中国・習近平国家主席・27日から初訪日(6月23日)
中国外務省は「習近平国家主席が安倍総理の招待を受けて、今月27日から29日までの2泊3日の日程で日本を訪れる」と発表した。
習主席の日本訪問は2013年の就任以来初めてとなる。
習主席は日本滞在中、G20大阪サミットに出席するほか、安倍総理や貿易問題などで対立する米国・トランプ大統領と会談する見通しである。
環球時報2019-06-20付社評より(6月22日)
米中貿易戦争が本格化する様相を呈している中、大阪G20を前に、先日、両国首脳による電話会談の結果が世界に注目されている。それを交渉再開の転機と捉え、環球時報は20日の深夜、「公平な協議が両国にとって必要である。では、公平とは」という題で社評を発表した。
社評は、「公平な協議とは、各自の利益により異なる理解が存在する。しかし、双方の理解が歩み寄るようにするためには、そこに掴める糸口がある」としたうえ、次の三つの「対等」を挙げている。...
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米中貿易戦争が本格化する様相を呈している中、大阪G20を前に、先日、両国首脳による電話会談の結果が世界に注目されている。それを交渉再開の転機と捉え、環球時報は20日の深夜、「公平な協議が両国にとって必要である。では、公平とは」という題で社評を発表した。
社評は、「公平な協議とは、各自の利益により異なる理解が存在する。しかし、双方の理解が歩み寄るようにするためには、そこに掴める糸口がある」としたうえ、次の三つの「対等」を挙げている。「まず、利益の対等。一方の利益ばかりのために、もう一方の利益を損ねるような協議結果は、征服以外にはありえない。次に、コスト負担の対等。協議結果により生じたコストを一方に押し付けるべきではない。さらに、文書の対等。協議文書には圧力を一方的に掛ける側とその圧力に負け、屈した側がわかるような表現があってはならない」と強調した。
全体的には、中国の立場を繰り返し、代弁している論調にすぎないとみるべき向きが強い社評ではあるが、今回の大阪G20の舞台を借りて米中両国の首脳会談が成果を結ぶのではないかとの期待感が新たに出たところも窺える。一方、これまでより一歩踏み込んだ論点も展開されており、それがこの社評の最後の部分に滲じみ出ている嘗ての朝鮮戦争時代を連想させる「打打談談」という言葉である。つまり、既に貿易戦争に突入している中国とアメリカは、戦場でも付き合ってきた相手だから、どっちにでも出てこい、と言わんばかりだ。
また社評は、このように結んでいる。
「中国の態度は、比較的に安定していて、我々の『戦いたくないが、戦いは恐れていない。必要な時は戦わざるを得ない』というフレーズを知らざる人はいないであろう。1年余りの「打打談談(戦っては交渉の意)」との状況を経て、アメリカは、このような中国の態度を客観的且つ全面的理解ができるよう。中国は、貿易戦争が両国関係の常態になることを望まず、速やかに終止符を打ち、これ以上の損害が双方に出ないようにすべきである。両国関係が再び正常の軌道に戻りたいというのは、中国社会の基本意向である。同時に、アメリカの態度の不安定を見てきたからこそ、情勢がその都度、悪い方向に転がる可能性に対しても準備を整えている。」と。
脚注:
「打打談談(戦っては交渉の意)」は、もともと中国が朝鮮戦争に参戦してからの米中関係を毛沢東が好んで使ったことばとして知られている。
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G20直前の動き(6月22日)
米中貿易戦争・ハイテク戦争に加え、香港での大規模デモで苦境に追い込まれていた習近平国家主席だったが、矢継ぎ早に手を打っている。香港政府の報道官は中国本土への容疑者移送を可能にする逃亡犯条例改正案について「政府は改正作業を完全に停止した」と発表した。
習主席は北朝鮮・平壌を訪問し、国賓として北朝鮮側に熱烈な大歓迎を受けた。両首脳は首脳会談の中で中朝の関係強化を打ち出し、米朝の非核化交渉を後押しする姿勢を示したが、中国メディアが習主席が核問題について発言したことを報じる一方で、北朝鮮メディアは非核化への言及が一切なくこの点では中朝の対応が分かれた。...
