【風の流れ】
トランプ氏の外交戦略(12月14日)
トランプ次期米国政権の陣容が見えてきた。
次期国務長官には、石油メジャー最大手エクソンモービル社のCEOであるレックス・ティラーソン氏に決まった。
ティラーソン氏は、ロシアでの事業に深く関わり、プーチン大統領から「ロシア友好勲章」を授与された、文字通り親プーチン派の人物である。
この人事が意味するところは、トランプ次期政権ではロシアとの関係を修復し、「クリミア・ウクライナ紛争」で決定的に悪化した米ロの関係を改善して行こうとする意図が見える。
現在ロシアに対して、行われている日本を含む欧米の経済制裁もトランプ氏主導で解除の方向に向かう可能性すら感じさせる、今回の人事である。
一部報道されているように、ロシアが大統領選挙でトランプ氏の勝利を狙ってサイバー攻撃を仕掛けたとする分析結果を米CIAがまとめたとの情報もある。
ことの信憑性を引き続き確かめる必要もあるが、経済制裁で苦境にあるプーチン大統領が、仕掛けた策略と見ることもできる。
トランプ氏は、そのことも視野に入れつつ、今回の人事を決めて、中東特にシリアでロシアと共に戦略を練るという選択肢も考えられる。
そして、トランプ氏の矛先は、米国人の職を奪う中国や他の国に向けられる可能性は充分考えられる。
トランプ氏の最優先関心事項は、米国の経済的繁栄とその結果として米国民の職の確保であるとすれば、当面の敵は、中国、日本、ドイツ、メキシコということになる。
経済国家としての脅威ではないロシアとの友好関係は、トランプ次期政権としては歓迎するところである。
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