日本とドイツの外務・防衛閣僚会合(2プラス2)が初めて開催され、中国対峙を想定した“自由で開かれたインド太平洋”構想推進で合意した。日独伊三国同盟(注1後記)以来の両国の軍事連携であることもあってか、欧米メディアも注目して一報している。
4月13日付
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本とドイツ、中国対抗のため初の防衛協議開催」
日本とドイツは4月13日、インド太平洋地域において一方的に勢力拡大を図っている中国に対抗していくため、両国間での軍事的連携を強めていくことで合意した。
両政府は今年3月、日本・ドイツ情報保護協定(注2後記)を締結しているが、これに基づいて、この程、外務・防衛閣僚会合(いわゆる2プラス2)をオンラインで開催した。...
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4月13日付
『ワシントン・ポスト』紙(
『AP通信』配信):「日本とドイツ、中国対抗のため初の防衛協議開催」
日本とドイツは4月13日、インド太平洋地域において一方的に勢力拡大を図っている中国に対抗していくため、両国間での軍事的連携を強めていくことで合意した。
両政府は今年3月、日本・ドイツ情報保護協定(注2後記)を締結しているが、これに基づいて、この程、外務・防衛閣僚会合(いわゆる2プラス2)をオンラインで開催した。
日本外務省の公式発表によると、4閣僚は、東・南シナ海で繰り広げている中国の一方的な領有権主張のみならず、香港や新疆ウィグル自治区における人権問題についても“重大な懸念”を抱いていることを確認したという。
ドイツは近年、インド太平洋地域への関与を強めていて、今回の日本との会合を踏まえて、東アジアにフリゲート艦を派遣する用意があると表明した。
日本側としても、両国共同軍事訓練の実施や、北朝鮮による制裁破りの洋上瀬取り行為の監視活動への協力が得られるとして歓迎している。
日本と米国が主導している、“自由で開かれたインド太平洋”構想の実現化によって、同地域で勢力を拡大している中国に対抗していこうとしていて、両国にオーストラリア・インドを加えた四ヵ国戦略対話(クワッド会議)が動き出している。
そして、中国対峙の目的で、これに同調する他国の参画も図ってきていた。
ドイツは昨年、アジアにおけるプレゼンスを高めていくとの方針を表明しており、それに基づいて、今回の日本側との具体的協力体制の確認に繋がっている。
同日付『ロイター通信』:「日本、ドイツとの共同海上演習開催を提案」
日本政府は4月13日、ドイツが今年後半にアジア地域に派遣するフリゲート艦と、共同海上演習を実施することをドイツ側に提案した。
これは、当日開催された“2プラス2会合”で示されたもので、両国はかねてより、アジア地域で勢力を拡大している中国の活動について懸念してきており、両国が更に具体的に連携する一環での活動となる。
ドイツ政府高官は先月、今年8月にフリゲート艦をアジアに向けて派遣するとし、その航行途上、ドイツ軍艦として2002年以来初めて南シナ海を横断することになると表明していた。
なお、当該会合にオンラインで参加した茂木敏充外相(65歳)・岸信夫防衛相(62歳)、及びハイコ=マース外相(54歳)・アンネグレート=クランプ‐カレンバウアー国防相(58歳)は、東・南シナ海における中国主張の領有権問題及び軍事的活動についても共通認識を持ったとしている。
(注1)日独伊三国同盟:1940年9月にベルリンで調印された日独伊三国間条約(軍事同盟)。ヨーロッパ戦争、日中戦争に参戦していない国(主に米国を想定)からの攻撃に対する相互援助を約した。第二次世界大戦における枢軸国(連合国と戦った諸国)の原型となり、その後複数の枢軸側に与した国や友好国も加盟(フィンランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、タイ等)。
(注2)日本・ドイツ情報保護協定:日独両政府が今年3月に合意・署名した、安全保障上重要な情報を共有し、漏洩を防ぐための情報保護協定。防衛装備や部隊運用などの情報を共有し、装備品輸出や共同訓練などをしやすくすることが目的。
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