【時流】
米国・トランプ大統領・イラン核合意離脱表明(5月9日)
米国のトランプ大統領は、イラン核合意から離脱し、イランに対して過去最大級の経済制裁を行うと発表した。
制裁の対象はイラン中央銀行などと取引する外国金融機関、イラン産原油などの取り引きに関与する企業となる。
取引の内容によって90日・180日の2段階の猶予期間となり、期間内に取り引きをやめなければ制裁を科すと警告することになる。
核合意はイランの軍需目的で行っていた核開発を大幅に制限する。見返りに米国げ原油などに関する経済制裁を解除するとしたもので10年ほどかけて交渉を続け、3年前に最終合意に達し、外交で核の拡散を防いだと国際社会に評価された。
しかし、トランプ政権の誕生で状況は一変した。核合意を強く批判し、イラン側も反発した。
イラン国内では核開発を再び加速させるとの声が出ている。ドイツ・メルケル首相など各国首脳は核合意の維持を求めてきた。
フランス・マクロン大統領は、ツイッターに「フランス、ドイツ、英国は米国の決断を残念に思う」と投稿し批判した。
イラン・ロウハニ大統領は、トランプ大統領の判断を強く非難した。
イランとしては核合意にとどまるとして、欧州各国、ロシア、中国と協議を行う方針を示した。
ニューヨーク原油市場は、原油の先物価格が上昇した。
核合意を実現に導いたオバマ前大統領は政治的な遺産と位置づけた。トランプ大統領は秋の中間選挙を控える中、前政権を否定。自らが公約を守る姿勢を捉えたとしている。
今回のイラン核合意離脱からの表明は北朝鮮を念頭に置いたものとみられる。
米国政府高官も首脳会談前、北朝鮮に不十分な合意はしないという米国からのシグナルの強調としている。
ただ今回の離脱でトランプ大統領は「信頼できない指導者だ」と北朝鮮だけでなく関係国にも広がる可能性もある。
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