今後、パンデミックだけではなく気候変動による環境の激変、大地震などによる数多くの緊急事態が想定される中、日本にとって必要なのは緊急事態における国家運営を平時のオペレーションからエマージェンシー体制に素早くスイッチできる体制を構築しておくことではだないだろうか。
その為には、日頃からどんな緊急事態が起こり得て、その時にそれに対しての対応を大枠で決めて置かなければならないのではないだろうか。
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2028年中国がGDPで米国を追い抜く(12月28日)
中国のGDP(国内総生産)の規模が、2028年に米国を上回って世界1位になるという驚くべき報告書を英国の民間シンクタンクであるCEBR(経済経営研究センター)がまとめた。
このレポートはCEBRが世界193の国や地域のGDPについて2035年までの長期的な推移を予測しまとめたもので、これまでに出した報告書で2033年に中国が米国のGDPを追い抜くと予想していた。
今回、CEBRはこの予想をさらに5年前倒しにしたが、その理由として挙げているのが、欧米が新型コロナウイルスの感染拡大抑え込みに失敗した一方で、中国経済はコロナを抑え込み、いち早く回復したことで、CEBRは「パンデミックとそれに伴う経済への影響は、確実に中国に有利に働いた」と結論づけている。...
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中国のGDP(国内総生産)の規模が、2028年に米国を上回って世界1位になるという驚くべき報告書を英国の民間シンクタンクであるCEBR(経済経営研究センター)がまとめた。
このレポートはCEBRが世界193の国や地域のGDPについて2035年までの長期的な推移を予測しまとめたもので、これまでに出した報告書で2033年に中国が米国のGDPを追い抜くと予想していた。
今回、CEBRはこの予想をさらに5年前倒しにしたが、その理由として挙げているのが、欧米が新型コロナウイルスの感染拡大抑え込みに失敗した一方で、中国経済はコロナを抑え込み、いち早く回復したことで、CEBRは「パンデミックとそれに伴う経済への影響は、確実に中国に有利に働いた」と結論づけている。
感染拡大の影響で2020年の世界全体のGDPの伸び率は-4.4%に落ち込む一方で中国については、GDPの伸び率を+2%とプラス成長を維持すると予測している。
日本については感染拡大の影響が深刻だとして、2020年のGDPの伸び率は-5.5%に落ち込むと予測しており、2030年にはインドに抜かれ、GDP世界第4位になり、2050年には世界第7位になると予測している。
この予測は日本にかなりのインパクトをもって受け止められている。2030年までにガソリン車が電動車に切り替わり、日本の基幹産業である自動車産業が揺らいでいるとして危機意識を強めていた日本だったが、それよりさらに前の2028年に中国のGDPが世界一になるとの予測は大きな衝撃を与えるものである。
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なぜ日本はタイムリーにワクチンを作れないのか(12月26日)
世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。...
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世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。日本も例外ではない。25日、日本全国では、過去最多の3832人の感染が確認され、亡くなった人の数は63人で感染者、死者ともにこれまでで最も多くなった。
この状況を収束させる為にはワクチンの力に頼らざるを得ない。厚生労働省の専門部会は、2021年2月下旬から3月中にかけて医療従事者や救急隊員、3月から4月にかけて65歳以上の高齢者、それ以降に基礎疾患のある人と高齢者施設の職員らに順次ワクチン接種をしていく方針である。
今回、接種されるワクチンが全て外国製であり、日本製ワクチンの開発がパンデミック拡大阻止のタイミングに間に合わなかったということである。副反応がどうなのかという問題は残るが、米国、中国、ロシア、ドイツは自国製ワクチンの開発を何とか間に合わせている。
このパンデミックを収束させる為にはウイルスの変異にも対応可能でスピーディーな開発が可能なメッセンジャーRNA型のワクチンが有効となるが、日本も同じ遺伝子系ワクチンであるDNAワクチンをバイオベンチャーのアンジェスと大阪大学が共同開発していた。しかし大幅に後れをとり、発売される頃には出番がない可能性が高い。
なぜ日本のワクチン開発は出遅れたのか。ひとつには副反応などのリスクを恐れ、あまりにも慎重になり過ぎていることがある。さらに言えば、2010年新型インフルエンザのパンデミックが起きた際、日本はワクチンの生産体制構築に100億円近い予算を投じたものの、結果的にパンデミックは起きず、支援が終了したという負の経験がある。投資した額に見合わないとしてこの後のフォローを日本政府が行わなかったために技術基盤は育たなかった。
世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナ社は新型コロナ禍が発生すると、ガン治療用の遺伝子配列を新型コロナ用に書き換え、既に2020年3月半ばに臨床試験を開始していた。こうした素早い動きの背後には国家の安全保障を念頭にしたワクチン開発への投資があった。2001年の同時多発テロ直後に炭疽菌テロが起き、米国に死者を出したトラウマを持つ米軍は、派兵先で感染症が起きた場合、すぐに米兵に接種できるメッセンジャーRNAワクチン開発への投資を開始した。
抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNA(遺伝子情報)に組み込んで注射することによって、細胞内で抗原タンパク質が合成され、免疫反応が誘導されるシステムで、製造過程で感染するリスクが低い上、DNAさえ分かれば1カ月前後の超短期で開発でき、化学薬品と同じ要領で量産化が可能である。
設備の維持管理などに多額のコストがかかるが、米軍は毎年数千万ドルをモデルナ社のようなバイオ企業に投資し、平時から多様な様式のワクチンを確保してきたという。今回のワクチン開発競争で見られた国力の差は国家の安全保障投資への差が背後に潜んでいたといえる。
日本は安全保障の観点からも衛生学的見地からも今後、最低でも2~3の技術基盤とワクチンの自国製造能力を確保する必要がある。生産能力ゼロの場合、欧米企業の言い値を呑むしかなくなってしまう。次のパンデミックに備え、政府・民間は資金を投下し、人材を育て、技術を完成させ、タイムリーに日本製ワクチンを供給できるよう体制を整備するべきと考える。
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先が見えない日本(12月22日)
日本の産業や経済の進化の勢いが目に見えて衰えてきている。日本の厳しい状況を象徴的に示しているのが科学の成果を示す論文数で、例えば新型コロナ関連で主要な論文を数多く発表しているのは米国、英国、中国である一方で日本は残念ながら16位である。ワクチン開発に出遅れた日本はワクチンの接種時期でも先進国では一番遅くなっており、かってワクチン先進国だった国とは思えない。
現在、地球温暖化問題が待ったなしの状況になり、世界的に持続可能で革新的な技術が求められている状況にある。...
