3月4日付
『ロイター通信』:「“自由は挑戦してこそ得られる”として、世界の女性たちが2021年に望むこと」
3月8日(月)は、IWDが記念日とされて110周年を迎える。
今年の活動目標が“挑戦することの決意”であることから、世界のあらゆる分野の女性にインタビューして、彼女らが対峙する挑戦や希望について語ってもらった。
●リリー・バン(ミャンマーの大学2年生):新型コロナウィルス(COVID-19)感染問題の影響で、2020年から学校が閉鎖となっているため、再開を望む。しかし、現下の軍事政権下では勉強したくなく、一日も早く軍事政権がなくなることを切望。
●ヘイリー・アーセノー(29歳、小児ガンを克服し、現在テネシー州在セント・ジュード小児研究病院に勤務。今年後半、スペースX社のインスピレーション4計画(注2後記)に選抜):2021年に全女性に望むことは、希望を持ち続けること。
●能條桃子(22歳、学生活動家):東京大会組織委員会トップだけでなく、その他企業・政界等々様々な分野で女性リーダーが登場すること。そして、女性の声が間違いなく社会に活かされること。
●カミール・アントン(フィリピン・マニラのソフトプログラムのライセンス認証機能を創作・運営する会社の創業者兼CEO):科学技術の分野での差別等を打ち破ること。特に、成長が著しいが主に男性によって牛耳られているIT産業界で若い女性が活躍すること。
●リリー・ウェインリーブ(26歳、ニューヨークの葬儀管理士):女性ばかりでなく、トランスジェンダー(生まれながらの性に、性同一性が順応していない人)、ノンバイナリー(自身を男性とも女性とも認識していない人)等、性的マイノリティの人たちも含めて、尊重して権利の擁護をしていくこと。
●ビニータ・シャー(オーストラリア・シドニー在住の服飾学校卒業生でクィディッチ(注3後記)プレーヤー):これまで、女性だからできないとかやってはいけないと言われてきたことに挑戦すること。
●石問(シー・ウェン、36歳、北京のフィットネス・スタジオ経営者兼インストラクター):COVID-19問題下、自身のスタジオ経営が続けられること、また、スタジオの全生徒が困難に打ち勝って教室に戻ってくること。
●フィデラ・フランコ(49歳、ペルーのアマゾン熱帯雨林居住のシピボ・コニボ部族出身の芸術家):先住民の女性として認知され、かつ、女性に対する暴力が減少すること。
●ズハル・バヤット(アフガニスタンのボウリングチーム代表メンバー):女性の権利が侵されず、また暴力被害にも遭わないこと。
●スネトラ・バンダラナイケ(77歳、世界初の女性首相シリマボ・バンダラナイケ(1916~2000年)の長女):スリランカは世界初の女性首相を生み出したが、60年後の現在、議会には僅か5%の女性議員しかいない状況。従って、議会でも企業でも、もっと多くの女性幹部の登場を切望。
●キミア・アリザデー(22歳、イランのテコンドー選手):東京オリンピックで金メダルを取ること。
●クリステン・ジュン(46歳、シンガポール屋台市場内の基記麺家(ジジ・ヌードルハウス)オーナー):女性の権利がもっと擁護され、認知されること。
●ラスルーバ・セルバラージュ(マレーシア・クアラルンプール病院医師):特にCOVID-19患者に対応する医療従事者の女性がもっと強くなって、家族や多くの国民のために感染症に打ち勝っていくこと。
●フリーダ・ゲレーラ(50歳、メキシコシティ在住の活動家・ジャーナリスト):国内のフェミサイド事件(女性・少女を標的とした男性による殺人事件)根絶を願うとともに、女性に平等の権利が与えられること。ともかく、これ以上女性たちを殺さないよう切望。
●ルル・マリンタン(27歳、インドネシア・ジャカルタのバイクタクシー運転手、2児の母):今は、性別に関係なく世界中からオンラインを通じて様々な情報が入手可能であるから、女性であることで引け目を感じて欲しくない。
●アニーラ・モハンマド・アスラム・アニーラ(パキスタン・カラチのローラーブレードを履く警官):自由は挑戦してこそ得られるものなので、今年こそ女性の自由の権利が広く認知される年となることを希望。
