欧州では、人間が宇宙に残してきたゴミ(スペースデブリ)を掃除する第一歩が踏み出された。欧州宇宙機関は1日、スイスの新興企業と契約を結び、2025年に宇宙のゴミを撤去する世界初のミッションを遂行することを発表した。
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『フランスアンフォ』によると、欧州宇宙機関(ESA)は、人間が宇宙に残した残骸を取り除く「ミッション・アドリオス」に乗り出した。ESAは初の試みとして、2013年以来地球の上を回っているロケットの残骸を拾い、撤去する、ゴミ収集機の「クリアスペース1」を開発する。プロジェクトを担当するのはスイスの小さな会社「ClearSpace」で、すべてがうまくいけば、2025年に打ち上げられる予定となっている。
ゴミ収集機は、4本の腕と4本の触手を持つ衛星サイズの装置となる予定で、ヨーロッパが開発したかつての「ベガロケット」の残骸、100kg以上もの重さがある破片をキャッチすることを使命とする。この収集が成功すれば世界で初めてとなる。無重力状態の宇宙空間では、モノに触るとそれが飛んで行ってしまうため、ゴミ収集機はまずその4本の腕で瓦礫を取り囲み、その後4本の触手を閉じることでゴミを囲い込む予定だ。その後、大気圏に突入させて摩擦で燃やすことを想定している。
ESAによると、今日では23,000個以上の大小さまざまな破片が宇宙空間を飛んでおり、監視の対象とされている。9月、国際宇宙ステーションは、地球上をさまよっているこれらの破片との衝突を避けるために、今年3回目の位置変更を余儀なくされている。
ハイテク専門ニュースサイトの仏『O1ネット』によると、ClearSpace社は、こうした宇宙のゴミを撤去していくための新しい技術を開発するコンソーシアムを主導していく予定だという。プロジェクトには、スイス、イギリス、チェコ、ドイツ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデンの8カ国が参加する。マイクロソフトも、社会起業家向けプログラムを通じて支援を提供していく予定だ。しかし、ESAは今回の「クリアスペース1」プロジェクトの一部のみを負担するため、ClearSpace社は追加の資金を集める予定となっている。
宇宙には、捨てられた人工衛星、ロケットの破片、ソーラーパネル、使わなくなったボルトなど、60年前から様々な廃棄物が飛んでいる。寿命の短い巨大な衛星群の形成で、宇宙のゴミ問題がさらに深刻化することが予想されている。こうしたゴミはすべて時速2800kmで地球を周回しているため、他の衛星や国際宇宙ステーションとの衝突の可能性が懸念されている。
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