米国国防総省が中国の軍事増強に警鐘(5月4日)
(米国国防総省が中国の軍事増強に警鐘)
米国の政治サイト「ポリティコ」は米中貿易交渉について関税を段階的に引き下げすることで大筋合意し、来週末にも妥結する可能性があると報じている。米中の緊張がここで一段落するのかと思いきや、米国国防総省が、中国の軍事増強に警鐘を鳴らす年次報告書を発表し、米中関係緩和の動きに水をさしている。米国国防総省が2日に発表した年次報告書によると中国の軍事費は今後少なくとも5年~10年間増加し続け、2022年までに2600億ドル(約29兆円)に達すると予測されるとしている。...
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(米国国防総省が中国の軍事増強に警鐘)
米国の政治サイト「ポリティコ」は米中貿易交渉について関税を段階的に引き下げすることで大筋合意し、来週末にも妥結する可能性があると報じている。米中の緊張がここで一段落するのかと思いきや、米国国防総省が、中国の軍事増強に警鐘を鳴らす年次報告書を発表し、米中関係緩和の動きに水をさしている。米国国防総省が2日に発表した年次報告書によると中国の軍事費は今後少なくとも5年~10年間増加し続け、2022年までに2600億ドル(約29兆円)に達すると予測されるとしている。中国はすでに最新式の電磁式カタパルトを備えるとみられる2隻目の国産空母も建造中であり、2022年までにこの空母の運用を開始するとみられている。中国には複数の空母を持つことによって太平洋における米軍の軍事的プレゼンスに対抗していきたい思惑がある。
(中国が軍備を急拡張する背景には台湾問題も)
中国が軍備を急拡張するのは米軍へ対抗するという目的だけでなく、台湾問題への対処という側面も大きく存在している。中国にとって台湾は海洋進出していく際の障害となっていてこれを統一することは悲願である。年次報告書では中国は台湾を支援する第三国を排除し、武力で台湾を本土に統一する有事に備えている可能性があると指摘されている。中国が台湾にとる可能性のある軍事手法としては、海上や航空の封鎖、サイバー攻撃、潜入した特殊部隊によるインフラへの攻撃、軍事施設へのミサイル攻撃などが挙げられている。3月31日に中国戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて侵入したことや、4月15日にバシー海峡上空の飛行訓練なども台湾攻撃作戦を想定したものである可能性がある。
(注目は台湾総統選挙)
武力だけではない。中国は台湾に傀儡政権をうちたて、武力によらない台湾併合も同時進行的に構想している。2020年1月には台湾総統選挙が予定されているが、中国は親中派の台湾総統を誕生させたいと考えているのは間違いない。その親中派候補のひとりとみられるホンハイ精密工業のカクタイメイ会長が台湾総統選に立候補を表明した。5月1日には訪米しトランプ大統領と面会したが、この1時間弱の会談の中でカク会長は「総統に当選した場合には、米台関係を強化する」との方針を伝えたというが、米国も額面通りには受け取っていないとみられる。米中の神経戦は台湾をめぐっても複雑な展開をみせていきそうで、注視していく必要がある。
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中国外交部:新時代も日中友好を(5月1日)
4月30日、中国外交部の耿爽報道官は、日本の天皇の退位と新しい時代の日中関係に何を期待するかとの記者の質問に対し、天皇が1992年に訪中され、党や国家の多くの指導者と会見なさったことは、中日の関係に多大な貢献となったと評価した。また新時代になってもセンシティブな問題を適切に処理し、中日関係が穏やかに発展することを望むと述べた。
中国が中日関係を改善させていこうとしている時期だけに、好意的なコメントとなっている。...
