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2024年05月06日(月)
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【あの一言】
揺らぐ習近平・長期政権への道・秘密会議の暗闘
解説委員・加藤青延
中国国内ではこのところ、盛んに米国との対立や戦いを題材にした映画の上映が奨励され、反米宣伝が行われている。中国がもし本当に米国と断絶することになれば、人々の暮らしにも大きな影響が出る。今回の北戴河会議で習近平主席は、中国が今後どん底の暮らしに陥っても踏ん張れるという底線思考の重要性を強調し、一致団結を呼びかけることで求心力を保とうとした。一方、習近平主席の続投を望まない長老や指導者たちは、10月の中央委員会総会でポスト習近平を担う若手の政治局員を最高指導部に昇格させようと画策したとの情報も伝えられている。習近平の側近で上海のトップ李強政治局員と、李克強首相と同じ共青団出身の胡春華政治局員がその有力候補ともいわれている。低線思考によってどん底まで意識し始めた中国の思想、政策は、習近平が当初から掲げる中華民族の偉大な復興という輝かしい夢からは遠ざかり始めているようにも見える。これまでは一強他弱といわれた習近平指導部の絶大な求心力にもどこか陰りが見えてきたのではないか。
2020/08/21 NHK総合[時論公論]

解説委員・加藤青延
今回の北戴河会議では、会議が始まって早々、外交責任者が次々と米国に関係改善を呼びかけた。評判の悪い戦狼外交をとりあえず封印して、関係改善のシグナルを送った。今月6日、まず王毅外相が国営通信社を通じて「中国は衝突や対立ではなく相互尊重、ウィンウィンの精神で米国側と協調協力安定の関係を築きたい」と表明。7日には外交担当の楊潔チ政治局員が「対話の窓は常に大きく開かれている」として、軍事交流や新型コロナウイルス対策などの協力を呼びかける署名入り文書を発表した。ところが米国はそれを無視するかのように、アザー厚生長官を台湾に訪問させ、蔡英文総統と会談させるなど揺さぶりをかけた。これには習近平指導部もかなり当惑したよう。党内の強硬派からは、米国系企業の中国市場からの締め出し、台湾への武力行使など、極端な対抗策を掲げて立ち向かうべきだという意見も出されたと言われている。中国は、アザー厚生長官が蔡英文総統と会談したのと同じ10日に、香港で突然、中国に批判的な新聞リンゴ日報の創始者、黎智英や香港民主の女神ともいわれる女性活動家の周庭ら10人を、国家安全維持法違反の疑いなどで逮捕するという暴挙に出た。これは、世界の目を引き付ける大きなニュースを香港で引き起こすことで、米国と台湾の会談を目立たせなくさせる意図があったのではないかという見方も出ている。
2020/08/21 NHK総合[時論公論]

解説委員・加藤青延
北戴河会議は、習近平ら現役の指導部と、胡錦涛ら引退した幹部、いわゆる長老たちが渤海湾に面した避暑地で党の指導方針や政策などをめぐって意見を交わす会議。例年、まず8月上旬に北戴河会議を開いて政策の大筋を固め、その結果を踏まえて秋の中国共産党中央委員会総会の開催が決まるという段取りが普通だったが、ことしは習近平指導部が北戴河会議の開催前に早々と中央委員会総会を10月に開くと決めてしまい、しかも、そこで来年からの5か年計画に加え、2035年までの長期目標も打ち出すことを明らかにした。習の独走で長老のメンツは丸つぶれになったといえる。しかし実際には会議の日程が思いのほか長くなり、延々と議論が交わされたもよう。それは習近平体制が、かつてないほど深刻な内憂外患の局面に陥り、ほぼすべての権限を独占してきた習近平の責任を問う声が想像以上に大きかったということを意味している。
2020/08/21 NHK総合[時論公論]

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