【風の流れ】
米ロ核軍拡宣言・新冷戦状態に入るか(12月26日)
22日ロシアのプーチン大統領が「戦略核戦力強化の必要がある」と発言した後、トランプ次期大統領候補が「世界が核の道理をわきまえるまで、米国は核戦力を大幅に強化、拡大しなければならない」とツイッターに投稿した。トランプ氏は対ロ関係の修復に動いていると思われていたが、米ロの新たな核軍拡が始まる可能性も出てきた。
最初に口火を切ったのはプーチン氏で、「ロシアとして欧州等に配備される米国のMD(ミサイル防衛システム)を突破できるミサイル配備が必要だ」とし、核戦力を強化するよう指示した。23日これに対しトランプ氏は、「軍拡競争をやればいい」と述べ、ロシアに対抗する姿勢を打ち出した。
トランプ氏は、詳細は明らかににしていないが、オバマ大統領のこれまでの方針を見直し、ロシアや中国に対抗して核の抑止力を強化する政策に転換する可能性が出てきた。
1991年にSTART1(第一次戦略兵器削減条約)を締結し、ICBM(大陸間弾道ミサイル)に長距離射程の戦略核を載せた戦略核の数を削減した。10年には新STARTに両国共に署名をしたが、14年にロシアがクリミア半島を併合して以来、核を巡る協議は頓挫している。
「核無き世界」を標榜しているオバマ政権でも、核兵器の近代化に向け、30年で1兆ドルの計画を承認して、核弾道の小型化やミサイルの精度向上に取り組んできた。
核大国米ロを今後率いる両者共に、強気の性格で、思い切ったことを平気で発言する等、似通ったところがあり、世界は今後どんなリスクを背負うか予測がつかなくなってきている。
第二次世界大戦の後、約40年も続いた陰鬱な「冷戦状態」が再現するのか、核の迎撃戦が始まるのか、予断できない状態となる可能性が出てきた。
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