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4月30日、中国外交部の耿爽報道官は、日本の天皇の退位と新しい時代の日中関係に何を期待するかとの記者の質問に対し、天皇が1992年に訪中され、党や国家の多くの指導者と会見なさったことは、中日の関係に多大な貢献となったと評価した。また新時代になってもセンシティブな問題を適切に処理し、中日関係が穏やかに発展することを望むと述べた。
中国が中日関係を改善させていこうとしている時期だけに、好意的なコメントとなっている。
一方4月30日の「環球時報」に、中国社会科学院日本研究所の唐永亮研究員の「新天皇の即位が意味するところは」という解説記事を掲載している。
唐は、第二次世界大戦後の天皇は象徴としての天皇であり、政治や宗教に対する影響力は弱くなっているので、影響は大きくはないとしている。2014年のNHKの世論調査を1973年のそれと比べて、現在の天皇制に関して説明を試みている。例えば「天皇に好感を抱くか」という質問に対し、「抱く」との回答は1973年には20.3%だったが、2014年には42.7%になっている、「尊敬の念をいだくか」については変わらず34.2%だった、という数字を紹介し、なぜこのような回答になったのかということを解説しているのである。
第一に日本人が政治に無関心になりつつあるからだとして、生前退位も日本社会には大きな影響を与えないだろう。第二に日本の皇室は祭祀や皇室外交、慰問活動を積極的に行っている。このため第二次世界大戦後は皇室の役割は限りがあるとはいえ、日本が国難にあったときには国を助ける管理機構となることから、日本民族の生存のためには不可欠な存在になっている、というのである。
それでは令和の時代はどんな日本社会になっていくのか。
日本政府の説明によると、「令和」というのは、「秩序正しく平和に穏やか」という意味であるが、少子高齢化が進み、経済も疲弊することから、政治的な選択と戦略的判断が求められるだろう。
さらに「生前退位」という特例を「皇室典範」で認めたことを突破口として、将来にわたって女性天皇を認めるということも検討されるようになるかもしれない。
最後に、秋篠宮家に2006年男児が誕生したときに、ベビー用品を中心に株価の上昇が見られたが、令和の時代になったことで、経済が上向くのではないかと、人々に期待させている。
「期待させている」の部分はいくつかある使役の文字の中からわざわざ「令和」にひっかけて「令」の字を用いているのは、経済の上昇には懐疑的で皮肉のようにも思われる。
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「一帯一路」サミット閉幕(4月28日)
26日から北京で開催されていた第2回「一帯一路」サミットは27日に閉幕した。習近平主席は、閉会後の記者会見で、「共に建設し、共に分かち合う原則をしっかりと実施し・・・各方面に恩恵を及ぼす必要がある」と述べ、参加国との連帯をアピールした。
さらに相手国の財政事情を考慮せずに、プロジェクトの被供与国が債務の返済が難しくなる「債務の罠」に陥らせているのではないかとの批判を受け、各国や国際機関のルールに則るとし、また供与国と被供与国という関係ではなく、水平レベルの関係に立つとしている。...
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26日から北京で開催されていた第2回「一帯一路」サミットは27日に閉幕した。習近平主席は、閉会後の記者会見で、「共に建設し、共に分かち合う原則をしっかりと実施し・・・各方面に恩恵を及ぼす必要がある」と述べ、参加国との連帯をアピールした。
さらに相手国の財政事情を考慮せずに、プロジェクトの被供与国が債務の返済が難しくなる「債務の罠」に陥らせているのではないかとの批判を受け、各国や国際機関のルールに則るとし、また供与国と被供与国という関係ではなく、水平レベルの関係に立つとしている。国際機関との協力については、国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をサポートする議題を「一帯一路」の共同建設にも取り込んでいくとも述べており、民生や環境に考慮することをアピールしている。
さらに環境問題については「クリーンで、グリーンな発展を目指し、保護主義に反対し、民生に注意し、経済・社会・環境が協調して発展できる道をたどる」として、環境に配慮し、開かれたプロジェクトを目指すことを約束している。これまでのプロジェクトでは中国企業のみが落札して、地元に還元されないという批判を意識しているのであろう。
さらに2013年に「一帯一路」が提唱されたときには、国務院の関係者は、「これは中国版『マーシャルプラン』だ」とも称していたが、今回は初めての試みとして、関係国の企業家が集まっての商談会が開催された。習近平主席はサミット期間中に640億㌦余の協議が成立したとして、成果を誇っているが、「一帯一路」の中身がますます混沌としてきている感は否めない。
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一帯一路への批判をかわしたい中国(4月27日)
(一帯一路への批判をかわしたい中国)
中国の巨大経済圏構造「一帯一路」をテーマにした国際フォーラムが北京で開催された。「一帯一路」における沿線国との貿易額は約1.3兆ドル(2018年)となり構想提唱時の2013年に比べ2割増えたという。今回、ロシア・プーチン大統領ら37か国の首脳と150か国からの来賓が参加した。日本からは二階幹事長が出席したことから、中国は「一帯一路」への協力に関して日本が半ば賛同していると受け取っているかも知れない。...