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日本の産業や経済の進化の勢いが目に見えて衰えてきている。日本の厳しい状況を象徴的に示しているのが科学の成果を示す論文数で、例えば新型コロナ関連で主要な論文を数多く発表しているのは米国、英国、中国である一方で日本は残念ながら16位である。ワクチン開発に出遅れた日本はワクチンの接種時期でも先進国では一番遅くなっており、かってワクチン先進国だった国とは思えない。
現在、地球温暖化問題が待ったなしの状況になり、世界的に持続可能で革新的な技術が求められている状況にある。例えば自動車業界。日本は2030年代にもガソリン車が廃止され、日本のお家芸である自動車産業が主力産業でなくなりEVにとって替わる恐れが出ている。
日本が近未来の技術革新に遅れをとっている中で巨像GAFAがEV市場に殴り込みをかける構えをみせている。欧州の環境会議で日本は化石賞という有難くない賞を受けても平然としていたが、今になって慌て始めている。環境分野でもかって日本の太陽光発電は世界トップクラスであったのに太陽光発電市場は中国にシェアを奪われ今は見る影もない。
今後の自動車市場はEV化、自動運転化が鍵を握っているが、中国は14億人のビッグデータをEV化を進めつつ集めている。こうしたデータは自動運転化において中国に有利に作用するとみられる。GAFAも情報産業であるためこうしたビッグデータを集めながら自動車市場に参入してくることになる。
危機感を深め、動き始めている日本企業もある。トヨタ自動車・豊田社長は自動車産業からモビリティ産業への脱構築を提唱し、ホンダは国境を超えた動きを見せGMに出資し、自動運転技術で提携、車体も共同開発するなど意欲的な動きを見せている。さらにはソフトバンクや日立製作所など次世代技術の先行開発で異業種との連携を進めるなど奮闘している。
日本の強みは例えばFCVなどの水素技術やiPS細胞、重粒子線治療技術などまだら模様に点在しているものの、体系的なものではなく、面になるまで多くはない。
日本が海洋大国であることや災害大国であることを逆手にとって発想してみたり、どこに萌芽があるか、必死になって探さないところまで今の日本は追い詰められている。期限も切られておりそれはあと5年から10年の勝負になる。
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日本のこれからの課題(12月19日)
今の中国のGDPは日本の3倍だが、2030年頃には中国が日本の6倍ぐらいの経済的規模をもつことになり、日本がいろんな意味で中国に依存していくような状況になるかもしれない。これは大変リスクの高い状況であることを日本人は強く認識しておく必要があるのではないか。
世界的にCO2排出の抑制要請が求められ、EV化などのパワートレーンの変化、カーシェアやライドシェアによるシェアリングの加速などによって日本最大の産業である自動車産業は10年から15年のうちに業態転換をするよう迫られている。...
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今の中国のGDPは日本の3倍だが、2030年頃には中国が日本の6倍ぐらいの経済的規模をもつことになり、日本がいろんな意味で中国に依存していくような状況になるかもしれない。これは大変リスクの高い状況であることを日本人は強く認識しておく必要があるのではないか。
世界的にCO2排出の抑制要請が求められ、EV化などのパワートレーンの変化、カーシェアやライドシェアによるシェアリングの加速などによって日本最大の産業である自動車産業は10年から15年のうちに業態転換をするよう迫られている。
欧州や中国をはじめ、米国・カリフォルニア州などが、おおむね2030年から2035年を目途にエンジン車販売禁止を打ち出しており、それまでに日本の自動車産業も脱ガソリン車を達成しなくてはならなくなる。そのためにはEV,蓄電池に強い人材育成を行い、設備投資、研究開発分野にも積極的に投資していく必要がある。
もうひとつの日本の収益源が観光産業であるが、コロナ禍が収まれば、復活するだろうとも言われている。ただし、同じようなパンデミックに再度襲われる可能性もないとはいえない。パンデミックに襲われても耐えることができるシステムを構築しておく必要がある。例えば、スペースをゆったりとった乗り物や旅客施設に転換する等、パンデミックに対応した状況を日ごろから心がけて、設計してゆく等ということが求められているのではないだろうか。
コロナに翻弄される中で日本には将来の収益源にたいする危機意識が求められており、国を上げて早急に準備していく必要があるのではないだろうか。
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ワクチン開発に出遅れた日本の将来(12月19日)
コロナ禍の日本でどうにも残念であるのは多くのノーベル賞受賞者を輩出している科学立国日本が、国際ワクチン開発戦争で出遅れてしまい、外国製ワクチンに頼らざるを得なくなっている現状である。このままでは第二、第三のパンデミックが起きても外国製ワクチン頼みの国になってしまうのではないか。
ワクチン接種の監督官庁である厚生労働省の動きが遅いことも気になる。安全性や有効性にプライオリティを置いているため、治験などに多くの時間を割き、動きが遅くなってしまっている。...
