イタリアで新型コロナウイルス対策のための飲食店や店舗の営業停止が長引いている。レストランのオーナーやホテル関係者たちは、閉店したままでは生きていくことが出来ないとして、「Io Apro」(私は開く)運動を繰り広げるようになった。ローマでは、店舗の即時再開を要求するデモが2週連続で行われている。
フランス政府のラジオ放送局
『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)』は、7日に行われた第一回目のデモについて、「ローマの中心部、下院議会の前では、自由と労働を求めて100人ほどのデモ隊が集まり、政治当局に対する暴力的な反乱の前兆となる可能性のある憤慨を感じた。」と伝えている。
トレビの泉の近くのホテルとレストランのオーナーである男性は『RFI』に対し、客の93%が外国人観光客であるが、1年以上も閉店になっていると話した。年間50万ユーロ(約6500万円)の維持費に対し、5万ユーロ(約650万円)の援助しか受け取っていないという。「4月に再開しようと思っていたが、政府は拒否した。世界の大国たちは、イタリアを飢えさせて、我々の企業を安く買い叩こうとしている。このウイルスは茶番劇だ。」と述べた。
小さなオーガニックレストランのオーナーであるエレナさんは、「Io Apro」(「私は開く」)運動に賛同し、8日から政府の営業禁止令に違反する覚悟で、店を開くという。エレナさんは、「昨年は600ユーロ(約8万円)の助成金を2回受け取った。それ以来、何も受け取っていない。だから、再開する。(政府は)私たちの話に耳を傾けなければならない。」と語った。
イタリアのホテル・レストラン業界団体の推計によると、イタリアのホテル・レストラン経営者の30%が倒産の危機に瀕しているという。
フランスの公共メディア『フランスアンフォ』によると、ミラノ、ナポリ、パレルモで行われてきたデモが、7日、首都ローマでも開かれた。ローマでレストランを経営しているアルドさんは、「個人的には6月まで持ちこたえられるが、何も残らないだろう 」と語っている。アルドさんは、この業界では、「40%はすでに廃業しており、20%は一生分の借金を抱えており、40%がまだ残っている。大惨事だ、もう駄目になりそうだ。」と訴えている。
イタリアのバー・レストラン業界では、平均して4人に1人が職を失っており、その4分の3は40歳以下だという。
12日付けの『フランスアンフォ』の記事によると、12日に行われる予定であったデモ行進は、政府当局が禁止した。デモに参加しようとしていた700人ほどが移動中に警察によって足止めされたため、100人ほどしか集まることができなかった。
デモに参加した男性は、「警察は私に罰金を科したり、起訴したりすることはできても、私のデモを行う権利を奪うことはできない」と述べた。「私は51歳の父親だ。死ななければならないのなら、奴隷としてではなく、自由な市民として死にたい。」と訴えた。
シチリアのレストランオーナーの代表を務めるロベルト・トゥディスコさんは、「私たちは、死んだ人間がまだ歩いているようなものだ」と話している。「政府は1年前から私たちの仕事を奪い、手当てを与え、休業すれば面倒を見ると言っている。しかし、資金がもう底をついた。私たちは飢えている。市民が飢えると、もはや制御できなくなる。」と説明している。
現在「Io Apro」(私は開く)運動は、4月20日からの完全な営業再開を要求している。政府が承諾するまでデモが継続される予定となっている。
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