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米中貿易戦争・ハイテク戦争に加え、香港での大規模デモで苦境に追い込まれていた習近平国家主席だったが、矢継ぎ早に手を打っている。香港政府の報道官は中国本土への容疑者移送を可能にする逃亡犯条例改正案について「政府は改正作業を完全に停止した」と発表した。
習主席は北朝鮮・平壌を訪問し、国賓として北朝鮮側に熱烈な大歓迎を受けた。両首脳は首脳会談の中で中朝の関係強化を打ち出し、米朝の非核化交渉を後押しする姿勢を示したが、中国メディアが習主席が核問題について発言したことを報じる一方で、北朝鮮メディアは非核化への言及が一切なくこの点では中朝の対応が分かれた。習主席は今回の訪問について「朝鮮半島問題の政治的な解決を進めるという中朝の堅い意思を示すことができた」と総括した。
経済制裁で疲弊する北朝鮮は習主席から食糧支援、エネルギー支援を取り付けた可能性があるといわれる一方で、8月には中国共産党の重要会議(北載河会議)を控え、習主席としてはG20で人権問題などでつるし上げに遭う事態だけは避けたい思いがあった。
香港問題を直前に沈静化させた習主席にとって今回の平壌訪問は国際社会に対し悪いイメージに紐づけされた香港問題から目をそらさせるという格好のパフォーマンスとなった。多忙なスケジュールの隙間を縫ってでも行う価値のあるものだったといえる。中朝関係の友好を演出することで、北朝鮮への中国のプレゼンスを示したという意味も大きく、北朝鮮との強い絆をカードにG20で中国が米朝の仲介を申し出るという分析もあるが、米朝が対話できるルートがまだ残されている中で中国が仲介することには限界があり、北朝鮮との関係は対米カードにならないという見方も根強い。ただ米中の間ではG20サミットを前に雪解けムードの気配も見えてきていることも確かである。米国は中国へ制裁関税第4弾をちらつかせてきたがG20サミットに合わせ中国・習近平国家主席との首脳会談で貿易協議を再開すると明らかにした。習近平国家主席と電話で会談したトランプ大統領は、「中国は合意を望んでおり、中国と合意の可能性はある」と述べた。
G20は最早、国際間の重要な理念や合意事項をまとめる場ではなく、最早現在起こっている問題の単なる調整の場と化している。今G20は消滅への正念場にかかっている。
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中朝:党関係は盤石に(6月22日)
20日から北朝鮮を訪問していた中国の習近平国家主席は、21日には、各々の夫人を伴って、錦秀山迎賓館の庭園を散策しながら、金正恩委員長と会見し、午後3時には帰国の途についた。
今回の習近平国家主席の訪朝の発表が中国共産党中央対外連絡部であったことからわかるように、今回の習近平訪朝によって、中国共産党と朝鮮労働党の関係が、1992年以前の良好な関係に戻ったことを意味する。中朝関係は、「党と党が特殊な関係」であると言われていたが、1992年に中国と韓国が国交を樹立して以降は「普通の関係」(他の国交を有している国々と同様な関係)になったといわれていた。...
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20日から北朝鮮を訪問していた中国の習近平国家主席は、21日には、各々の夫人を伴って、錦秀山迎賓館の庭園を散策しながら、金正恩委員長と会見し、午後3時には帰国の途についた。
今回の習近平国家主席の訪朝の発表が中国共産党中央対外連絡部であったことからわかるように、今回の習近平訪朝によって、中国共産党と朝鮮労働党の関係が、1992年以前の良好な関係に戻ったことを意味する。中朝関係は、「党と党が特殊な関係」であると言われていたが、1992年に中国と韓国が国交を樹立して以降は「普通の関係」(他の国交を有している国々と同様な関係)になったといわれていた。
今回の習近平訪朝中時には北朝鮮側も党本部庁舎に習近平国家主席を招き、本部庁舎前で記念撮影をするという異例のことも行っていた。
北朝鮮にとって中国はようやく盤石な後ろ盾になってくれたことになる。
習近平国家主席は、中国が強力な後ろ盾になるから、段階的でもよいので、完全な非核化をすることを金正恩委員長に認めさせることはできたのか。7年間にわたる中朝の不信感を拭い去ることができたのか。G20の折に予定されている米中首脳会談で切られることになる北朝鮮カードはどのくらいの威力があるものになるのだろうか。
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中朝首脳会談、米朝対話に期待(6月21日)
20日12時(現地時間)に、習近平国家主席は平壌に到着、その後中朝の首脳会談が開催された。
習近平国家主席は、北朝鮮が過去1年半に様々な対話を進展させたことで、国際社会の期待を得られたこと、さらに今後も国際社会は朝米会談が継続させ、成果をだすことを期待している、として、朝米会談を継続するようにとの期待を示した。
さらに中国も朝鮮半島問題の政治的解決を希望しており、問題解決のための積極的役割を果たすと述べ、米国への仲介役となることを暗示した。...
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20日12時(現地時間)に、習近平国家主席は平壌に到着、その後中朝の首脳会談が開催された。
習近平国家主席は、北朝鮮が過去1年半に様々な対話を進展させたことで、国際社会の期待を得られたこと、さらに今後も国際社会は朝米会談が継続させ、成果をだすことを期待している、として、朝米会談を継続するようにとの期待を示した。
さらに中国も朝鮮半島問題の政治的解決を希望しており、問題解決のための積極的役割を果たすと述べ、米国への仲介役となることを暗示した。
これに対し金正恩委員長は、過去1年余、北朝鮮は緊張状態を避けるために、様々な措置をとったが、相手側(名指しせず)が積極的な反応を見せず、北朝鮮が望んだようにはなっていない。北朝鮮は忍耐心を持って相手側が向き合ってくれることを望んでいる。合理的な解決法案を探し出し、朝鮮半島問題について対話で成果をもたらすことを願っている。北朝鮮は問題を解決する上での中国の役割を高く評価している、として、朝米対話に対して、中国が仲介役としての役割を果たしてくれることへの期待を明らかにした。
北朝鮮が米国に対し、どのようなカードを切ろうとしているのかは、現段階ではわからないが、中国は、G20での中米首脳会談で、米中貿易問題の他に、もう1枚北朝鮮カードを切ることができるようである。どのくらい強さのカードになるのか、トランプ大統領を動かすことができるのかが、注目される。
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