【あの一言】
<ニュースの本質に向き合う“時事論考”>米軍が警戒“台湾有事”どうする日本
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 東西冷戦の時とは異なり、米中対立では日本自身の利益がものすごくある。日本の役割というのがさらに大きくなる。中国は日本にとって最大の経済的パートナーでもあり、米国は日本の同盟国。はたしてこれをどういうふうに組み合わせていくのか、日本からしてみればものすごく大事な課題。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 日米安保条約の中に6条事態というのがある。5条は日本が攻撃を受けた時、例えば尖閣に日米が共同で防衛にあたるもの。6条事態というのはより大きな極東の平和と安全に関わる時に米国が日本の基地を使い、極東の平和と安全を守るもの。6条事態になると沖縄の基地とか日本の国内にある基地から台湾海峡での軍事行動のために実際に戦闘機が飛んでいく。台湾の平和と安定は日本の安全に直結するので、朝鮮半島とか台湾については(6条事態が適用されることは)大いにありうる。その時に日本には巻き込まれるという覚悟が必要で、関与しないで済むということにはならない。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 台湾海峡の安定を望むというステートメントは全然おかしなものではない。ただ、それを(共同声明に)入れることが中国を刺激し、牽制することは間違いない。今の状況でそれをやることが適切かどうかはきちんと判断した方がいい。ただし、いったんこれが新聞に出てしまった以上、なかなかこれをやめるというわけにはいかないかもしれない。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
前統合幕僚長・河野克俊 外交的に処理をして、中国がそういうことをしないようにさせることが大前提。それでもなおかつ、中国がやってきた場合に日本はどうするかを考えておく必要がある。日本人には災害でもそうだが、最悪のシナリオを考えることを避ける傾向がある。中国が台湾に侵攻し軍事的にとった場合、民主国家・台湾があそこに存在してくれていた方が日本の国益にとってはプラス。あのあたりのシーレーンを中国がコントロールするようになれば日本の国益を害することになる。もし戦端が開かれた場合、台湾を見捨てるという解答は日本にはなく、国益のために救うという選択になる。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 2プラス2の時でもそうだったが、台湾海峡の安定というのが日米にとって極めて重要。ここのところはよほど気を付けて見ていないと米国の台湾に対する立場、日本の台湾に対する立場、いずれも大陸中国と国交正常化をやった時に中国は「台湾は中国の一部だ」と言ってきたが、これに対し米国は「了知する」と言った。日本は「ひとつの中国」という政策を持っているということを理解し、尊重すると言った。しかしながら米国も日本もこの問題については平和的な解決が必要だと言っている。仮に軍事的な侵攻をかけるというようなことがあった場合には米国も日本も然るべき行動をとるということを明らかにしている。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 日本と米国は同盟国ではあるが、100%利益が一致するわけではない。日本は日本の戦略を持って米国との会談に臨むべき。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
日本総研研究所国際戦略研究所理事長・田中均 米ソ冷戦の時、フロントラインとなったのは欧州だった。そこではNATOという同盟機構が主要な抑止力となった。ところがこれからの10年、20年、30年で一番大事になるのは米中対立。日本はそのフロントラインとなる。米国にしてみれば日本との防衛関係なしでは中国と向き合えない。だからできるだけ日本の協力を得たい。日本を最重視して首脳会談をやろうとしているのもそういうロジック。
2021/04/04 BS朝日[BS朝日 日曜スクープ]
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