【時流】
ドイツ・ハンブルグで行われていたG20が閉幕・各国首脳個別会談に重点(7月9日)
ドイツ・ハンブルグで行われていたG20が閉幕した。安倍首相をはじめ、米国・トランプ大統領、ロシア・プーチン大統領、中国・習近平国家主席、ドイツ・メルケル首相、フランス・マクロン大統領、英国・メイ首相など世界の役者が一同に会した。重要な個別会談が数多く行われたことが今回のG20の特徴と言え、中でもトランプ大統領とプーチン大統領の初顔合わせである米ロ首脳会談が注目を集めた。
両首脳の会談は予定されていた30分をはるかにオーバーし2時間15分にも及び、2人の関係が特別であることを世界に知らしめた。ロシアゲート問題発覚以降、ロシアと距離を置いてきたトランプ大統領だが、「あなたに会えて光栄」とプーチン大統領に述べた。会談後、プーチン大統領は「個人的な関係を築けた」などと米国との関係改善に向けた手ごたえがあったことを強調しトランプ大統領を絶賛した。ただ、北朝鮮問題では方法論をめぐって意見は折り合わなかった。もうひとつ注目されたのは2度目の米中首脳会談で、トランプ大統領は、習近平国家主席に対し北朝鮮問題で「何か行動をしなくてはならない」と述べ、圧力を強めるよう強く求めたが、習主席は「両国の間には敏感な問題が存在する」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。G20では他にもトランプ大統領の娘であるイバンカ大統領顧問が移民問題などを議論する時間帯にトランプ大統領の代わりに全体会議に出席し話題を呼んだ。
今回のG20を俯瞰すれば自由貿易VS保護貿易、グローバリゼーションVS自国至上主義、、環境問題重視派VS環境問題非重視派の直接対決の場であった。保護主義的な国としてはトランプ大統領率いる米国の他、メイ首相率いる英国がある。今回の首脳宣言では「すべての不公正な貿易慣行を含む保護主義と戦い続ける」と明記し、自由貿易を妨げる保護主義は認めないという姿勢を示したが、同時に「合法的な貿易保護措置の役割を認める」とするなどトランプ大統領の主張にも配慮した。地球温暖化対策については、米国がパリ協定から脱退したことを指摘した上で「残る19か国は米国抜きで対応を進める」という異例の内容となった。焦点となっていた北朝鮮問題については各国の温度差もあり、盛り込まれなかった。
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