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コロナ禍の日本でどうにも残念であるのは多くのノーベル賞受賞者を輩出している科学立国日本が、国際ワクチン開発戦争で出遅れてしまい、外国製ワクチンに頼らざるを得なくなっている現状である。このままでは第二、第三のパンデミックが起きても外国製ワクチン頼みの国になってしまうのではないか。
ワクチン接種の監督官庁である厚生労働省の動きが遅いことも気になる。安全性や有効性にプライオリティを置いているため、治験などに多くの時間を割き、動きが遅くなってしまっている。過去の薬害訴訟などの経験も腰を重くしているとみられる。そもそも厚生労働省は医療安全行政と福利労働行政という2つの領域をカバーしていることから行政機能が肥大化しており、動きが鈍くなっていることがあり、今後は2分割するなど専門性により特化することも必要なのかもしれない。
実は1930年代には日本はワクチン開発の最前線に立っていた。例えば破傷風菌の培養に成功し、血清療法を確立したのは日本の北里柴三郎である。北里の研究がさまざまなワクチン開発につながり、1934年には大阪大学の敷地内に設置された現・BIKENグループが世界で初めての水痘ワクチンの開発に成功し、世界のワクチン界をリードしていたこともあった。
今、日本のワクチン業界が落ち込んでしまった背景には、ジフテリア予防接種禍事件などワクチン接種によって引き起こされる副反応問題の影響が大きくあった。副反応と、国全体の公衆衛生上のメリットとの綱引きが行われた結果、巨額の開発費を投じても、売上げが見込めない大手医療メーカーがワクチン業界から撤退した。その結果として、日本のワクチン市場には国際的にみれば中小ワクチンメーカーだけしか残らなくなってしまった。
規模の小さな日本のワクチンメーカーにはお金も人材も情報も十分には集まらない。この結果、開発能力もどんどん落ちていくという悪循環に陥っている。この先に、新たな感染症のパンデミックが発生したときに、いったい日本はどう対処してゆくのだろうか。
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現実化する医療崩壊(12月12日)
新型コロナウイルス感染症患者が急増し、コロナの医療と通常医療との両立が困難な状況となっている。大阪市は市内の医療機関が新たにコロナ受け入れ病床を増やした場合、1床当たり1千万円の協力金を支給することを明らかにした。
大阪市は民間、公立を問わず、100床のベッドの確保を目指すとしている。しかし例えベッド数だけを増やしても医療体制のひっぱく状態を抜け出すことはできない。そこにはもうひとつ重要な要素が抜け落ちている。...
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新型コロナウイルス感染症患者が急増し、コロナの医療と通常医療との両立が困難な状況となっている。大阪市は市内の医療機関が新たにコロナ受け入れ病床を増やした場合、1床当たり1千万円の協力金を支給することを明らかにした。
大阪市は民間、公立を問わず、100床のベッドの確保を目指すとしている。しかし例えベッド数だけを増やしても医療体制のひっぱく状態を抜け出すことはできない。そこにはもうひとつ重要な要素が抜け落ちている。それはスタッフの数がきちっとそろっているかどうかということである。
現状ではベッドがいくらたくさんあっても回らない。例えばエクモの患者1人につき看護師10人以上、臨床工学技士2~3人の合わせて20人程度の人員が割かれる。加えて看護師は通常の医療補助業務だけでなく、病室の清掃から、患者の介護まで何から何まで全て看護師がやっているのが実情である。病院の経営状況の悪化によってこれに見合う金銭が支払われていないことに加え、周囲の偏見や差別が家族まで及んでいることから、耐え切れずに辞めてしまう看護師が続出している。
コロナ患者が急増し看護師を増やさないといけない局面なのに逆に減っているのである。ここは業務量を減らすために清掃業者、介護業者の力を借りたいところだが、簡単に彼らは感染病棟に入れることはできない。その背景には感染病棟にはきちっとした研修を受けた業者しか入れない決まりになっていることや、医療行政が都道府県の管轄、介護の問題は市町村の管轄という手続き上の煩雑さが複雑に関係していて、結局、看護師がやるしかなくなっているのである。
病院医療が立ちいかなくなっているとして、北海道や大阪市は自衛隊に救護を要請したが、自衛隊は独自に病院を持っており既に1000人単位のコロナ患者を受け入れていて、その人々のケアも必要である。そもそも自衛隊の医者や看護師はそれぞれ1000人ほどしかいない。これ以上の市町村から緊急派遣要請が出ても自衛隊は隊員を派遣することはできない状況にある。
実は看護師の数はコロナ前から慢性的に足りなかった。今後のことを見据え、看護師の待遇改善や養成が急務である。
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電動車に舵を切る日本(12月5日)
経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。...
