【あの一言】
徹底分析・日米首脳会談・問われる日本外交
慶応義塾大学教授・白井さゆり クアッド・日本、米国、オーストラリア、インドが非常に重要になる。豪州は資源国で、インドは中国の次の経済大国。それからASEAN諸国も重要で、特に日本を非常に信用しているシンガポールとかフィリピンとかインドネシアと外交関係、信頼関係を築いていくことが大事。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
慶応義塾大学教授・白井さゆり 2016年に米国でグローバルマグニツキー法ができた。EU、英国、カナダも成立させ共同で新疆ウイグル自治区に対して制裁を課している。日本も超党派議員が人権制裁法を言っている。菅義偉総理大臣もバイデン大統領に日本のやり方を説明し、理解を得たと言っているので、今のところ、そういう制裁をやらないで日本は言うべきことを言っていくということになる。問題はESG(環境・社会・ガバナンス)投資で、欧米を中心とする機関投資家の人たちが頑張っている人たちに投資しようとESG投資でお金の流れを作っている。この中の社会のところがまさに人権であり、ここをチェックするようにという動きをしてきている。その結果、欧米の非常に有名な衣料品・スポーツ用品企業などが中国で大変なボイコットに遭って売上が相当減るなど非常に難しい問題が起きてきている。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
日本国際問題研究所理事長・元駐米大使・佐々江賢一郎 自由民主主義、人権という基本的価値を米国など欧米諸国も共有してきた。問題は具体的アクション。日本はやや抑制的な対応をしている。天安門事件でも日本で議論があった。状況が深刻になれば日本もいずれ具体的な行動で措置を取る局面が出てくる。そうならないよう中国にしっかりものを言うことが必要。中国との関係を維持しながらもメッセージを伝える必要がある。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
慶応義塾大学教授・白井さゆり 再生可能エネルギーの導入が一番多かったのは中国で、世界の半分以上。再生可能エネルギーの発電設備容量は40%もある。水素の製造も進んでいる。圧倒的な市場の大きさでこのままいくと世界は(環境分野でも)中国依存になる。レアアース、レアメタルもそうだが中国以外の民主主義・自由という価値観を共有しているところから自分たちで調達、リサイクルをすることが重要になってくる。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
慶応義塾大学教授・白井さゆり やはり半導体が非常に重要。自動車とか、再生可能エネルギーとか気候変動、デジタルとかAI、ITすべてにわたって半導体が必要になっている。今回コロナによって自動車需要だけではなく巣ごもりでパソコン需要が高まって著しく半導体が不足した。半導体を一番生産して圧倒的に強いのが台湾、次に韓国、米国。安全保障面でも半導体でも台湾は重要。米国や日本で自前で半導体を作りたいが無理なので台湾を招致して製造していこうとしている。再生可能エネルギーでもデジタルでも安全保障、ありとあらゆる分野でものすごく中国のプレゼンスが高まっていて、半導体も1年以内に国際化すると言っている。その脅威があるので中国に依存しすぎないサプライチェーン体制を日米主導でやっていきたいという強い決意を(今回の日米首脳会談から)感じた。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
日本国際問題研究所理事長・元駐米大使・佐々江賢一郎 中国に頼らない体制を民主主義国家で作ろうと共同声明に書いてある。これはある意味、デカップリング。これだけ広範囲な関係がある中国と経済で完全にデカップリングするのは非現実的だが、戦略的な分野では友達の間で自給自足でやっていけるようにしようというのが(日米首脳会談での)強いメッセージだった。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
学習院大学教授・江藤名保子 習近平政権が2022年の党大会において第三期に入るのか入らないのかという政治的に非常に大きなターニングポイントを迎えようとしている。国内で権力闘争が徐々に激しくなる段階で習近平は自分の権力を固めたい。この中で台湾問題をどのように位置付けて処理しようとするかという点がポイント。建党100周年というのが今年7月に予定されていて、来年には党大会があるまでに、おそらく米国や日本との関係を非常に悪くするようなことは起こさないというインセンティブの方が強く働くかもしれない。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
東京大学准教授・佐橋亮 今回、米軍司令官が敢えて(中国軍の台湾侵攻に)言及した背景には、中国が6年以内に軍事力で、米軍の作戦が展開される前に台湾侵攻をやってしまうのではないか、それだけの能力を持つのではないかという計算がある。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
慶応義塾大学教授・白井さゆり 中国への依存度が高まっている。実は中国と世界の関係を見ると中国に対して世界が依存する形がコロナ前より強くなってきている。例えばマスクとか医療品、必需品については自国で生産すると言いながらも中国から米国への輸出が増えてきている。中国依存が変わってない。わざわざ追加関税を適用除外にして米国は中国から医療品、必需品を輸入している。これは米国だけでなく世界も同じことが言える。中国に向けた輸出は日本とかドイツではコロナ危機前をはるかに超えている。そのおかげで成長ができている。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
東京大学准教授・佐橋亮 佐藤総理とニクソン大統領が1969年に台湾について触れた「台湾条項」は沖縄返還前の非常に深い文脈があるものだが、今回、これに敢えて触れたというのは歴史に立ち戻る必要はなく、それぐらい強い意思を台湾について日米両政府が確認したということで画期的なものだった。米国の中で台湾に対し中国が近い将来行動を起こし抑止が破綻するのではという恐怖心が非常に高まっており、今後の課題は台湾に対する具体的な計画を日米両政府が作っていく段階に来ている。
2021/04/18 NHK総合・東京[日曜討論]
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