荒川と隅田川を分流する「岩淵水門」(その54)
7月3日、その日私は、市川橋を渡り、そのまま蔵前通りを荒川へと走った。
8時45分ごろに出発し、平井大橋を渡ったのが、9時5分ごろだった。
荒川の幅広のサイクリングロードには、もうすでに多くのロードバイカーが所狭しと走っていた。...
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7月3日、その日私は、市川橋を渡り、そのまま蔵前通りを荒川へと走った。
8時45分ごろに出発し、平井大橋を渡ったのが、9時5分ごろだった。
荒川の幅広のサイクリングロードには、もうすでに多くのロードバイカーが所狭しと走っていた。
河原では、野球やサッカーに多くの人たちが、熱中していた。
堀切を通過し、いくつもの橋を潜ると何とはなしに景色が変わってきた。
市川に住んでいると、東京の足立区や荒川区、北区といった場所は、あまり縁がなく遠い存在である。
職場からも、日比谷線や京浜東北線に乗っていかなくてはならず、ましてや川口や戸田といった地名は、日常的なところではないように思っていた。
ところが、サイクリングをすると、そういった遠くに感じていた地名が、すぐそこで目に入り、頭の中の地図が書き直されてゆく。
何か、魔法の力が手に入ってような奇妙な感覚が襲った。
いくつかの橋を通過すると、視界がぐっと広がり、赤い色の水門が見えてきた。岩淵水門だった。
少し手前には、荒川と隅田川を分けている地点が、雄大なパロラマの中に見えた。
その1週間前に、行った利根川と江戸川の分流点は、茫漠な森が広大に広がりはっきりしなかったが、この分流点は至って明瞭であった。
「ここが分流点か」と感慨深かった。
更に荒川を遡ってみた。
赤羽辺りを通過した。下町ぽい街並みが見えた。
戸田橋まで来て、その日は引き返した。途中花を探したがやっと平井大橋の手前で、紫の花に東京スカイツリーが背景が重なったショットが撮れた。
自宅へ着くと12時10分頃だった。3時間余りの旅だった。汗が上下の服をびっしょり濡らせていた。その日も頭の中まで満足感が染み込んだ。
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利根川と関宿城(その53)
6月26日、その日も朝から曇り空であった。
8時30分ごろ自宅を出て、いつものように市川橋を渡り都側の土手を「利根川」を目指して、ひたすら北上した。
1時間ほどで、三郷辺りを抜け、吉川、松伏、そして春日部を通り抜けた。...
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6月26日、その日も朝から曇り空であった。
8時30分ごろ自宅を出て、いつものように市川橋を渡り都側の土手を「利根川」を目指して、ひたすら北上した。
1時間ほどで、三郷辺りを抜け、吉川、松伏、そして春日部を通り抜けた。庄和町辺りで河原に数十人のブラスバンドのチームが練習をしている光景が見えた。迫力あるリズムが聞こえてきた。
1か月ほど前に、宝珠花橋まで行ったので、そこから杉戸、更には利根川と江戸川の分岐点まで行ってみたいと思っていた。
杉戸辺りの広い河原では、数機のグライダーの離着陸に多くの人が携っていた。
スマホで動画を撮ろうとしたら、あっという間に飛び立ってしまって機会を逃した。「残念!」。
言葉を交わしたこの辺に住むという女性も、何度もここにきているのだけれど、飛び立つところを見たのは初めてだと嬉しそうに言った。
目的の分流点は、直だと思っていたが、そこから30分は、走った。
入り組んだ道路を出ると、急に城が見えてきた。関宿城だ。
その辺りが、公園となっていたので一周し、天守閣に登って、目的の分流点を確認した。
筑波山が、遠景に見え川向うは茨木県の境町であった。遥か向こうにうっすらと赤城山や男体山と思しき山景も見えた。
利根川と江戸川の分流点は、だだっ広い森の様相であった。
水不足も影響しているのか、あの大利根を想像していた身としては、思惑が外れた。
帰りは急いだ。ひたすら走った。帰宅してみると午後3時半であった。午前中をサイクリングに充てている習慣から言えば、番狂わせとといったことになってしまった。それにしても利根川との合流点は、意外に奥まって遠かった。
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6月の海辺、葛西臨海公園(その52)
6月19日、6月も半ばに入っているのに、今年は台風の話題をまだ聞いていない。
その日は、市川橋を渡り、江戸川の都側の土手を南下し、クルーザーの係留所を左手に見ながら、旧江戸川沿いに走り、葛西臨海公園を目指した。少し向かい風であった。...
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6月19日、6月も半ばに入っているのに、今年は台風の話題をまだ聞いていない。
その日は、市川橋を渡り、江戸川の都側の土手を南下し、クルーザーの係留所を左手に見ながら、旧江戸川沿いに走り、葛西臨海公園を目指した。少し向かい風であった。
8時半に出発し、9時半ごろには、臨海公園の入り口に着いた。
自転車のハンドルには、その日もアクションカメラを装着していた。
入り口といっても、いつものように正門からではなく江戸川に近いところから入った。
いきなり、こんもりとした森の中に入った。
この季節には、涼やかで森林浴もでき、何か別世界にいるような気持ち良い心持ちであった。
時折、野鳥の観察所があり、大きな望遠レンズを付けたカメラを構えている人々に出会った。
森の中を少し走ると、今度は海に出っくわした。
今日は、潮が引き遠浅の浜が沖の方まで続き、潮干狩りをしている人々が、そこら中に見えた。
潮の香りがぷーんと匂い、海に来た実感が溢れた。
浜辺の向こうには、先だって行った「東京ゲートブリッジ」が遠景に見えた。
ここでは、老若男女がただただ、海を楽しみ、自然の有り難さをむさぼっているようだった。
海の開放感を楽しみ、森を通って再び、旧江戸川をさかのぼり、ポニーアイランドを抜ける辺りで、一輪車を操っている少女3人を見つけた。先週の少女たちではないかと感じた。
アクションカメラを装着しているので、その動きを追ってみた。
懸命にペダルを漕ぎ、曲がる時は、なぜかハンドルから手を放し、カーブを切る。見せ場を作っているのではないかと思った。
その日は、そのまま自宅に帰った。12時近かった。その日も本当に気持ちの良いサイクリングだった。
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