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経済産業省は今月10日にも国内自動車大手や有識者が集まる会議で「電動車比率100%」に舵を切る、より具体的には2030年代半ばに販売されるすべての新車をEVやFCVなどの電動車に移行させるという方針を表明する。
政府はこの新たな目標設定に合わせ、モーターを動かす心臓部となる蓄電池の開発や、充電インフラの整備を支援していく予定で、FCVに必要な水素の供給拠点の設置も今後、加速させていく考えである。
電動車に舵を切る背景には2つの考えがある。一つは自動車による二酸化炭素排出量の大幅な削減につなげる環境保護の考えである。もう一つは脱ガソリン車の動きが世界的に加速し、日本の自動車産業が世界での競争力を失なってしまうという危機感である。
EVに切り替えた場合、最大20万人が失業すると言われている。英国やカルフォルニアのように日本が得意なハイブリッド車を電動車に含めないとする国や州も出ており、日本に有利な状況とはいえない。将来を見据えた場合、ハイブリッドという選択肢を外さないとただでさえ出遅れている日本がますます出遅れてしまう事態にもなりかねない。
世界のEV市場で戦うため、今後、日本とってのカギになってくるのがサプライチェーンの構築と業界再編成だということだ。EV化に成功した中国は既に国内にEVサプライチェーンを構築している。
バッテリー最大手にはCATLという会社を持っており、ここから中国製バッテリーが欧州に輸出されるような流れになっている。中国は、かって日本の自動車産業が構築していた産業ピラミッドをEV市場で築きつつあり、日本は後手に回っている。
コロナ禍で忘れがちだが、日本人はこれから、どうやって飯を食っていくのかというシビアな局面に立たされているという危機感は共有するべきである。
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世界はグリーンニューディールに舵を切った(11月21日)
バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。...
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バイデン政権になった米国はグリーンニューディールを前面に立て、二酸化炭素の排出削減へ向けて大きく舵を切った。
菅首相も2050年までに日本の温室効果ガスの排出を実質ゼロにする事を打ち出している。EUも2050年までに排出を実質ゼロにすると宣言した。中国も2060年までに実質ゼロにするとしている。
そんな中で、中国が温室効果ガス削減の切り札と位置付けているのが電気自動車(EV)である。EVは再生可能エネルギーの蓄電池としての役割も期待されており、中国は補助金をつけるなどして、国を挙げてEVの普及に力を入れている。
中国は、日本の自動車産業と同じピラミッド構造を中国国内で作り上げ、世界におけるEVの輸出拠点となりつつある。世界のEV生産台数66万台のうち、およそ40%が中国製EVであり、世界の自動車産業の勢力構造は日米欧から中国に塗り替えられつつある。
米国・テスラ社、ドイツ・BMW、フランス・ルノーも中国で生産したEVを欧州に輸出するなどしている。
この波に乗り遅れまいと日産やホンダも中国企業と合弁でEV生産に乗り出している。
中国で拡大するEV生産の恩恵は日本の部品・素材企業にも及んでおり、EVの駆動モーターには日本電産のモーターが使われている他、旭化成や住友化学なども現地生産でリチウム電池の構成素材を提供している。
自動車産業という基盤事業を失いつつある日本勢は振り切られることがないように、この大きな波についていくことが肝心であり、その上で自らの立ち位置を探していく必要がある。
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「GDP」既に日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっている(11月19日)
あるテレビ番組を視聴していたら、画面に表示された国別GDPの数字に仰天した。
GDPでは、日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっているという現実を改めて認識させられた。
中国の経済発展については、よく聞く話であるが、こんなに差がついてしまっているのかと改めて、思い知ることになった。
2015年頃では、頑張れば何とか追いつける範囲にいたと記憶していたが、その差の開き具合に、唖然とした。...
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あるテレビ番組を視聴していたら、画面に表示された国別GDPの数字に仰天した。
GDPでは、日本は中国の3分の一、米国の4分の一の規模になっているという現実を改めて認識させられた。
中国の経済発展については、よく聞く話であるが、こんなに差がついてしまっているのかと改めて、思い知ることになった。
2015年頃では、頑張れば何とか追いつける範囲にいたと記憶していたが、その差の開き具合に、唖然とした。
国際社会での、日本の立ち位置は、ますます難しくなってゆくのではないかと、茫然とした。今こそ、国際社会における、5年後10年後の日本の姿を明確に構想する時ではないのか。
中国では、5中全会で所得倍増について習近平国家主席が「2035年までにGDPと一人あたりの所得を倍増させることは完全に可能だ」と述べた。
現在の中国のGDPは1532兆円で米国の2229兆円に次いで2位で、3位は日本で528兆円、4位ドイツは401兆円、5位インドは298兆円となっている。
中国のGDP倍増が実現すると2030年には米国の8割弱に、2030年代半ばには米中が逆転する可能性もあるという。
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菅首相のブレーン・デービッドアトキンソン氏の指摘(10月31日)
成長戦略会議のメンバーに選ばれたデビッドアトキンソン氏(小西美術工藝社社長、元ゴールドマンサックスのアナリスト)は菅政策を知る上でキーパーソンの一人である。菅総理はアトキンソン氏を高く評価している。
英国人のアトキンソン氏は著書の中で、1990年代から日本企業の生産性が上がっていないと指摘している。生産性を押し下げているのは日本の中小企業の存在が大きいとしている。
生産性が低く、潰れるべき中小企業を潰れないよう日本政府が守ってきたことこそが日本の生産性を下げてきたというのである。...
