【時流】
トランプ米次期大統領・記者会見から見るこれからの動き(1月12日)
米国・ニューヨーク・トランプタワーで次期米国大統領に対しての質疑応答が行われた。「陣営の関係者が大統領選の間、ロシアと接触を図ったことはないと断言できるのか。ロシアがハッキングの背景にあったのであればプーチン大統領に今、何を言いたいか」との質問に対して、トランプ氏は「もうそんなことはすべきでないと言う。今後、ロシアはもっと米国に敬意を払うようになるだろう。もし、プーチン大統領がそうしなかったら、何らかの対策を取らなければならない」と答えた。
その上で、「問題はロシアだけではない。2200万件の口座がこの国でハッキングされている。中国がサイバー攻撃を行っている。それはサイバー攻撃に対する守りがないからそうなる。私はヒラリーと同じようにリセットボタンを押すことはしない。ロシア、中国、日本、メキシコ、全ての国々は米国をこれまで以上に尊敬することになるだろう」と語った。
大統領の職務と自らの事業の利益相反の問題については、2人の息子が会社経営を行うので問題はないと強調した。
また日本について「日本、メキシコ、中国と良い取引ができていない」と発言。今回、冒頭で自動車メーカーが米国に帰ってくることになったと、フィアットクライスラー、フォードといった自動車メーカーの努力を称えた。国境を超えて輸入するものには高い関税をかけなければいけない、それが嫌なら米国で生産しろという主張。日本、メキシコ、中国を名指しで、これから交渉をし直し、米国にとって得のある取引をするというのがポイントだった。さらに、メキシコとの壁について、1年、1年半を待たずに壁を作り始め、あとで必ずメキシコに費用を払わせると強調した。トランプ氏は「最も多くの雇用を作る大統領になる」と主張した。
一方記者をけん制するなど改めてメディアとの対決姿勢を鮮明にした。強固な姿勢はメキシコに対しても。大手自動車メーカーなどはメキシコの工場建設を中止し、国内の雇用を増やす方針を相次いで発表。トランプ次期大統領は「過去最大の雇用を作り出す」と宣言した。しかし選挙中に掲げてきた減税策や経済対策についての具体的な言及はなかった。
トランプ氏の当面の政治的方針と手法は、ここのところのツイッターによる発言や今回の記者会見ではっきりしてきた。日本の立場や企業にも大きな影響を与えるトランプ氏による動きを素早く把握し、適切に対処していかなければ、当面リスク回避が難しいことが明確となったという意味で、この会見の意味がはっきりした。
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