ワクチン開発第三弾・トランプ「年末までに」(5月10日)
現在、医薬基盤研究所のワクチンは実験用ワクチンの開発の段階にきている。
実験用ワクチンはほぼできており、このまま秋口ぐらいには動物実験が終わることを目標にしている。これが終わると臨床試験を検討することになる。
ワクチンは種類によって効果や安全性、価格、生産の安定性などが異なる。例えばモデルナ社のワクチンは遺伝子を使っている。これは比較的簡単に製造可能で、価格、生産の安定性という面で非常に優れている。...
全部読む
現在、医薬基盤研究所のワクチンは実験用ワクチンの開発の段階にきている。
実験用ワクチンはほぼできており、このまま秋口ぐらいには動物実験が終わることを目標にしている。これが終わると臨床試験を検討することになる。
ワクチンは種類によって効果や安全性、価格、生産の安定性などが異なる。例えばモデルナ社のワクチンは遺伝子を使っている。これは比較的簡単に製造可能で、価格、生産の安定性という面で非常に優れている。
その反面、この種類のワクチンは今まで実用化された例はない。日本の医薬基盤研究所のワクチンは効果が長持ちし副作用も少ない反面、比較的製造が難しく価格が少し高くなる。ニーズに応じて使いわけるということがワクチンではできるので、仮に後発であっても世界各国が様々なワクチンの研究を行っているというのが現状である。
現在、異例のスピードで特例承認がたくさん行われるために、なかなかいつできるのかは想像できない。
閉じる
CEPIの力も活用する日本(5月9日)
新型コロナウイルスの収束に向けて治療薬やワクチンの開発・普及を支援するための国際会議が4日、オンラインで開催された。欧州連合(EU)によると、日本を含む各国は計74億ユーロ(約8610億円)の拠出を約束したという。安倍首相はビデオメッセージで、世界的な官民連携でワクチン開発に取り組む感染症流行対策イノベーション連合(CEPI:Coalition
for Epidemic Preparedness Innovations)に対する新規拠出を約束したという。...
全部読む
新型コロナウイルスの収束に向けて治療薬やワクチンの開発・普及を支援するための国際会議が4日、オンラインで開催された。欧州連合(EU)によると、日本を含む各国は計74億ユーロ(約8610億円)の拠出を約束したという。安倍首相はビデオメッセージで、世界的な官民連携でワクチン開発に取り組む感染症流行対策イノベーション連合(CEPI:Coalition
for Epidemic Preparedness Innovations)に対する新規拠出を約束したという。
この会議を前にCEPI代表・リチャードハチェット氏は「ワクチン開発に20億ドル(2100億円)の資金が必要になる」「われわれが開始したワクチン開発プロジェクトには直ちに追加資金が提供されなければ先に進められない。そうなれば世界が必要としているワクチンが提供できなくなる」と資金提供を呼び掛けていた。CEPIの運営資金はこれまで日本、ノルウェー、ドイツ、英国、オーストラリア、カナダ、ベルギーなど日欧主要国や、米国のビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラストなどの財団から拠出されてきた。CEPIはイノビオファーマシューティカルズ(米国)、グラクソ・スミスクライン(英国)などの製薬会社のほか、クイーンズランド大学(豪州)、オックスフォード大学(英国)などの研究機関とも提携している。
CEPI・ハチェット氏は「得られた果実は必要な人々のために使う。ワクチン開発を促進し、候補ワクチンを迅速に臨床試験に導く」と素晴らしい理想を掲げているが、不思議なことに資金を拠出している日本にはこの組織の情報があまり伝わってこない。CEPIの支援で米国・モデルナ社と米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)連合が「mRNA-1273」ワクチンを開発しているといい、現在はこのワクチンの第2段階の治験に入っているという。成人600人を対象に2種類のワクチン候補を異なる用量で投与し、安全性や有効性を調べているという。夏をめどに、開発の最終段階に当たる治験の第3段階に入る見込みであり、早ければ年内にも接種可能になる可能性があるという。