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成長戦略会議のメンバーに選ばれたデビッドアトキンソン氏(小西美術工藝社社長、元ゴールドマンサックスのアナリスト)は菅政策を知る上でキーパーソンの一人である。菅総理はアトキンソン氏を高く評価している。
英国人のアトキンソン氏は著書の中で、1990年代から日本企業の生産性が上がっていないと指摘している。生産性を押し下げているのは日本の中小企業の存在が大きいとしている。
生産性が低く、潰れるべき中小企業を潰れないよう日本政府が守ってきたことこそが日本の生産性を下げてきたというのである。
中小企業を守る政策は、人口が増えている間は有効だったが、人口が減っている今は、企業規模を減らしていかないと、どんどん日本の生産性が悪化していくと強く主張している。
増えすぎてしまったものが減ることは正常化の流れだとしてアトキンソン氏は「企業の淘汰」を促進する提言を今後、あらゆる機会で強く打ち出してくるものとみられる。
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中小企業の再編が加速する?(10月31日)
26日に行われた「財務省財政制度等審議会」の有識者の提言で中小企業へ融資について、「資金繰り支援には意義が認められるが、支援の長期化は中小企業の新陳代謝を著しく阻害するおそれがあるため、前向きな取り組みへの支援に移行すべき」との方向性が発表された。
菅首相は「日本の中小企業の数が多すぎる」として、中小企業基本法の見直しに言及するなど、中小企業の定義を変え、生産性が低く、低賃金が常態化している企業の数を減らす方向性を打ち出している。...
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26日に行われた「財務省財政制度等審議会」の有識者の提言で中小企業へ融資について、「資金繰り支援には意義が認められるが、支援の長期化は中小企業の新陳代謝を著しく阻害するおそれがあるため、前向きな取り組みへの支援に移行すべき」との方向性が発表された。
菅首相は「日本の中小企業の数が多すぎる」として、中小企業基本法の見直しに言及するなど、中小企業の定義を変え、生産性が低く、低賃金が常態化している企業の数を減らす方向性を打ち出している。
日本の中小企業といえば日本にある企業全体の99.7%を占め、全労働者の7割が働いており、これまでの政府は補助金と優遇策で中小企業を守ってきた。菅政権の方針はこのやり方を180度転換させるものであり、今回の審議会での発表はこうした菅政権の動きに呼応するものと言える。
この動きに連動するかのように最近、企業の合併・買収・事業再編の動きが活発化している。M&A調査会社のレコフデータによると「コロナの影響で今後、中小企業の事業売却や再編のニーズが高まることが予想される」という。
企業再編は成長力や収益性、生産性を高める有効な手段だが、拙速な再編はマイナス面として日本文化が失われたり、成長の芽を摘んでしまうことも考えられる為、慎重に行うべきとの声も出ている。
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日英EPAの背景(10月24日)
茂木外相と英国・トラス国際貿易相が日英EPAに署名した。来年1月1日の発効を目指すことになった。
英国はTPP参加にも興味を示しており、英国サイドは「貿易と供給網のパートナーを多様化し、英国経済を強固にできる」とTPP加盟のメリットを強調したが、日本側にとってもGDP世界第5位の英国が参加して再び12ヶ国体制となるメリットは大きいとみられる。
日英EPAに話を戻すと、日英EPAが発効すると日英間貿易で関税率が大幅に上がることはなくなる見通しであるが、日本にとってのもうひとつの大きな問題点が実は英国とEUのFTA交渉の行方に潜んでいる。...
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茂木外相と英国・トラス国際貿易相が日英EPAに署名した。来年1月1日の発効を目指すことになった。
英国はTPP参加にも興味を示しており、英国サイドは「貿易と供給網のパートナーを多様化し、英国経済を強固にできる」とTPP加盟のメリットを強調したが、日本側にとってもGDP世界第5位の英国が参加して再び12ヶ国体制となるメリットは大きいとみられる。
日英EPAに話を戻すと、日英EPAが発効すると日英間貿易で関税率が大幅に上がることはなくなる見通しであるが、日本にとってのもうひとつの大きな問題点が実は英国とEUのFTA交渉の行方に潜んでいる。
英国で活動しているトヨタ自動車や日産自動車など日系大手企業の多くは部品をヨーロッパから英国に調達し、完成品はEUに輸出するというサプライチェーンを構築している。
年内に英EU間でFTA協定が結ばれないと、英国のEU離脱の余波を日本企業はまともに浴びることになる。具体的にいうと、乗用車の輸出時に10%、輸入時にも部品に応じて関税がかかるようになり、生産コストが大幅に跳ね上がってしまうのである。
このため、自動車大手は英国政府がEUとのFTAを結べなかった場合に備え、発生した関税コストの補償を求めている。ただし、仮に英国がEUとFTAが結べた場合でも問題はまだある。
「原産地規則」という法律がネックとなり、優遇関税の対象となる原材料に日本製を含めることができない可能性があるというのである。
英EU・FTA交渉の行方が日本のサプライチェーンと立地戦略に大きな影を落としていることは間違いない。
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日本の株価を底上げするGPIFと日銀(10月24日)
日本の株式市場は官製相場の度合いが徐々に高まってきている。より具体的に言えば、巨大な資金を持つGPIF(独立行政法人年金積立金管理運用機構)と日本銀行が大株主になることによって、日本企業の株価を押し上げ、投資家らに恩恵をもたらしてきた。
GPIFと日銀は東証一部上場企業の8割にあたる約183社の大株主になっている。例えば、22.1%のファーストリテイリング、15.3%のソフトバンクグループ、14.1%の三菱UFJフィナンシャルグループ、13.5%のANAホールディングス、10.4%のトヨタ自動車、8.6%の日産自動車などである。...
