米グーグルは21日、フランスの報道機関に対し「ニュースの使用料」を支払うことに同意した。一方オーストラリア議会が審議しているグーグルやフェイスブックに対するニュース使用料支払いを求める法案に対しては、グーグル側がオーストラリアでのインターネット検索機能を停止する可能性を示唆した。
フランス国際放送局
『RFI』によると、グーグルとフランスの総合情報プレス同盟(APIG)は21日、数ヵ月にわたる激しい交渉の末、オンライン大手からのデジタル著作権料支払いへの道を開くことを目的とした枠組みに合意したことが発表された。今後フランスのメディアは、「著作隣接権」に基づきインターネット検索でニュースコンテンツを表示するための著作権料をグーグルやフェイスブックに要求することが可能になる。グーグルは、各報道機関と使用料の支払いについて個別に交渉を進め、公開されるコンテンツの量や月間のネット視聴者数などの基準に基づいて算出することになる。
APIG代表で金融紙「レゼコー」社長でもあるピエール・ルエット氏は、今回の合意は「出版社の著作隣接権が効果的に認められ、デジタルプラットフォームによるオンライン出版物の利用に対する報酬が開始されたことを意味する」と述べている。グーグル・フランスのセバスチャン・ミソフ社長は、今回の合意により「新しい展望」が開かれると述べている。
フランスのマスコミは、2019年末に米デジタル大手が著作隣接権を踏みにじっていると非難していた。著作隣接権は、新聞社や通信社の利益のために、デジタル収入のより良い分配につながるものとしてEU理事会が策定したものである。
一方で日刊紙『ルモンド』によると、グーグルは22日、オーストラリアがグーグルに対しオーストラリアメディアへのニュース使用料を支払うことを強制する場合、オーストラリアのインターネットユーザーが検索エンジンを使用することを禁止すると脅した。
オーストラリア政府は、財政的に困窮しているメディアと、広告収入のかなりの部分を独占しているネット大手、とりわけグーグルとフェイスブックとの関係を管理するための「拘束力のある行動規範」となる法案の策定に取り組んでいる。世界で最も厳しい規制の一つとなるこの法案は、違反した場合に数百万ユーロ(1億円以上)の罰金が科され、フェイスブックの「ニュースフィード」やグーグル検索を対象としている。
オーストラリアのスコット・モリソン首相は、グーグル側が検索エンジンサービスを停止する可能性に対して、「オーストラリア国内で何を行うことが出来るのかについて、オーストラリア自身がルールを策定する。そのルールを作るのが議会である」と述べ、「そのルールに準じてオーストラリアで働きたいと思っている人は大歓迎だ。脅迫には屈しない。」と反論している。
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