【隅田川シーズンズ】
再び堀切菖蒲園へ、紫と白の優雅さに心が解けてしまう(その155)
ここの菖蒲は、花輪の大きさや色の鮮やかさでは、比類がない程艶やかで、華やかであった。 湿気の多い、季節に咲き、心を和ませてくれる救いの花でもある。 一つの花に注目すると、花芯が真紫で、外側に黄色の花弁があり、外に向かって薄紫の大きな花びらが開き、その中に外に向かって濃い紫の襞が広がっていた。 先へゆくと大きな花びらの先が、微妙にカールしていた。下の方を見ると、青々とした茎がそうした、艶やかな花を支えていた。 この白と紫の世界は、和様に良く似合い、灯篭や水の流れに調和していた。煌びやかな派手さはないが、慎み深い中にそこはかとなく優雅さを秘めたその佇まいは、まさに日本人の美意識にぴったり符合するものなのかも知れない。 今年はまだ、梅雨入りの宣言が出ておらず、この晴天の中に咲き誇る菖蒲の花々であるが、青い空に浮かぶ白い千切れ雲にも、良く似合っていた。 それほどの広さもない、その菖蒲園を後にし、その日は、堀切菖蒲園の駅から日暮里駅に出た。手元のウォッチを見ると27℃であった。 時計は、12時を回ったところであった。 戻る |