【風の流れ】
米英首脳会談に見る現実(1月27日)
米国・トランプ大統領は27日には就任後初となる外国の首脳との会談が予定されていた。その相手がEU離脱を表明した英国・メイ首相。2人は会談に先立ちフィラデルフィアで開かれている共和党の会合で演説した。演説でメイ首相は「英国は米国と手を携えて悪を打ち負かし世界を切り開いてきた。両国は再び世界を主導する」などと呼びかけ、テロ対策などの国際的な課題でトランプ大統領と協力していく姿勢を示した。
一方、米国第一主義を旗印に外交政策の大幅な転換を掲げるトランプ大統領はEU(ヨーロッパ連合)からの離脱交渉を控えているメイ首相を初の首脳会談の相手に選んだ。米国と英国の特別な関係と言われる同盟関係を確認する事で、トランプ外交の基盤づくりを進めるものと見られる。
今回の会談について専門家は最大の注目点は通商政策であり、米国と英国の2国間の通商協定を結ぶ為の交渉が視野に入ると見ている。
英国にとって米国は最大の輸出相手国であり、両国の親密さはしばしば「特別な関係」と言われてきた。EUとの通商関係が不透明になる英国としては今後も米国に医薬品や自動車など輸出製品を買ってもらうためFTA(自由貿易協定)の締結が重要になってくる。現在、英国経済は堅調。今朝発表された2016年10-12月期のGDPは前期比でプラス0.6%と市場予想を上回っていて、EU離脱後に進んだポンド安が輸出産業の収益を押し上げているほか観光業などにも追い風が吹いている。
またポンド安の流れが続くかは不透明と言えそう。こうした来るべき厳しい状況を乗り切る為にも英国としては米国との関係が重要になってくる。特に一部ではかつてのサッチャー首相とレーガン大統領の様な特別に親密な関係を期待する声もある。
トランプ大統領は今後、カナダや日本の首脳とも順次会談する見通しで、メイ首相との会談はトランプ外交を占う試金石となりそうである。
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