イラン政府は先週、核合意を大幅に逸脱する濃縮度２０％のウラン濃縮を始めたと発表し、緊張が高まっている。
出川展恒解説委員は「イランが２０１５年に主要国との間で結んだ核合意では、濃縮度３．６７％までのウランの製造は認められている。これは原発用の燃料に相当する。イラン・ロウハニ政権はトランプ政権への制裁への対抗措置として４．５％まで引き上げていた。さらに２０％まで引き上げたことで、核合意が結ばれる前の濃縮度に戻したことになる。技術的には９０％に引き上げるのに時間はかからないとみられ、国際社会に危機感が広がっている。来週新政権を発足させるバイデン次期大統領に対し、速やかに核合意に復帰し、制裁を解除するよう揺さぶりをかける狙いがある。今年イランでも大統領選挙がある。バイデンはイランが核合意を完全に守るなら復帰するという立場。このままでは核合意は崩壊し、制裁解除の可能性を自ら断ち切ることにもなりかねない。トランプ大統領やイスラエル・ネタニヤフ首相はイランの核開発を軍事力を使ってでも阻止したいと考えている」とスタジオで述べた。