【隅田川シーズンズ】
王子の飛鳥山から名主の滝へ、そこでなんと「カワセミ」の撮影に成功(その218) 8月11日、その日の朝9時頃、JR総武線に乗って、秋葉原経由で北区の王子駅まで行った。
いろんな人々が、思い思いに散策し、グループで空手風の型の練習をしている集団もいた。 北側の端に行くと、落差50メートル位の短距離無人のケーブルカーがあり、それに乗って山を下り街に出た。 暫らく歩くと、頭にターバンを巻いた、ネパール人と思しき50人ほどの集団に出会った。 「ホー、なんだろう?」と呟き、その集団の中を通り過ぎた。 結構坂道の多い町であったが、何とか「名主の滝公園」に辿り着いた。 雰囲気のある、入り口の門をくぐると、鬱蒼とした森に入った。 ビデオカメラを回しながら歩いていると、親切な老人が「カワセミが来ているよ」と教えてくれた。 その老人によると、2週間ぶりに、鬱蒼としたその池にその鳥は舞い降りた様だった。 5年ぐらい前に、「水元公園」で垣間見てから、しばらくその鳥の姿にはお目にかからなかった。 その時も、周りの雰囲気が張り詰めていたのを思い出した。 早速、その鳥を捉えようと、カメラで追って、池の中の岩の上にやっとその鳥を見つけた。 焦げた緑の地に朱塗りのお洒落な色彩のその鳥は、静かに動いていた。 だが、茶色いその眼光は、異様に鋭かった。 きょろきょろしていたかと思うと、急に飛び立った。 「あっ」という間もなく再び、その岩の上に舞い戻ってきた。 その時には、鋭いくちばしに、生きた小魚をくわえていた。 直前の映像には、小魚を仕留めた瞬間の波紋が、水の上に残っていた。 その魚を、くちばしで器用に料理して、一瞬の内に飲み込んでしまった。 「ほー」とため息をつくしかなかった。 暫らく、食後を楽しむと、池の端へと飛んで行ってしまった。少し後を追ったが、行方は知れなかった。 気を取り直し、深い森に分け入って、渓流に沿って、男滝まで遡り、その飛沫を浴びた。 帰り道、王子駅の前で、2台の都電が交差する様子をカメラに収め、その日は帰宅の途に就いた。 電車の中で、早速「カワセミ」の行状を再生すると、野生の怖さが迫ってきた。 Tシャツに、汗がじっとり滲んでいた。僅か3時間の束の間だった。 戻る |