ワクチン開発には科学的にも生産体制の面からも、多くの障害が伴うことは明らかである。量産化のためには最低でも1年半以上の時間がかかるとされている。何よりも厄介なのは新型コロナウイルスが人類が直面した新しいウイルスであり、あまりにも未知のことが多すぎるという点である。例えば、集団免疫を確立するために必要なワクチン接種人数も現段階ではわからない。
特に問題なのは新型コロナウイルスが変異しやすいRNAウイルスであるということで、ワクチンが出来ても、変異してすぐに効かない変異株が登場する可能性が非常に高い。RNAウイルスというのは、例えばエイズウイルスにしてもインフルエンザにしても、ワクチンの効果があったという報告はこれまでない。日本としては、結果が得られない場合もあることも覚悟しつつ、2021年東京オリンピック開催に向けてCEPIの力も活用していきたいところである。
閉じる
コロナを取り巻く新薬の動き(5月9日)
米国・トランプ政権が「レムデシビル」の緊急使用を認可し、日本政府もこの動きに合わせて特例承認でこの薬を早期に使えるようにしたことは賞賛される動きである。薬は製薬会社(ギリアドサイエンシズ社)から無償で提供され、保険診療分は公費で賄われるという。
今後、「レムデシビル」は重症患者に対する有望な治療薬として期待されるが、厚生労働省によると日本向けへの供給量には限りがあるため、当面は人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)などが必要な重症の患者に優先配分される見込みだという。...
全部読む
米国・トランプ政権が「レムデシビル」の緊急使用を認可し、日本政府もこの動きに合わせて特例承認でこの薬を早期に使えるようにしたことは賞賛される動きである。薬は製薬会社(ギリアドサイエンシズ社)から無償で提供され、保険診療分は公費で賄われるという。
今後、「レムデシビル」は重症患者に対する有望な治療薬として期待されるが、厚生労働省によると日本向けへの供給量には限りがあるため、当面は人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)などが必要な重症の患者に優先配分される見込みだという。
一方「レムデシビル」と並んで期待されてきた和製新薬「アビガン(ファビピラビル)」だが、ここに来て勢いに陰りが出てきている。これまでに2000人以上の軽症、中等症患者に投与され、症状改善が報告されている一方で、催奇形性などの副作用や1人の治療に想定量の3倍が必要となっているなどの報告があり、厚生労働省が慎重になっているとの見方がある。国内承認にも当初の見込みより時間がかかっていて、国内実用化は今夏としているがずれ込む可能性もある。
この他、新薬実用化の動きとしては、重症化肺炎の引き金となるサイトカインストームを防ぐリウマチ治療薬「アクテムラ」が9月までに治験を終了し、10月に米国で実用化の見込みである。さらに重症患者に用いる抗マラリア薬「クロロキン」と「ヒドロキシクロロキン」は米国では緊急使用が認可されたが、日本での実用化は未定となっている。「ヒドロキシクロロキン」は「突然死」や「心臓への深刻な副作用」が報告されているが、このあたりが日本で実用化が進まない一因である可能性がある。
現在、日本ではウイルスの増殖を防ぐ抗寄生虫薬「イベルメクチン」やサイトカインストームを防ぐ抗リウマチ薬「トシリズマブ」など様々な薬が新型コロナウイルスに効果があるとして、連日報道がされているが、実用化のルートに着実に乗っていく薬なのかどうかはきっちりと見定める必要がある。日本は特に薬の認可には厳しい。薬害エイズなどの前例があるため、厚生労働省が薬事承認にことさら慎重姿勢を取ることは理解できるが、日本の承認審査の仕組みは諸外国に比べ柔軟性に欠けるという批判の声もある。
新型コロナウイルスの収束が見えない中で、日本も緊急時の医薬品承認の仕組みを再考し、コロナウイルスに立ち向かえる薬の種類を増やしていかなければ、新型コロナの第二波、第三波を乗り切ることが難しくなるのは間違いないく、慎重姿勢の一方で柔軟な姿勢も求められている。
閉じる
PCR検査促進がカギとなる(5月9日)
PCR検査がなかなか進まない日本に対して、PCR検査数が圧倒的に少ないとして国際的に批判が巻き起こっている。今、日本はPCR検査を増やしていかなければならない瀬戸際にまで追い込まれている。
日本で現在行われているRT-PCR法は、時間がかかるのが難点で、1日につき7000~9000件レベルの検査に留まっている。これを増やしていくために日本がとるべき方法の一つは大学や研究所にある既存のPCR検査機器をフル活用することが一つの選択肢ではないだろうか。...
