ファーウェイを追い込む米国(2月9日)
(台湾の半導体製造技術を必要としている中国)
中国のハイテクといえばファーウェイのスマホや5G基地局などが先進的なハイテク技術としてしばしば挙げられる。実はこうした技術の中核として使われている半導体の製造において中国は世界のトップクラスの韓国サムスンや、台湾TSMCと比較した場合、最長10年の後れがあるといわれている。現在、台湾は世界の半導体生産の3分の2を担っている半導体先進国であり、この半導体製造が今の中国は非常に弱いため、「中国製造2025」を是が非でも達成したい中国はこの技術を喉から手が出るほど欲していると言っても過言ではない。...
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(台湾の半導体製造技術を必要としている中国)
中国のハイテクといえばファーウェイのスマホや5G基地局などが先進的なハイテク技術としてしばしば挙げられる。実はこうした技術の中核として使われている半導体の製造において中国は世界のトップクラスの韓国サムスンや、台湾TSMCと比較した場合、最長10年の後れがあるといわれている。現在、台湾は世界の半導体生産の3分の2を担っている半導体先進国であり、この半導体製造が今の中国は非常に弱いため、「中国製造2025」を是が非でも達成したい中国はこの技術を喉から手が出るほど欲していると言っても過言ではない。特に台湾TSMC社は巨額の開発資金、ナンバー1のエンジニアを擁しているためになおさらである。最終的に中国は半導体の開発から製造までの全工程を国内で行いたいと考えており、このため中国は「ワンチャイナ」を掲げ、巧みに台湾企業を引き付けようとしてきた。半導体製造の専門知識を中国本土に移転させることを奨励し、この技術を手に入れるために、台湾の半導体製造会社との協力を水面下で強化していた。その代表的事例が台湾半導体製造会社・UMCと中国・FJICCとの共同研究開発活動であったが、このプロジェクトは米国が中国経由の半導体を輸入しないと発表したことを受けて中止となってしまった。これは中国にとっては相当の打撃となった。
(ファーウェイを追い込む米国)
米国は「中国製造2025」を中国が米国からハイテク覇権を奪うための核であると見定めて、既に中国ZTEを倒産寸前にまで追い込んだ。米国は現在、ファーウェイに照準を絞り、米国マイクロン社の知的財産を奪ったとの嫌疑をかけて、米国へのファーウェイ製品全面輸入禁止措置を発動する可能性もでてきている。このため危機感を強めたファーウェイ幹部は台湾のASEテクノロジーHD、キングヤン電子、TSMC社に対して(被害が出る前に)「ほとんどの生産を中国のサイトに移すことを望んでいる」と発言したと伝えられている。米国がファーウェイを追い詰め過ぎたことによって皮肉にも中国が思い描く方向に話が進んでいく可能性も出てきている。とは言っても、中国の工場では16ナノメートルの半導体しか物理的に作れないため、7ナノメートルと12ナノメートルの半導体を作りたいTSMCが拠点を中国に移す可能性は低いと指摘する専門家もいる。
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中国人観光客:爆買いは何処に(2月4日)
2月4日は春節(旧正月)の大晦日にあたり、中国では本日から1週間が休日となる。本年は延べ700万人が海外旅行する見通しである。
中国人観光客というと、日本では家電製品や化粧品などを大量に購入することから「爆買い」などという言葉も生まれたが、昨年あたりから中国人観光客の爆買いのイメージが変化しつつある。
中国旅游(観光)研究院がまとめた調査報告書によると、2018年に中国人観光客の旅行先での支出のうち、飲食費、宿泊費、娯楽等のサービスの割合は各々14%、21%、24%で、買い物代は前年の34%から16%に縮小している。...
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2月4日は春節(旧正月)の大晦日にあたり、中国では本日から1週間が休日となる。本年は延べ700万人が海外旅行する見通しである。
中国人観光客というと、日本では家電製品や化粧品などを大量に購入することから「爆買い」などという言葉も生まれたが、昨年あたりから中国人観光客の爆買いのイメージが変化しつつある。
中国旅游(観光)研究院がまとめた調査報告書によると、2018年に中国人観光客の旅行先での支出のうち、飲食費、宿泊費、娯楽等のサービスの割合は各々14%、21%、24%で、買い物代は前年の34%から16%に縮小している。買い物代の割合が縮小した要因として、報告書は、改革開放以来40年が過ぎ、一人当たり平均4回は海外旅行を経験するようになり、買い物する際も「所有しているか、していないか」ではなく「品質の良いモノ」を購入するようになり、消費が成熟したからと見ている。また博物館や世界遺産の見学などの体験型の消費が増えてきているからではないかとみている。
日本の観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると一人当たりの旅行支出はオーストラリア(242,050円)、スペイン(236,996円)、イタリア(224,268円)に次いで中国は223,640円と4位であった。また上位3か国がいずれも前年に比べ支出が増加しているのに対し、中国は2.9%の減少であった。もっともこの支出額の違いは、宿泊数の違いによる要因もあるものと思われ、オーストラリアの場合は平均13.3泊であったのに、中国は9.7泊である。このため買い物代の割合は中国人はいまだに全支出の49.6%の110,923円をあてているのに対し、オーストラリア人は12.7%(30,746円)に過ぎない。買い物代の割合については、中国観光研究院の調査とかなり違うが、日本以外での買い物が少ないということなのだろう。
ただし2019年に入ると日本での買い物も減少しているようである。日本の四大デパートの免税売り場の1月の数字を2018年1月の数字と比べると、高島屋で15%減、三越伊勢丹で6.6%減、そごう西武で10%減、大丸松坂屋で1%減となっている。この要因として2月1日「人民日報(海外版)」は中国で1月から正式にeコマースが解禁され、中国国内でも日本の免税品を購入できるようになったこと、人民元が昨年に比べ日本円に対し3.5%上昇しているからだとしている。
さらにいえば、中国の景気減速により、消費者の財布のひもが固くなっている可能性も高い。中国人の消費の成熟と相俟って、「爆買い」とは違う消費性向が現れつつある。
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中国で景気減速・ことしの春節は?(2月4日)
中国では、旧正月の春節に合わせた大型連休が始まり、日本にも大勢の旅行客が訪れるとみられている。
ただ、中国の景気減速が鮮明になっていて、今年の春節は少し事情が違うようだ。家族連れなどの旅行客で混雑する中国・広州の空港。出国ラッシュが本格化している。
新年を旧暦で祝う中国では、あす元日にあたる春節を迎える。これにあわせ大晦日にあたるきょうから7日間の大型連休。期間中、延べ700万人近くが海外旅行に行く予定。...
