3週間余り前の前回報告時より、世界の感染者は1,535万人余りも増えて8,960万3,838人に、死者も28万人近く増えて192万6,228人(致死率はほぼ横ばいの2.1%)となっている。各国の直近の状況は以下どおりである(米ジョンズ・ホプキンズ大の1月10日午後2時現在の集計データ引用)。
1月9日付
『AP通信』他:「COVID-19感染流行問題に関わる直近の状況」
<ハイライト>
●インド:1月中旬、医療従事者等必要不可欠な業務に就く人たち約3千万人を対象とした、同国最初のワクチン接種開始。
●英国:一日の死者1,325人の最多記録更新もあって死者総数がいよいよ8万人超え。
●ドイツ:アンゲラ・メルケル首相(66歳)にとって任期最終年ながら、感染抑制策が奏功せず、一方、追加行動制限措置への不満の声は高まる一方のため、受難の年の幕あけ。
●メキシコ:一日の感染者1万6,105人、死者1,135人といずれも最多記録更新。
●カナダ:ケベック州で50万円近い高額罰金を科す夜間外出禁止措置発令。
●イスラエル:最初にワクチン接種を受けたベンヤミン・ネタニヤフ首相(71歳)が2回目の接種。
●日本:野党代表らからは、緊急事態宣言発出が遅いだけでなく、制限対象も中途半端で効果が期待できないと猛批判。
●バチカン市国:フランシスコ教皇(84歳、アルゼンチン出身)が、全国民にワクチン接種が可能となるよう手当て済みと表明。
<インド>(感染者1,045万1,346人、死者15万1,048人、致死率1.4%)
・保健省は1月9日、医療従事者等必要不可欠な業務に就く約3千万人の市民を対象に、1月16日より同国初のワクチン接種を開始すると発表。
・次に対象となるのが、50歳以上及び基礎疾患のある人たち約2億7千万人。
・先週、医薬品局が英オックスフォード大・アストラゼネカ共同開発のワクチンを緊急承認し、更に国内バラット・バイオテック(1996年設立の製薬会社)製ワクチンも承認済み。
<英国>(感染者301万7,409人、死者8万868人、致死率2.7%)
・1月8日の死者が1,325人と最多記録更新。その結果、死者総数が8万人超え(イタリアを抜き欧州最多)。
・国内の病院でのCOVID-19感染患者の医療体制がひっ迫していて、ロンドン市長も1月8日、市内医療体制危機状態と表明。
<ドイツ>(感染者191万4,328人、死者4万1,061人、致死率2.1%)
・メルケル首相は今年の任期満了での政界引退を表明しているが、昨年半ばまでうまくいっていた感染症抑制対策が、冬季の訪れとともに深刻度が増し、追加抑制政策を施すものの、行動抑制措置に不満を抱く市民の声が高まっており、受難の年の幕あけ。
・従って、今年9月に予定されている総選挙で、与党連合の勝利に暗雲。
<メキシコ>(感染者152万4,036人、死者13万3,204人、致死率8.7%)
・1月8日の感染者1万6,105人、死者1,135人といずれも最多記録更新。
・専門家によると、感染症検査が不十分であるため、実際の死者は18万人超と推測。
・1月8日接種の6,722人含めて、これまでに約7万5千人がワクチン接種。
・一方、患者数最多のメキシコシティでは、病床の90%が埋まる程極限に近い状態。
<カナダ>(感染者65万2,473人、死者1万6,833人、致死率2.6%)
・ケベック州(人口約840万人)のフランソワ・ルゴール首相は1月9日、当日夜から実施の夜間外出禁止措置について、感染拡大抑制のための止むを得ない措置だと釈明会見。
・同措置によると、今後4週間、午後8時から翌朝5時の間の外出を禁止とし、違反者には最大6,000カナダドル(4,728ドル、約48万7,000円)の罰金を賦課。
・なお、対象外となるのは、医療従事者等必要不可欠な業務に就く人、犬を散歩させる人、及び診療予約等治療行為を受ける必要のある人のみ。
<イスラエル>(感染者48万5,434人、死者3,645人、致死率0.8%)
・先月、同国で最初にワクチン接種を受けたネタニヤフ首相が1月9日、2回目の接種。
・同国は、ワクチン手当てを迅速に行っていたが、1月8日より3度目の都市封鎖措置開始(期間は少なくとも2週間)。
・なお、これまでに1回目のワクチン接種を受けたのは全体の20%近くに上っていて、同首相は1月9日、全国の成人全員が3月末までに接種できるようワクチン手当て済みと強調。
<日本>(感染者27万3,154人、死者3,932人、致死率1.4%)
・野党は、政府が重い腰を上げて再度導入を決めた非常事態宣言再発出が、余りにも遅すぎる上に、制限措置も中途半端と一斉に非難。
・更に、重症にならない限り、感染症検査は受けづらく、しかも費用が高いとも批判。
・立憲民主党の枝野幸男代表(56歳)は『NHK』のインタビューに答えて、“非常事態対応は最悪の場合を想定して行うべきなのに、政府は依然楽観的”だとコメント。
・日本維新の会の片山虎之助共同代表(85歳)も日本共産党の志位和夫委員長(66歳)も、1月8日発出の非常事態宣言について、対象地域が限定的な上に、期間も短かすぎると批判。
<バチカン市国>(感染者29人、死者0)
・フランシスコ教皇は1月9日、イタリアテレビ局『メディアセット』(1978年設立、本社はミラノ)のインタビューに答えて、来週からワクチン接種が始まり、かつ全市民用のワクチンを手当て済みとコメント。
・更に同教皇は、“ワクチン接種は道義的義務である”とし、“何故なら、自身の健康・生命のみならず、他者に対しても同様の祈りを捧げているから”だと付言。
・当該ワクチンは、カトリック教会では禁忌とされる、堕胎の工程の組織から取り出した細胞株を使用するため、ワクチン接種の可否が不確かであったが、同教皇が初めて公に肯定。
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