【あの一言】
<グローバルアイ>インド・ASEAN巡り米日豪と中ロ綱引き
日本経済新聞客員編集委員・脇祐三 インドにはある種のそろばん勘定が働いている。欧州の制裁でロシア産原油の引き取りがなくなり、余っている。それをインドが大幅なディスカウントで買っている。6月には130万バレルぐらいまでいっているのではないかという推計もある。インドにとってはインフレ加速を抑え、景気回復を進めるための経済政策であり、政府が後押ししている。インドがロシア産原油の輸入を増やすことで、結果的にロシアから世界市場への石油のフローが保たれ、これが世界の極度の需給ひっ迫を回避できる一因になっているという見立てもある。一方、米国は制裁の尻抜けを防ぐためにロシアに協力的な第三国への制裁を考えているが、中国だけでなくインドも対象にするかどうかは政治的に難しい。ロシア原油輸入の背景に各国のいろんな計算が複雑に絡み合う地政学が展開されている。
2022/06/13 BSテレ東[日経モーニングプラスFT]
日本経済新聞客員編集委員・脇祐三 日米豪の連携に対抗する形で中国は太平洋の島嶼国との関係を強めようとしている。今年ソロモン諸島と結んだ安全保障協定では「セキュリティ面を全部中国に委ねるのか」というリアクションを周辺国から呼び起こしてしまった。その結果、最近の王毅外相の地域歴訪の時には島嶼国の方から中国と距離を置く動きが出てきた。一方でクアッドサミットから帰ってきたばかりの豪州のアルバニージー新首相が、インドネシアに行きジョコ大統領と会談し、秋にバリ島で開く「G20の首脳会議には出席します」と約束した。今回のG20はプーチン大統領が出席するということで各国がどうするかが注目されている中で、いち早く出席を確約したことで豪州がASEAN、インドネシアとの関係を重視していることを示唆している。
2022/06/13 BSテレ東[日経モーニングプラスFT]
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