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(一帯一路への批判をかわしたい中国)
中国の巨大経済圏構造「一帯一路」をテーマにした国際フォーラムが北京で開催された。「一帯一路」における沿線国との貿易額は約1.3兆ドル(2018年)となり構想提唱時の2013年に比べ2割増えたという。今回、ロシア・プーチン大統領ら37か国の首脳と150か国からの来賓が参加した。日本からは二階幹事長が出席したことから、中国は「一帯一路」への協力に関して日本が半ば賛同していると受け取っているかも知れない。一方、米国は「一帯一路が途上国を借金漬けにしている」との批判を展開し、このフォーラムへの高官の派遣を見送っている。こうした米国からの批判を考慮に入れた習近平国家主席は、「各国の法律を遵守し、現地の社会や経済の発展に実のある貢献をしていくと同時に国際ルールに基づき、相手国の財政の持続可能性にも配慮していく」などと「一帯一路」を軌道修正する方向性を示し始めた。このような姿勢を示した背後には、高まりつつある各国からの批判をかわそうとの思惑が透けて見える。ただし、「一帯一路」を強力に推進していく中国の基本姿勢に変わりはなく、デジタルや通信分野方面でも米中のぶつかり合いが表面化するとみられる。
(デジタル分野における米中覇権争いに発展か?)
特に次世代通信規格・5Gから米国はファーウェイなどの中国製品を排除するようファイブアイズや同盟国に呼びかけており、日本も対応を迫られている。こうした中、今回のサミットで習主席は「各国が中国企業を平等に遇することを希望する」と米国をけん制した。例えばジンバブエなどは中国製顔認証システムをすでに空港や駅の至るところに導入しているし、タンザニア・ウガンダ・ケニアでは中国に倣ってメディアでの言論統制のための法整備に着手しているという。中国がアジアやアフリカの一帯一路沿線国に活路を見出していこうとしていることは明らかで米中のデジタル覇権争いは水面下でいよいよ激しくなりそうな雲行きとなっている。
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中国“最新型”駆逐艦・各国の注目集める(4月24日)
きのう初めて公開された中国の最新鋭駆逐艦。アジア最大級の大きさとされる。日本をはじめ61カ国の会軍代表が中国山東省青島の国際観艦式に招かれた。
空母「遼寧」など32隻の艦艇が登場した。初めて公開されたのが最新型駆逐艦「055型」。アジア最大級で高性能レーダー備える。
撮影した映像で何が読み取れるのか?元海上自衛官で中国の軍事情勢に詳しい笹川平和財団上席研究員・小原凡司は米国に対する対抗意識が表れていると指摘している。...
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きのう初めて公開された中国の最新鋭駆逐艦。アジア最大級の大きさとされる。日本をはじめ61カ国の会軍代表が中国山東省青島の国際観艦式に招かれた。
空母「遼寧」など32隻の艦艇が登場した。初めて公開されたのが最新型駆逐艦「055型」。アジア最大級で高性能レーダー備える。
撮影した映像で何が読み取れるのか?元海上自衛官で中国の軍事情勢に詳しい笹川平和財団上席研究員・小原凡司は米国に対する対抗意識が表れていると指摘している。
注目去れたのは潜水艦094Aで、従来まっすぐだった部分が丸みを帯びた形に改良されている。そして世界第2位の大きさの駆逐艦055型だが、これについては「遠海護衛を担う一番主役になると思われる、最新鋭の武器・レールガンやレーダを載せたいとしている」と述べる。
新型駆逐艦と空母を組み合わせることに中国は影響力を世界に広げようと分析している。
日本の海上自衛隊の参加した今回の国際観艦式。一方、中国の海洋進出に警戒を強めている米国は艦艇の派遣を見送った。
各国と強調を進める習近平国家主席は、軍事力を背景に「一帯一路」を推進していると見ている。
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