【風の流れ】
トランプ氏の交渉術・30年前のシーン(1月25日)
トランプ大統領は、自動車を巡って日本からは大きな輸送船で数十万台も輸出されている。それに比較し米国車は日本でほとんど売れていないと大きな不満を抱いている。
それが貿易の不公平だと批判し、貿易赤字を解消するために2か国間で協議を始める考えを示している。
それに対し、日本側は日本メーカーの現地生産は進み、80~90年代の構造は変わっていると反論している。
現に米国の貿易赤字に占める日本の割合も1991年の65%から減り続け、2015年には9%に低下している。
政府は「日本では米国の自動車に輸入関税は全くかからない。関税以外の部分でも日本車と比べて差別的な取り扱いはしていない」と強調している。
米国での日本車の生産台数も384万台で、1985年ごろに比較し、10倍以上に増え、自動車関連産業の雇用数は米国で150万人規模に上っていると説明している。
トランプ氏は確かに80年代の対日観で、不公平感を語っている。しかし単純に言えば未だに日米の自動車貿易の数字上で見たアンバランスは残っている。
トランプ氏は、意図的に分かりやすい自動車産業に焦点を合わせ、単純な貿易上の数字を挙げて、不公平感を表している。
しかもトランプ支持の中核にあるラストベルト地帯の住民の雇用に結びつきやすい自動車産業を狙い撃ちにしている。
こうしてみると、自動車における不公平感を日本の立場に立っていくら説明しても埒が開かなくなる可能性もある。
やはり、米国車が日本で売れる方法を日本政府が考えるしかないのかも知れない。
何か30年ほど時代が遡ってしまったようであるが。
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