【時流】
北朝鮮キム委員長・首脳会談提案・トランプ大統領が受け入れ(3月9日)
今月5日北朝鮮・ピョンヤンで、キムジョンウン朝鮮労働党委員長と会談した韓国大統領府・チョンウィヨン国家安保室長らは、ホワイトハウスで米国・トランプ大統領と面会し、キム委員長が米朝首脳会談の開催を提案していることを伝えた。
トランプ大統領は、今年5月までに首脳会談に応じる意向を表明したとのことで、直接会談で北朝鮮の核ミサイル問題の解決につなげることができるのかが今後の焦点となる。韓国大統領府・チョンウィヨン国家安保室長は、キム委員長との会談のなかで「キム委員長が非核化に尽くすと述べ、これ以上の核実験や弾道ミサイル発射実験を控えると誓った」とトランプ大統領に説明したことを明らかにした。
一方、ホワイトハウス・サンダース報道官は、時期や場所については今後決定するとしたうえで、「北朝鮮の非核化を期待している。それまでの間はすべての制裁と北朝鮮に対する圧力の最大化は継続しなければならない」と述べた。米国と北朝鮮の首脳会談は、実現すれば初めてとなる。安倍首相は、米国・トランプ大統領と電話で会談し、北朝鮮への対応を相談するため、来月にも米国を訪問し、日米首脳会談を行うことで一致した。
韓国・ムンジェイン大統領が手放しで歓迎しているのは、まちがいない。
これまでムン大統領は北朝鮮への融和姿勢に対する内外の批判に対して、南北の対話は核問題の解決に向けた米朝対話につながるものだと反論してきた。
現時点で、非核化が具体的に進んだわけではなく、困難な交渉が予想されることは、ムン大統領も認めている。
とりわけ北朝鮮側の軍事的脅威が解消されて体制が保障されるなら核兵器を持つ理由はないという論理は、在韓米国軍の撤収要求という、韓国の安全保障体制に直結する問題につながる可能性があるだけに、今後米国・トランプ大統領と一層緊密に連携する必要がある。
北朝鮮としては、ことし9月の建国70年の節目に向けて、キム委員長の業績づくりと権威づけを図る狙いがあるとみられる。
去年、核武力の完成を宣言した北朝鮮だが、核ミサイル開発に自信を深め、米朝首脳会談に一気に乗り出したとみられる。
実際、非核化に向けてどの程度具体的に動くのかは不透明。北朝鮮は当面、対話姿勢を前面に打ち出して、自らに有利な形で制裁緩和の糸口を探ろうとするとみられる。
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