【風の流れ】
安倍首相・トランプ氏との手合わせへ(2月9日)
ロス米次期商務長官の正式就任が今回の訪米までに見込めなくなったことで、世耕弘成経済産業相の首相同行渡米は取りやめになったと、8日明らかになった。
安倍首相は、9日トランプ大統領との首脳会談の目的で、麻生財務大臣を伴って訪米する。
今回の首脳会談では、「日米成長雇用イニシアチブ」と称して、米国での高速鉄道などへのインフラ投資やロボット、AIの共同開発など日本からの提案を用意している。
これには、日本から50兆円近くの資金的背景が必要となると見られている。
更に貿易不均衡の問題に加えて、厄介な「為替操作」が議題になる可能性が強い。
日本は、デフレからの脱出のために、資金供給量を増やしたと主張しているが、トランプ氏側はその結果、ドルに対して円が安くなり、日本からの輸出が有利になったと主張している。
トランプ氏側から見れば、意図はどうあれ「日本に有利な為替操作が行われた」と主張することになるであろう。
円安ドル高といった為替の動きには、立場に拠った動機があるが、動きそのものはシンプルで、その影響も貿易面で見るとはっきりとした数字で表現されることになる。
結果から見ると、為替の変動で日本の輸出は増え、米国の輸入も増えて、日本に対する貿易赤字が増えたということになる。
とは言え、デフレインフレといった金融政策まで、米国に支配されるわけにはいかない訳で、ここは「国内の金融政策」だと主張し、頑張るしかない。
最後は、国家主権の問題になってくる。
貿易収支や経常収支と為替の関係は、数字上は極めてシンプルであるが、国内の金融政策と密接にかかわるものなので、日米の主張は一致することはないと思われる。
そこで、今回日本政府は「日米成長雇用イニシアチブ」という極めて政治色が強い解決策をトランプ氏に提案することになるとみられる。
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