日本の宇宙開発最前線(5月14日)
22日から24日にかけて来日するバイデン大統領の訪日の狙いのひとつが、宇宙分野における日本との協力である。それほど日本の宇宙開発技術への評価が高く、特に日本の衛星技術に対する米側の期待値が高いことが、バイデン大統領の来日目的から透けて見えてきている。
今月22日~24日までの来日となるバイデン大統領が注目しているのは日本の「リモートセンシング衛星コンステレーション」技術である。...
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22日から24日にかけて来日するバイデン大統領の訪日の狙いのひとつが、宇宙分野における日本との協力である。それほど日本の宇宙開発技術への評価が高く、特に日本の衛星技術に対する米側の期待値が高いことが、バイデン大統領の来日目的から透けて見えてきている。
今月22日~24日までの来日となるバイデン大統領が注目しているのは日本の「リモートセンシング衛星コンステレーション」技術である。米国にはデジタルグローブ社、マクサーテクノロジーズ社などの「リモートセンシング衛星コンステレーション」技術があるが、米国の衛星網だけではカバーしきれないため、それを補うものとして日本の衛星コンステレーション技術に期待をかけているのである。
「衛星コンステレーション」のコンステレーションとは、星座を意味し、数珠繋がりのように複数台の衛星がまとまっていることからそう呼ばれている。「衛星コンステレーション」には「通信衛星コンステレーション」や「リモートセンシング衛星コンステレーション」など、様々な種類があり、安全保障、気象観測等の特定目的に組み合わせて使うことが普通である。特に最近、話題となっているのは「リモートセンシング衛星コンステレーション」で、ウクライナの戦況把握のための精密な衛星画像がテレビで公開され、ロシア軍の車両の動き、住民虐殺の有無など、戦争のありとあらゆる事象が衛星画像によって暴かれたことは世界の人々に驚きをもって受け止められた。
米国は独自の超小型衛星技術を開発している日本のアクセルスペース社などに注目しているとみられる。さらにもうひとつバイデン大統領は今回の来日で米国主導の「アルテミス計画」についても日本との協力で合意する見通しである。
月面探査で日本をリードする企業は宇宙ベンチャーispaceである。月面探査プログラム「HAKUTO-R」を用いて2022年に月面着陸を果たし、2023年には月面探査を行いたい計画である。ispaceの最終的な目的は月と地球が一体となった経済圏をつくることであり、日本企業が主体となって月面で産業革命を起こしたいと考えている。
一方、JAXAが挑もうとしているのは火星衛星探査計画「MMX」である。火星の衛星「フォボス」の表層物質を採取し地球に持ち帰るもので、「はやぶさ2」に続く世界初の火星圏からのサンプルリターンプロジェクトを試みようとしている。探査機は2024年度に打ち上げられ、5年後に地球へ帰還する予定である。
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日米防衛相・連携強化確認・北朝鮮・中国への対処など(5月5日)
岸防衛相は訪問先の米国でオースティン国防長官と会談し、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮を非難するとともに、海洋進出を強める中国についてインド太平洋地域で力による一方的な現状変更を許さず、こうした動きを抑止し必要があれば対処するために連携を強化していくことを確認した。
またロシアの軍事侵攻を厳しく非難しウクライナに対し引き続き日米が連携して支援することを確認。そして日本政府が年末までに改定する方針の国家安全保障戦略などについて岸大臣は、弾道ミサイルに対処するための「反撃能力」保有や防衛費増額を求める自民党の提言も念頭に、防衛力を抜本的に強化する考えを伝え、日米双方の戦略をすり合わせていくことで一致。...
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岸防衛相は訪問先の米国でオースティン国防長官と会談し、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮を非難するとともに、海洋進出を強める中国についてインド太平洋地域で力による一方的な現状変更を許さず、こうした動きを抑止し必要があれば対処するために連携を強化していくことを確認した。
またロシアの軍事侵攻を厳しく非難しウクライナに対し引き続き日米が連携して支援することを確認。そして日本政府が年末までに改定する方針の国家安全保障戦略などについて岸大臣は、弾道ミサイルに対処するための「反撃能力」保有や防衛費増額を求める自民党の提言も念頭に、防衛力を抜本的に強化する考えを伝え、日米双方の戦略をすり合わせていくことで一致。
さらに核開発を進める北朝鮮のほか、核保有国のロシア、中国が日本の隣国であることを念頭にオースティン長官が“米国の核戦力を含む抑止力によって日本を守る「抑止拡大」について、米国の関与はゆるぎない”と述べたのに対し岸防衛相は”核抑止が信頼でき強靭であり続けるために日米間の取り組みが従来にもまして重要だ”と応じた。
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日米安全保障政策の会合・米国で「反撃能力」保有めぐり議論(5月4日)
今月22日からからバイデン大統領が日本を訪れるのを前に日米の安全保障政策について議論する会合がワシントンで開かれ、自民党が政府に提言した弾道ミサイルなどに対処するための反撃能力の保有などを巡り意見が交わされた。
米国のシンクタンクで3日開かれたこの会合には自民党の安全保障調査会の会長を務める小野寺元防衛大臣が出席し、弾道ミサイルなどに対処するための反撃能力を保有することを党として政府に提言したと説明した。...
