バイデン米大統領は初の施政方針演説で、「米国は再び動き出した」と新型コロナウィルス対策の成果を誇示した。一方、世界で最も重要で偉大な国になる野心を抱く中国との競争力強化を求めるものの、インド太平洋での米国の軍事的プレゼンスは、中国の対立を求めてのものではないと強調し、ロシアとの関係悪化も求めてはいないとの姿勢を示した。
4月29日付米国
『CNBC』は「“(世界で重要な国になることに)恐ろしい程真剣”な中国との競争力強化を求めるバイデン氏」との見出しで以下のように報道している。
バイデン大統領は、ワシントンで行われた施政方針演説で、緊張関係が高まりつつある中国との対立に国民の協力を求めた。演説の一部では原稿にない発言で、「中国の習金平主席は中国が世界で最も重要で尊敬されるべき偉大な国になることに恐ろしい程真剣だった」とし、オバマ政権下の副大統領時代に、習氏と共に旅し24時間以上も議論をした時の話を持ち出した。...
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4月29日付米国
『CNBC』は「“(世界で重要な国になることに)恐ろしい程真剣”な中国との競争力強化を求めるバイデン氏」との見出しで以下のように報道している。
バイデン大統領は、ワシントンで行われた施政方針演説で、緊張関係が高まりつつある中国との対立に国民の協力を求めた。演説の一部では原稿にない発言で、「中国の習金平主席は中国が世界で最も重要で尊敬されるべき偉大な国になることに恐ろしい程真剣だった」とし、オバマ政権下の副大統領時代に、習氏と共に旅し24時間以上も議論をした時の話を持ち出した。そして習氏や「他の独裁者は21世紀の民主主義はコンセンサスを得るのに時間が掛かり過ぎるため、専制主義に対抗できないと考えている」と述べた。
政治分断が増している米国では、対中国では、歩み寄りよりも強硬姿勢を示すことが民主党と共和党の間での合意となりつつある。米中の緊張関係は、トランプ前大統領時代に高まった。バイデン氏は中国に圧力を加えつつ、同盟国との協調路線を模索してきた一方で、関税や制裁を継続する等トランプ氏の路線も貫いてきた。
またバイデン氏は演説で、米国は電気自動車バッテリー、バイオテクノロジー、コンピュータチップ、クリーンエネルギーなど未来の製品や技術を開発しなければならず、この政策が米国の雇用につながると強調した。しかし、対中競争やインド太平洋での米国の軍事的プレゼンスの目的は、中国の対立を求めてのものではないと強調した。
中国との企業関係を調査する「Strategy Risks」創設者のIsaac Stone Fish氏は、バイデン政権では、トランプ政権よりも、中国と「協力して」気候変動に対応する可能性がより大きいとするが、両国の緊張関係は続くと見ている。同氏は政治でなく、企業や投資家が米国の製造業の雇用の中国流出の原因を作ったのだと述べている。
同日付中国『CGTN』は「中国、ロシアとの対立は求めていないとバイデン氏」との見出しで以下のように報道している。
バイデン米大統領は29日、議会上下院本会議での初めての施政方針演説で今後の外交方針に関し、中国やロシアとの対立は求めていないと述べた。バイデン氏は「米国が再び動き出した」とし、コロナ対策法案や100日で2億回のワクチン接種を達成したことなどの成果を並べた。過去数年、貿易、人権、香港特別行政区、新疆、台湾問題を巡り中国と米国の緊張関係が高まっている。
バイデン氏は演説で、ロシアとの関係悪化も求めていないと述べた。就任3か月でこれまで米選挙への介入やハッキング行為を理由にロシア政府高官らに制裁を科したが、ロシアとの関係安定を求め、ウラジミール・プーチン大統領との第三国での首脳会議を提案していた。演説では気候変動や新戦略兵器削減条約(START)での協力を求めている。
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