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日本の株式市場は官製相場の度合いが徐々に高まってきている。より具体的に言えば、巨大な資金を持つGPIF(独立行政法人年金積立金管理運用機構)と日本銀行が大株主になることによって、日本企業の株価を押し上げ、投資家らに恩恵をもたらしてきた。
GPIFと日銀は東証一部上場企業の8割にあたる約183社の大株主になっている。例えば、22.1%のファーストリテイリング、15.3%のソフトバンクグループ、14.1%の三菱UFJフィナンシャルグループ、13.5%のANAホールディングス、10.4%のトヨタ自動車、8.6%の日産自動車などである。
株価全体を底上げするメリットがある一方で、逆にそのことによって企業株価がわかりにくくなっているというデメリットも出てきている。
今後、最も懸念されるのは、一例でいえば、政府がこれまでの金融政策を転換することにより株価の大幅な下落や年金の毀損などにもつながることである。
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今後日本はどう成長してゆくのか(9月23日)
コロナ禍にあって世界各国で債務が増加している。日本も例外ではない。2019年末に1328兆円あった借金にさらにコロナの債務がこれから積み増しされてくる。
世界各国が今、どうやって債務を減らすかについて模索している。債務を減らすためには3つの方法1.増税、2.緊縮財政、3.成長戦略などの方法がある。感染が拡大し続け、収束する兆しが見えない中では、1と2の方法は難しい。
各国は3の成長戦略を主眼にグランドコンセプトづくりを急いでいる。...
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コロナ禍にあって世界各国で債務が増加している。日本も例外ではない。2019年末に1328兆円あった借金にさらにコロナの債務がこれから積み増しされてくる。
世界各国が今、どうやって債務を減らすかについて模索している。債務を減らすためには3つの方法1.増税、2.緊縮財政、3.成長戦略などの方法がある。感染が拡大し続け、収束する兆しが見えない中では、1と2の方法は難しい。
各国は3の成長戦略を主眼にグランドコンセプトづくりを急いでいる。フランスは環境分野に的を絞り一点突破しようと目論んでいる。ドイツはデジタル分野における成長戦略を考えている。
日本の菅政権はドイツに近い成長戦略を模索しているように見える。例えば香港がアジアの金融センターとしての地位を失う中で、日本はアジアの金融センターの座をシンガポールと競い合っている。
日本がデジタルを成長戦略の柱に据えるならば、デジタル金融であるフィンテクも視界に入れておく必要がある。
更に考えるならば、日本の成長戦略の本命は科学や医療分野だろう。ノーベル賞受賞者を多く輩出している日本が科学や医療分野で本気を出せばこの分野が成長分野になる可能性が十分にある。
今後、日本に必要とされるのは超高度な科学的人材を育成していくことである。そのためには研究論文数を増やしていくことにもっと力を入れていくべきである。
2020年に自然科学の論文数で中国が米国を抜いて初めて世界1位になったが、注目度の高い論文数で日本は9位と、10年前より順位を落としてしまっている。言うまでもなく科学技術は軍事や産業の基盤であり、国の体幹力となっていくものであり、ここを補強するべきではないだろうか。
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菅政権には守りだけではなく経済成長も期待したい(9月21日)
少子高齢化や経済成長率の低迷が続く中、菅新政権が発足し、「規制改革」や「省庁の縦割り打破」、「デジタル改革」を前面に打ち出し、目玉政策の実現に向けて矢継ぎ早に新閣僚に指示を出している。こうした姿勢が好感され、世論調査では小泉政権、鳩山政権に次ぐ歴代3位の高い支持率を叩き出している。
菅新政権が打ち出している政策は、例えば世界的に見て割高な日本の携帯電話料金を下げたり、省庁の壁を取り払い、本来進めるべき政策が前進できるようにし、コロナ禍で明らかになった日本のデジタル化の遅れを取り戻すということであり、日本にとっては避けては通れない道であり、国民の生活にも直結するものばかりである。...
