【あの一言】
<NIKKEI編集者が選ぶこの5本>脱炭素転換期・供給維持の難しさ
日本経済新聞編集委員・松尾博文 電力は2010年代、東日本大震災以降、電力自由化が進展する中でそれぞれの電力会社が自分の営業区域を越えて、異業種の人たちが集まり、日本全国に新しい発電所を作る計画が次々と出てきた。ここに脱炭素という潮流に加えて化石燃料に対する資金の供与や融資に非常に厳しい目が向けられていき、どんどん計画が取りやめになっていった。この上に昨今の資源価格の高騰というのが乗っかってきて今回石炭火力発電所が中止になったが、それが天然ガスにも及んできた。新設が滞ることに加え、古い発電所というのもどんどん廃止されている。脱炭素というのは、われわれが向かうべき方向であるとしても再生可能エネルギーが本当に力を得て日本の暮らしの主力となるにはもう少し時間が必要。その間10年~20年、電力を安定供給するためには化石燃料をうまく使っていかざるを得ないし、必要とされる発電所には投資をしていかざるを得ない。そうしたことが確実にできる仕組みが必要になってくる。
2022/06/14 BSテレ東[日経ニュースプラス9]
日本経済新聞編集委員・松尾博文 われわれは脱炭素に向かうエネルギーの転換期の最中にある。エネルギーの転換期にその供給を維持することの難しさというのがある。ガソリンや軽油といった石油製品を扱う銀行が減っている。脱炭素の潮流で石油製品の需要が右肩下がりに減っていくことが予想されている。そのため今までのように日本全国に製油所を維持していくということが難しくなっている。その余剰分の能力をどうするのかということだが、出光興産副社長は「これで終わらない」ということを言って(他の製油所を止めることも示唆して)いた。
2022/06/14 BSテレ東[日経ニュースプラス9]
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