【時流】
プーチン氏の胸の中(12月14日)
ロシアのプーチン大統領の15日からの訪日を前に、各メディアがインタビューを試みたり、取材活動が活発である。
そうした取材から浮かび上がってきたポイントは、「日本を含む欧米によるロシアへの経済制裁」は極めて効果があり、プーチン氏の頭痛の種になっているということである。
「日本がロシアと友好な関係を持とうというのなら日本はなぜ、こうした制裁に加わるのか」と強い憤りを持っているように感じる。
経済が停滞している最大の原因は、この経済制裁にあり、これに与しない中国が特別な友好国ということになる。
日本がこの制裁に加わっているのに、「北方4島を返せ」と言ってもその話には乗れないという心情であると考えられる。
その延長にある「平和条約の締結」についても、「日本が制裁に加わっている現状」を考えれば、何を言っているのだということになる。
安倍首相が仕掛けた今回の「日ロ首脳会談」であるが、そんな状況の中で「北方領土の返還問題」のロシアからの譲歩はあり得ないことであることが分かる。
もし、安倍首相が今回の首脳会談で、北方領土の返還を意図していたとしたならば、それはあまりに無茶な話というほかない。
しかし、日本国民もメディアもこぞって、北方領土の返還の期待が高まってしまっている現状は、どう考えても喜劇というしかない。
有体に言えば、状況判断を間違えているとしか言いようがない。しいて言えば、トランプ米次期政権の動きを見てから、何よりも「米国がロシアに対する経済制裁」を今後どうするかを見極めて、ロシアとの友好関係を構築し、その後「北方領土返還」の交渉をするべきと考える。
今回の日ロ首脳会談では、残念ながら、北方領土の進展は極めて難しいと言わざるを得ない。
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