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少子高齢化や経済成長率の低迷が続く中、菅新政権が発足し、「規制改革」や「省庁の縦割り打破」、「デジタル改革」を前面に打ち出し、目玉政策の実現に向けて矢継ぎ早に新閣僚に指示を出している。こうした姿勢が好感され、世論調査では小泉政権、鳩山政権に次ぐ歴代3位の高い支持率を叩き出している。
菅新政権が打ち出している政策は、例えば世界的に見て割高な日本の携帯電話料金を下げたり、省庁の壁を取り払い、本来進めるべき政策が前進できるようにし、コロナ禍で明らかになった日本のデジタル化の遅れを取り戻すということであり、日本にとっては避けては通れない道であり、国民の生活にも直結するものばかりである。
しかし、これだけでは弱点の補強に過ぎない。菅政権は安倍政権を継承していくとしているが、アベノミクスの3本の矢の内、成長戦略は未だに定まっていない。日本にとって本当に必要なのはこれから先、どう経済成長していくか具体的なビジョンを打ち立てることである。
日本にはまだまだ高度な人材が沢山いることを踏まえれば、日本が目指すべき道は「超高度科学技術人材の活用」ということになるのではないか。
例えば歴代ノーベル賞受賞者に新たなプロジェクトを立ち上げてもらうとか、iPS細胞などの高度医療技術への活用を促進し、、蓄電池の高度化や水素電池の実用化、衛生システムの高度化、6G、電磁波技術や衛星技術、更にはサイバー攻撃に強いシステムの構築などが考えられる。
こうしたアクションを起点として経済成長や市場開発、そして新しいモノやコトを創り出していくクリエーション能力をどのように作り出していけるかが鍵となると思われる。
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新しい産業革命・グリーンリカバリーの動き(9月5日)
ここにきて新しい産業革命の動きが出てきている。グリーンリカバリー、ポストコロナ革命、高度医療革命などである。今回はグリーンリカバリーについて取り上げる。
1982年の統計開始以来、過去最高の海面水温を記録し、日本のすぐ沿岸までの海水温度が30度という異常な事態となっている。近年、巨大台風が日本列島を襲うことが増えているが、こうして温まった海水を巨大なエネルギー源として台風が吸い上げることで勢力が維持されていることが大きい。...
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ここにきて新しい産業革命の動きが出てきている。グリーンリカバリー、ポストコロナ革命、高度医療革命などである。今回はグリーンリカバリーについて取り上げる。
1982年の統計開始以来、過去最高の海面水温を記録し、日本のすぐ沿岸までの海水温度が30度という異常な事態となっている。近年、巨大台風が日本列島を襲うことが増えているが、こうして温まった海水を巨大なエネルギー源として台風が吸い上げることで勢力が維持されていることが大きい。なぜ海水温があがっているのかといえば、人類がたくさんのエネルギーを得る為に石炭や石油などの化石燃料を燃やすようになった結果として、大気中の二酸化炭素が急速に増加し、これが上空にたまり、あたかも地球が温室のようになった結果、温度が上がっている。日本を脅かし始めている災害の原因は地球温暖化である。
今、日本の今後のいく道を探る上で参考になる考え方が欧米で注目を浴びている。
それはグリーンリカバリーという考え方で、「気候変動などの環境対策をコロナ後の経済復興の中心に据えようという動き」である。より具体的には太陽光発電や風力発電、地熱発電などの地産地消のクリーンエネルギーへの投資や、土にかえるレジ袋、紙製のストローなど環境に負荷をかけないプロダクツなどの生産など、コロナ危機で停滞した社会を地球温暖化問題や環境問題に役立てようという考え方である。
欧州や中国が特に積極的な動きを見せており、EUでは7500億ユーロの復興基金(別名:グリーンリカバリーファンド)を設置し、この基金の一部は、例えば化石燃料から再生可能エネルギーにシフトするなど、地球温暖化問題などの環境対策などに充てられている。一方、中国も電気自動車(EV)の補助金を2年延長するなど積極的な対応を行っている。
グリーンリカバリーは新たな産業革命と言っても過言ではなく、世界中でグリーンリカバリーの機運が高まっている。日本も国際社会の一員としてグリーンリカバリーに参入していく道を必然的に選ばざるを得ない。
特に日本はパリ協定において「2030年度に2013年度比でCO排出量をマイナス26.0パーセント」を国の目標として掲げている。グリーンリカバリーによってこの目標を達成することにつなげていくことができる可能性が開け、近未来に台風や災害の数を減らすことにもつながる為、日本にとっては緊喫の課題になっている。
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これから、日本はどこを主戦場にして戦うのか(8月17日)
トランプ政権は13日、ファーウェイなど中国IT企業5社との取引を禁ずる規則を施行し、日本企業も中国企業との取引を見直さざるを得ない状況となっている。
例えばNTTデータの一部のグループ会社は中国製品を他社製品に交換し、KDDIは5G基地局で中国系5社の製品を使わないことを決めた。またソフトバンクは4G基地局の一部でファーウェイやZTEの製品を使っていたが、18年以降はエリクソン社とノキア社製のものに変更済である。...