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中国では、旧正月の春節に合わせた大型連休が始まり、日本にも大勢の旅行客が訪れるとみられている。
ただ、中国の景気減速が鮮明になっていて、今年の春節は少し事情が違うようだ。家族連れなどの旅行客で混雑する中国・広州の空港。出国ラッシュが本格化している。
新年を旧暦で祝う中国では、あす元日にあたる春節を迎える。これにあわせ大晦日にあたるきょうから7日間の大型連休。期間中、延べ700万人近くが海外旅行に行く予定。中国の旅行予約サイトによると、日本はタイに次ぐ人気の旅行先だ。
先月には、訪日ビザの発給要件が大学生などを対象に緩和されたこともあり、今回も多くの人が日本を訪れると見られる。
中国人旅行客では日用品や電化製品の爆買いで知られている。
今年の春節の時期はどうか。これまで同様、消費意欲が盛んな人がいる一方で節約を口にする人も。消費を抑えようという声の背景には米国との貿易摩擦の激化に伴って景気の先行きに不透明感が広がっていることがあるかもしれない。
変化は、数字にも表れている。去年1年間に日本訪れた中国人1人当たりの消費額は、22万3640円。前の年より2.9%減っている。
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なぜ急成長・中国の先端技術(1月31日)
去年12月、中国が打ち上げた無人探査機。月の裏側への着陸を目指す挑戦は世界の注目を浴びた。
経済が減速する中でも人工知能=AI、ビッグデータなど次世代の技術開発では依然急成長を遂げている中国。その原動力となっているのが海外で最先端の技術を身に付けた“海亀”と呼ばれる若者たちだ。
海亀が開発した自動運転車は最高水準のレベル4を実現した。
ロードスター.AIの創業者の一人のCEOも海亀のひとりで、米国に渡り、技術を母国へ持ち帰る海亀だ。...
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去年12月、中国が打ち上げた無人探査機。月の裏側への着陸を目指す挑戦は世界の注目を浴びた。
経済が減速する中でも人工知能=AI、ビッグデータなど次世代の技術開発では依然急成長を遂げている中国。その原動力となっているのが海外で最先端の技術を身に付けた“海亀”と呼ばれる若者たちだ。
海亀が開発した自動運転車は最高水準のレベル4を実現した。
ロードスター.AIの創業者の一人のCEOも海亀のひとりで、米国に渡り、技術を母国へ持ち帰る海亀だ。
グーグルやテスラなどIT企業を渡り歩き、自動運転技術のプロジェクトに携わってきた。20~30代の海亀も。中国はこうした海亀を後押しし、起業支援を行うなどこの5年で海亀の数は200万人になった。
米国シリコンバレーでは海亀候補を囲い込む動きも活発になっている。
こうした現状に技術の流出も懸念され、米国政府も危機感を抱いている。
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米の華為起訴に中国反発(1月30日)
28日、米司法省は華為技術をイランとの違法取引や企業秘密の窃盗など23の罪状で起訴したが、これに対し、中国は反発を強めている。
1月29日付「環球時報」は社説でこの問題を取り上げている。
事実関係としてはイランとの取引について華為は29日に否定する声明を発表しており、また企業秘密の問題についてはすでに2017年に民事裁判で判決がでており、双方が和解しているとしている。
中国が反発しているのは、この問題が華為技術という民営企業の問題にとどまらないからである。...
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28日、米司法省は華為技術をイランとの違法取引や企業秘密の窃盗など23の罪状で起訴したが、これに対し、中国は反発を強めている。
1月29日付「環球時報」は社説でこの問題を取り上げている。
事実関係としてはイランとの取引について華為は29日に否定する声明を発表しており、また企業秘密の問題についてはすでに2017年に民事裁判で判決がでており、双方が和解しているとしている。
中国が反発しているのは、この問題が華為技術という民営企業の問題にとどまらないからである。中国で勃興し、グローバル市場をも牽引しようとしている中国の先端技術産業を米国が潰しにかかろうとしていると感じているからである。「環球時報」は「ニューヨークタイムス」の「5Gシステムの支配権をめぐる米中の争いは新しい軍備競争だ」という記事をわざわざ引用している。華為が敗北すれば、他の先端技術の分野でも、米国の中国に対する圧力がさらに厳しくなる恐れがある。
中国政府と中国社会は華為を支持し、政府は米国との交渉にさらに力をいれ、米国の華為に対する不公平な態度をできるだけ和らげさせるとしているから、華為に対し毅然とするようによびかけている。
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