米国では、新型コロナウイルスによる経済規制が解除され経済が回復しつつある今、感染リスクが高く敬遠されてきた飲食業界では、賃上げによる雇用確保が増える傾向にあるという。
5月13日付
『AP通信』は「従業員が待ち望んでいた、飲食業で賃上げ」との見出しで以下のように報道している。
米国ではコロナ禍の規制が緩和される中、雇用増につなげようと飲食店業界で賃上げが行われている。アマゾン、ウォルマート、コストコに続き、マクドナルド、コンビニ「Sheetz」、メキシコ料理店「チポトレ」が、最大時給15ドル超への賃上げを行っているという。
マクドナルドは、650店舗での賃上げを発表。...
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5月13日付
『AP通信』は「従業員が待ち望んでいた、飲食業で賃上げ」との見出しで以下のように報道している。
米国ではコロナ禍の規制が緩和される中、雇用増につなげようと飲食店業界で賃上げが行われている。アマゾン、ウォルマート、コストコに続き、マクドナルド、コンビニ「Sheetz」、メキシコ料理店「チポトレ」が、最大時給15ドル超への賃上げを行っているという。
マクドナルドは、650店舗での賃上げを発表。2024年までに平均15ドルとする(試用期間の従業員は11ドル)。アマゾンは新規雇用者の時給は17ドルとし、7.5万人の新規採用を見込むとしている。米中西部に展開しているコンビニチェーン「Sheetz」は、8万人を対象に時給あたり2ドルの賃上げを行うと発表している。
それでも尚、レストラン、バー、ホテル、小売店は最も賃金が低い業界のままである。そしてそこで働く人々はリモートワークもできず、コロナ感染リスクを背負いながら働かざるを得ない。また、企業が余剰労働コストを上乗せし価格を上げれば、賃上げによりインフレが加速する可能性もある。業界によってはオートメーション化により、賃上げコストや投資を吸収できる場合もある。
新型コロナウイルスによる死者や感染者が激減した州や市町村では、規制を緩めつつある。オンライン予約システムを手掛けるソフトウェア会社「OpenTable」によると、フロリダ、ネバダ、テキサス州等では、飲食店の経営状態はコロナ禍前と同等かそれ以上に好調のところもあるという。雇用全般が低迷した4月でも、飲食業、ホテル、エンターテインメント業界は、賃金上昇が功を奏し前月の3月より雇用者数が上昇した。このように、飲食業界全般で賃上げがコロナ禍前と同じ成長トレンドに戻ったといえ、この傾向は今後数か月続くと見られている。
同日付米国『CNN』は「マクドナルドで一部の従業員に限り賃上げ」との見出しで以下のように報道している。
他の飲食業に続き、人手不足解消をねらい、マクドナルドは時給にして約10%上昇となる賃上げを発表。しかしこれはスタッフのごく一部だという。初歩レベルは時給11ドル~17ドルとなる。(マネージャーは最低でも15~20ドル)店舗での時給は2024年までに平均して15ドル上昇となる見込み。これは米国の店舗の僅か5%となる従業員36万人が対象で、残る95%はフランチャイズ契約で、独自の給与体系となる。
これはバイデン大統領や多くの民主党議員が支持する最低賃金にあたる。飲食店が営業を再開する中、求人が増加しており、マクドナルドは今夏1万人の雇用を目指しているという。しかし、飲食業界の新規雇用は非常に難航しており、厳しい状況である。経営側によると、これまでの雇用条件では以前と同じように人は集まらないという。そのため低賃金で知られる飲食業界では人を確保するため、賃金を引き上げているところもある。
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