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今月22日からからバイデン大統領が日本を訪れるのを前に日米の安全保障政策について議論する会合がワシントンで開かれ、自民党が政府に提言した弾道ミサイルなどに対処するための反撃能力の保有などを巡り意見が交わされた。
米国のシンクタンクで3日開かれたこの会合には自民党の安全保障調査会の会長を務める小野寺元防衛大臣が出席し、弾道ミサイルなどに対処するための反撃能力を保有することを党として政府に提言したと説明した。そのうえで「今は北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を行うなど相手の領土から直接攻撃される可能性がある」と述べ反撃能力を保有する必要性を強調した。
これに対し出席者からは「日米の合同の司令部がない中、どのように反撃を行うのかなど疑問点も多くある」といった指摘が出された。
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ウクライナ侵攻の裏で米国離れが進んでいる(5月2日)
米国・ミリー統合参謀本部議長は2日、「ウクライナ侵攻でロシアが何の罰も受けずに済んでしまえば、国際秩序は破綻するだろう」「そうなれば、我々は深刻な、不安定さの増した時代に突入することになる」と世界に向けて訴えた。
国際秩序を書き換えようとしているロシアに対して世界が一枚岩になって制裁していくというのが米国の青写真であり、日本国民も「当然世界はそのように動いていくだろう」と思っていたが、現実はそう簡単な話ではないようだ。...
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米国・ミリー統合参謀本部議長は2日、「ウクライナ侵攻でロシアが何の罰も受けずに済んでしまえば、国際秩序は破綻するだろう」「そうなれば、我々は深刻な、不安定さの増した時代に突入することになる」と世界に向けて訴えた。
国際秩序を書き換えようとしているロシアに対して世界が一枚岩になって制裁していくというのが米国の青写真であり、日本国民も「当然世界はそのように動いていくだろう」と思っていたが、現実はそう簡単な話ではないようだ。
特に東南アジア、中東の米国離れはここ数年顕著なものになってきている。そもそも彼らは欧米と同じ価値観の国々ではなく、仕方がない側面もあるが、少なくともこれまでは米国の言うことに耳を傾けていた。それが今は耳を傾けようともしなくなっているのである。
まずは中東について、言えば、米国はアフガニスタン・リビア・シリア・イラン・イラクなど、中東の紛争に世界の警察官としてかなりの期間にわたって軍事介入してきた。ところが結果的に、これらの国を民主化できずに撤退した。「結局、米国は自らの理想のためでなく利権を守るために介入していたのだ」ということが後になって明らかになりはじめた。米国が自国でシェールガス・オイルが産出するようになってから中東とすぐに距離を取りはじめたことはそのことをよく表しているとも言える。
かつては米国企業と組んで石油利権を築きあげた中東湾岸諸国にとって米国は大事な顧客だったが、その親密な関係は今では失われている。米国は欧州勢と結託して脱化石燃料を推し進める一方、自らのシェールガスやオイルを売りさばく現実的な競争相手となっている。この流れの中で今、中東諸国の中では、ロシア擁護の動きさえ出ている。
東南アジアでも米国は遠い存在になっている。距離の近い中国からは経済的な恩恵を数多く受ける一方、TPPやRCEPなどの経済連携でも米国と顔を合わせることも少なくなった。その結果、米国の東南アジアにおける存在感は確実に低下している。ミャンマーや香港でも民主主義に立ち上がった学生たちを米国は助けずに見殺しにした。これらのことが米国に対する悪印象につながっている。
信用をなくしている米国がいまさら「民主主義を守るために団結せよ」と叫んでみても彼らには白々しく聞こるだけとなっている。日本に対しても厳しい目線が向けられており、日本は自らの置かれている立ち位置をよく把握し、これまで以上にバランスを考えながら外交を行わなければ、中国が台頭するアジアの中で苦しい立場が待っている。
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バイデン大統領・来月・日韓訪問(4月28日)
松野官房長官の発表によるとバイデン大統領が日本を訪れるのは来月22日から3日間。23日に岸田総理大臣との日米首脳会談を行うほか、24日には日本、米国、両国にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」の首脳会合も開かれる予定。バイデン大統領が日本を訪れるのは就任後初めて。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや、覇権主義的行動を続ける中国への対応で連携を確認するほか、自由で開かれたインド太平洋実現へ協力強化。...
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松野官房長官の発表によるとバイデン大統領が日本を訪れるのは来月22日から3日間。23日に岸田総理大臣との日米首脳会談を行うほか、24日には日本、米国、両国にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み「クアッド」の首脳会合も開かれる予定。バイデン大統領が日本を訪れるのは就任後初めて。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアや、覇権主義的行動を続ける中国への対応で連携を確認するほか、自由で開かれたインド太平洋実現へ協力強化。
松野官房長官は「ロシアによるウクライナ侵略という力による一方的な現状変更が現実に行われ、国際秩序に大きな衝撃が加えられた中で、インド太平洋とりわけ東アジアにおける平和と繁栄を確保するため、あらゆる面での緊密な連携を確認することは極めて重要だ。大統領の訪日が日米両国の決意を示す機会となることを期待する」と述べた。
クアッド首脳会合について「国際情勢や地域情勢などについて首脳間で率直な意見交換を行うとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力への力強いコミットメントを日本から世界に示す機会としたい」と述べた。
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