【時流】
G7・隔たりはあるが、本音で討議(5月28日)
イタリアのシチリア島で開かれていたG7サミットは、日本時間の昨夜、首脳宣言を発表。焦点となっていた貿易の分野では“保護主義と闘うというわれわれの誓約を再確認した”と明記された。
当初、米国トランプ政権の意向を踏まえて盛り込まれない方向となっていた保護主義に否定的な文言が、米国側が受け入れたことで盛り込まれた。地球温暖化対策では“米国は気候変動およびパリ協定に関する政策の見直し過程のため合意に参加する立場にない」としたうえで、“米国のプロセスを理解し、ほかの首脳はパリ協定を迅速に実施するとの強固な誓約を再確認する”として、米国を除く6か国で迅速に実施することを再確認したとしている。
首脳宣言で一部の国が参加しない合意が明記されるのは極めて異例。
議長国であるイタリアのジェンティローニ首相は「パリ協定の実施に向け不確実性が残るのは深刻で、米国の貢献が必要だ」と述べた。
首脳宣言では中国の海洋進出を念頭に“緊張を高めるあらゆる一方的な行動に対し強く反対する”としている。中国外務省・陸慷報道官は談話を発表、“あれこれとあら探しをしている”と強い不満を示した。
そして“中国は関係する当事国との話し合いを通じた争いの適切なコントロールと解決に尽力しており、協力して東シナ海や南シナ海の平和と安定を保っている”と主張したうえで、“G7と域外の国が情勢をはっきりと認識し、無責任な言論の発表をやめ、地域の平和と安定のために建設的な役割を果たすことを希望する”とした。
今回のG7を通して、各国がやっと本音で議論をぶっつけることができ、米国との認識の違いもはっきりさせることができ、これからはその溝をどう埋めてゆくかという、議論が本格化することになると思われる。
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