【あの一言】
米国高官「台湾独立支持せず」一方で中国をけん制
元外務事務次官・立命館大学客員教授・藪中三十二 あまり日本では注目されなかったが、これは日本にとっても大変重要な問題。7月6日にカートキャンベルが「台湾独立支持せず」というようなことを言った。その前日、7月5日には麻生副総理が「台湾海峡の平和と安定が大事」と言った。それ以来、日本の中では台湾有事が起きたらどうするかを日本は考えておく必要があるということで、いつ米中の戦争が起きても不思議ではなく、そうなると日本も戦闘に巻き込まれるので、当然日本は米国と一緒にやる必要があるというムードが出てきていた。そういう中で米国はバイデン政権になってからも台湾に国務長官を派遣したりして、台湾側もなんとなく独立に前向きな感じになっていた。そのムードを作り上げてきた張本人のキャンベルが、「ひとつの中国というのは当然守る」「台湾独立は支持せず」と言った。曖昧な戦略というのをずっと米国は台湾について持ってきたが、これは台湾に何かあった時に米国が台湾を守るんだとはっきり明言しないというやり方だった。これをキャンベルは変えないと言っているに等しい。日本はその辺の動きをよく見ておかないと日本だけが先走って、背中を押していた米国が梯子を外しているということになりかねない。
2021/07/11 TBSテレビ[サンデーモーニング]
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