全部読む
PCR検査がなかなか進まない日本に対して、PCR検査数が圧倒的に少ないとして国際的に批判が巻き起こっている。今、日本はPCR検査を増やしていかなければならない瀬戸際にまで追い込まれている。
日本で現在行われているRT-PCR法は、時間がかかるのが難点で、1日につき7000~9000件レベルの検査に留まっている。これを増やしていくために日本がとるべき方法の一つは大学や研究所にある既存のPCR検査機器をフル活用することが一つの選択肢ではないだろうか。
安倍総理に対し、京都大学・山中教授は研究所にある使用可能なPCR検査機器30台の提供を申し出たが、他にもすぐに使える未使用のPCR検査機器が多く存在するといわれている。どこの大学・研究機関・病院・検査機関にどれだけ眠っているのかを早急にリットアップすることが急務である。当然のことながらこれらを扱える検査技師、医療関係者の確保も重要であるが、そこに働く研究員の活用も視野に入れるべきである。
検査数を増やしていくには他のPCR検査と組み合わせていくことも考えなければならない。例えば最近注目されている「唾液によるPCR検査」は、検査自体は4~6時間かかりRT-PCR法と変わらないものの、検体採取が簡単な点が特長であり、米国・ロサンゼルス郡ではこの検査方法で18万2000人余りが検査を終えている。医療スタッフへの感染リスクが低いというメリットもあり、一刻も早い承認が求められている。
この他のPCR検査としては、長崎大学が進めている蛍光LAMP法がある。このPCR検査は最短35分で行うことできる。3月下旬から行政検査で行うことが可能となっており、現在、長崎に停泊中のクルーズ船「コスタアトランチカ」乗務員への検査に用いられているなど既に実績がある。
感染状況を知る検査にはまだ、「抗原検査」というものもある。抗原検査は血液などを使い新型コロナウイルスへの感染を10~15分で調べることができるというメリットがあるが、判定精度に多少難があり、PCR検査と併用で使用するのが望ましいとされている。厚生労働省が来週中にも薬事承認し、みらかHDの検査キットが国内で実用化される予定である。
日本は自らが置かれている状況を知る上でも、出口戦略を決める上でも様々な手法を組み合わせて、PCR検査数を増やしていかなければならない。こうした体制を整えておくことは今後、感染の第二波、第三波が来た時の備えにもなるといえる。
閉じる
日本製全自動PCR検査機に大きな期待が(5月9日)
日本でPCR検査の機械を作っているメーカーがある。千葉県に本社がある「PSS」に駐日フランス大使から感謝状が届いた。
このメーカーが作った機械が迅速なウイルス検出で社会貢献したからだ。2015年に発売され遺伝子の抽出から増幅解析まで全自動でできる。メリットはおよそ1時間~2時間で結果判明すること、付着ミスがなく精度が高いこと、人がウイルスに触れないなど安全なこと、一日240件の検査が可能なこと。...
全部読む
日本でPCR検査の機械を作っているメーカーがある。千葉県に本社がある「PSS」に駐日フランス大使から感謝状が届いた。
このメーカーが作った機械が迅速なウイルス検出で社会貢献したからだ。2015年に発売され遺伝子の抽出から増幅解析まで全自動でできる。メリットはおよそ1時間~2時間で結果判明すること、付着ミスがなく精度が高いこと、人がウイルスに触れないなど安全なこと、一日240件の検査が可能なこと。しかし、日本では未承認で1台も販売されていない。
PCR機器を販売するのにはヨーロッパでは販売手続きが簡単だが、日本は厚労省の認可申請手続きが煩雑で通常認可まで1年以上かかる。
もともと日本ではPCR検査のマーケットが小さかったため海外での事業を優先した。
しかし、ここにきて日本でも今月中に認可申請を出す方針だ。
厚労省は特例で最短2週間で認可するとのことである。
閉じる
「ワクチン・新薬・検査」内の検索