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トランプ政権は13日、ファーウェイなど中国IT企業5社との取引を禁ずる規則を施行し、日本企業も中国企業との取引を見直さざるを得ない状況となっている。
例えばNTTデータの一部のグループ会社は中国製品を他社製品に交換し、KDDIは5G基地局で中国系5社の製品を使わないことを決めた。またソフトバンクは4G基地局の一部でファーウェイやZTEの製品を使っていたが、18年以降はエリクソン社とノキア社製のものに変更済である。日立製作所は米国政府に納入する製品ではそもそも5社のものを使っていないが、規制の定義が曖昧な為様子見の姿勢である。
これまで日本は米中両方にいい顔をしながら両国の間をうまく泳ぎながらビジネスを行ってきた。これからはさらに米中のデカップリングが進み、少なくともトランプ政権が続く間は米中両国にいい顔を見せることが以前ほど簡単にはいかなくなる可能性が高い。
中国は日本にとって輸出入共に2018年からの最大のビジネスパートナー国で、中国との取引を制限されると日本企業にも大きな影響が出てくることは間違いないが、実は日本企業にとってのチャンスになる可能性もある。中国以外にも市場は米国、欧州、アジアといくらでもある。例えば次世代移動通信システム・5Gの導入が今後進んでくるとみられるが、そうなると世界中で半導体需要が高まってくる。
最先端の半導体を製造するためには、オランダASMK社のエクストリーム・ウルトラバイオレット(極端紫外線)露光装置が必要となるが、同社に必要な部材を供給しているのは信越化学工業や東京応化工業といった日本企業である。
これまで日本は、補完的な産業に過ぎない観光ビジネスの一本足打法に力を注ぎ過ぎ、本来、力を注ぐべきモノづくりなどの産業支援を怠ってきた。今回のような機会を利用して、日本のハイテク産業や部品産業を強化していくいい機会である。
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1年後の東京五輪は(7月25日)
まるでGo Toキャンペーンと歩調を合わせるかのように7月23日、東京五輪の日程が発表された。
同日、競泳女子の池江璃花子が、ランタンを両手に持って来年のメインスタジアムとなる国立競技場の中央に立ち、「1年後の今日、この場所で、希望の炎が輝いていてほしい」と世界にメッセージを発信した。
水面下ではIOCと日本のせめぎ合いが行われている。開催推進派のIOC・バッハ会長は「必要な時期に判断する」としている。...
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まるでGo Toキャンペーンと歩調を合わせるかのように7月23日、東京五輪の日程が発表された。
同日、競泳女子の池江璃花子が、ランタンを両手に持って来年のメインスタジアムとなる国立競技場の中央に立ち、「1年後の今日、この場所で、希望の炎が輝いていてほしい」と世界にメッセージを発信した。
水面下ではIOCと日本のせめぎ合いが行われている。開催推進派のIOC・バッハ会長は「必要な時期に判断する」としている。一方、やや慎重姿勢を見せているIOC・コーツ調整委員長は「今年10月ぐらいが開催可否の判断になる」としている。日本としては、来年3月ぐらいまで判断を先延ばししたい思いがある。
いずれにせよ最終決定権はIOCが握っており、年内には判断が下される可能性が高い。
米国の感染者の状況が鍵となるとみられるが、現在米国の感染者数は依然増加傾向にある。せめてもの光は死者数がピーク時の3分の1程度に減ってきていることである。
こうした中、各国でワクチンの開発競争がヒートアップしている。ただし開催予定の来年7月までにはおそらく間に合わないと言われている。
ワクチンの完成が五輪開催の絶対条件だったはずだったが、ここにきてコロナとうまく共存しつつ開催するという方向に微妙に論調が変わってきている。
コロナ下で開催される場合には複数のシナリオが考えられる。最も可能性が高いのは無観客五輪である。
海外からの観光客を呼んだ場合、コロナに感染したり別の感染症を持ち込まれるなどした場合、日本の医療体制では対応ができないので外国からの観光客は受け入れられない。ただし人数を会場別に上限を設け感染対策を徹底した上で日本人観光客を会場に入れる可能性はある。選手や関係者には徹底したPCR検査を実施し、8K、4Kテレビ放送、5Gなどテクノロジーを駆使するなどし、ウィズコロナ、ポストコロナ時代にふさわしい新しい五輪を演出することになるものとみられる。
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直面する日本政府のIT化の遅れ(7月18日)
今の日本はデジタル先進国からほど遠い。それは未だにハンコ社会であることや、マイナンバーカードシステムをめぐる混乱、新型コロナの感染者数をめぐるやり取りがFAXで行われていたことなどからも明らかである。
日本のIT化が進んでこなかった最大の理由は、行政と政治にある。予算が各省庁に降りてきてもほとんど丸投げで、霞が関が予算を消化するための存在になっていて、その結果に対して誰も責任を持たなかったし、専門的なチェックもなく、周囲から追及もされることがなかった。...
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今の日本はデジタル先進国からほど遠い。それは未だにハンコ社会であることや、マイナンバーカードシステムをめぐる混乱、新型コロナの感染者数をめぐるやり取りがFAXで行われていたことなどからも明らかである。
日本のIT化が進んでこなかった最大の理由は、行政と政治にある。予算が各省庁に降りてきてもほとんど丸投げで、霞が関が予算を消化するための存在になっていて、その結果に対して誰も責任を持たなかったし、専門的なチェックもなく、周囲から追及もされることがなかった。そこにはビジョンも一貫性もなかった。それが当たり前として通用してきた。
そういう中で事業者は、デジタルシステムの互換性をなくして、その事業を囲い込み、独占をすることで利益の最大化を図ることが目的になってしまった。こうしたことが慣習化し、ルーティン化してしまったために、結果として日本のIT化が遅れてしまったといえる。
各省庁がそれぞれバラバラなことをやり、協力し合うこともないので一括した横断的なシステムも作れず、それをシステムとして海外に展開していくということもできなかった。そもそも国権の最高機関が率先してデジタル化を進めてこなかった上に、お題目ではデジタル化、IT化と言いながらその本質を把握できずに、発想もおよそ合理的ではなかった。
例えば日本のスーパーコンピューターが世界一速いと自慢するのは結構なことだが、それをどう使うか、その運用の仕方が重要であることにそもそも気づいていない。速いこと自体にはたいして意味もない。
こうしたことの問題に気が付き、やり方を抜本的に変えない限り、今後も日本政府のIT化進展は望めそうもない。事は大変厳しい状況である。
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