【時流】
大統領と財務長官・対中国スタンスの違い(2月24日)
米国のトランプ大統領は、中国とメキシコを名指しして米国国内の雇用が奪われたと批判し、両国に対する貿易赤字が大きい現状を改善して、貿易の不均衡を是正する必要があるという考えを強調した。
トランプ大統領は23日、ホワイトハウスで米国の製造業の経営トップを集めた会合を開いて、「中国がWTO(世界貿易機関)に加盟して以来、米国での7万箇所の工場は閉鎖になった」と批判した上で、「米国はよい貿易協定を持っていない」と述べた。
この日、貿易に関する発言で日本について言及はしなかった。またドル高や為替操作についても改めて言及し、特定の国を名指しはしなかったものの為替政策に問題意識を持っていることをうかがわせた。一方、米国国内で雇用の創出や投資を行う計画を発表した企業を紹介する中で、日本の通信大手であるソフトバンクグループにも触れて「米国に500億ドルの投資を行う。すばらしい」と述べ、日本企業による米国経済への貢献を評価した。
一方、ムニューチン財務長官はドル高について、ウォールストリートジャーナルのインタビューに「短期的には米国経済にプラスでない面もある」と述べ、懸念を示し、「米国経済の力強さを示し、長期的には好ましい」とも指摘した。
税制改革についてはCNBCのインタビューで「議会が夏休みに入る8月までに議会を通過させたい」との考えを示し、「中所得者層の減税と法人税制の簡素化」を優先するとしている。中国を「為替操作国」に認定するかは、4月予定の為替報告書まで判断しないと述べ、中国を為替操作国と断定しているトランプ大統領とは距離を置いた。
このようにトランプ大統領とムニューチン財務長官の間で、「中国を為替操作国と断定する判断は」、現在のところ微妙に食い違っている。
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