●ラナ・アブ・ヒジェ(57歳、パレスチナの地方コミューニティ開発・援助担当責任者):アラブ人女性もパレスチナ人女性も、また世界中の女性にとっても、自由及び重要な決定に関わる権利、更に平等に扱われる社会となること。
●金姸姫(キム・ヨニ、23歳、韓国のソフトウェア・エンジニア):富裕層や女性を狙ったディープフェイク(人工知能にもとづく人物画像合成の技術を用いた捏造画像)等のサイバー犯罪の撲滅。
●クアコウ・マザン(21歳、コートジボワール・アビジャンの漁師):男性が、どんな職業でも就業中の女性を敬うこと。
●ヨギタ・バヤーナ(インド・ニューデリーの人権活動家):NGO「インドの強姦犯罪反対運動」を展開しているが、今年こそ少女・女性への性暴力犯罪がなくなり、また、全ての加害者がきちんと罰せられること。
●マリーネ・マイオラーノ・デルマ(35歳、パリ在住のモデル):女性や性的マイノリティの声が聞き届けられること、また、女性に対する暴力沙汰の減少。
●ジーナ・イブラヒム(レバノンの活動家、女性擁護運動創設者):レバノンでは女性や子供に対する法律的擁護が不平等な事態が日常的に発生しており、IWD記念日を制定するだけでは全く不十分で、現段階ではIWDを祝うことは不可能。
●アナ・ローラ・ゴンザレス(アルゼンチン・ラプラタのサン・マーチン病院集中治療担当医):専門職においても男性と同等に評価されること。
●ヤスミン・サイカ・パーシャ(バングラデシュ警察副署長代理):世界中の女性が自信を持って多くのことに挑戦するよう希望。
●タリ・フリードマン(45歳、イスラエル・エルサレムの料理学校創設者、4児の母):世界中の女性の能力は場合によって男性より優れているので、臆することなく挑戦していって成功を収めるよう期待。
●サハ・アルバザール(エジプトの国会議員):今年こそ、世界中の女性が官公庁でも私企業においても責任ある地位に就いて活躍することを切望。
●マルタ・レマート(41歳、ポーランドの女性ストライキ権獲得運動創設者):女性を毛嫌いする政権が牛耳る国で、女性の権利・人権・民主主義及び平等法の制定を求めて活動中で、警察・軍隊・政府の役人・独裁者、更には女性を毛嫌いする人たちに負けないように運動を継続。
●メルセデス・クイスプ(ボリビア・ラパスのバス運転手):先住民族アイマラ(インディオの一部)出身で伝統衣装を誇りに思う。今年こそ、女性を辱める行為、差別、不平等な扱いがなくなることを切望。
●セイラン・エイツ(57歳、ドイツ人弁護士・作家・イスラム教徒):世界中の女性が自由で自決権を持った生活を送れる社会に期待。
●サンドラ・サンチェス(39歳、スペインの空手家、オリンピック代表選手):世界中の女性が個人的に成長するだけでなく、社会的にも認知されて世界がひとつになることを切望。
(注1)IWD:女性の解放と生活権擁護の実現、更には、平和で幸福な社会の建設をめざす国際的記念日。1904年3月8日にニューヨークで開かれた勤労婦人の参政権要求集会に由来し,1910年の第二インターナショナル(1889年パリで結成された、各国社会主義政党の連合組織)大会で決定。日本では1923年に最初の集会が東京神田で開かれたが,1時間足らずで解散させられた。なお、国連が1975年、この日を「国際女性デー」と制定。
(注2)スペースXのインスピレーション4計画:米宇宙開発企業のスペースX(2002年設立、本社カリフォルニア州)が企画・運営しようとする宇宙旅行計画。若手起業家ジャレッド・アイザックマン氏(37歳)が資金提供し、彼以外の3人を民間人から選抜して行われる、民間人4人だけの乗組員によるミッション。
(注3)クィディッチ:映画「ハリーポッター」で行われた架空のスポーツで、魔法の箒に跨って空中でボールを取り合い、ゴールするゲーム。現実的には2015年、グランドの上ながら、箒に跨って行う欧州選手権が開催され、2016年には世界大会も開催される程発展。
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