フランスメディアは、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画をめぐるトルコ、エルドアン大統領のフランスに対する強硬な姿勢は、大統領が中東での存在感を高めることを目的としていると報じている。
『フランス24』によると、トルコのエルドアン大統領は、イスラム教の守護者のように振る舞っているが、イスラム教過激派へのフランスの姿勢に対する反発とボイコットの呼びかけは、大統領自身の威信を高め、中東のライバル国に不利益を被らせるための言動であると複数の専門家が述べている。
エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の指導者を含む地域のライバルたちは、今もアラブ・イスラム世界に向けた同大統領の呼びかけに対してコメントを控えている。...
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『フランス24』によると、トルコのエルドアン大統領は、イスラム教の守護者のように振る舞っているが、イスラム教過激派へのフランスの姿勢に対する反発とボイコットの呼びかけは、大統領自身の威信を高め、中東のライバル国に不利益を被らせるための言動であると複数の専門家が述べている。
エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の指導者を含む地域のライバルたちは、今もアラブ・イスラム世界に向けた同大統領の呼びかけに対してコメントを控えている。エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦は、エルドアン大統領が進めようとしているイスラム主義に対するフランスの強硬路線に同意しており、イスラム主義は自国の安定への脅威であると考えているためだ。
米国ジャーマン・マーシャル財団のアンカラ事務所ディレクターのOzgur Unluhisarcikli氏は、エルドアン大統領の風刺画に対する強い反発は、敬虔なイスラム教徒として「誠実」な反応だったとする一方で、フランスに対する強硬な姿勢によって、トルコ国内に対しておよび国際的に利益を得ようとしていると指摘している。 「西側の指導者と対立することで、国民の間で、トルコやイスラム教徒に対する西側の傲慢さに挑戦する指導者としてのイメージアップにつなげられる」と説明している。そして、エルドアン大統領が「イスラム教を守る」という点で、大統領ほど強く出ることのできない「サウジアラビアや首長国連邦などの指導者たちに対する、イスラム教市民の不満を高める」ことを目的としているという。
トルコの専門家であり、パリの国際戦略関係研究所(IRIS)の副所長であるディディエ・ビリオン氏は、エルドアン大統領は、サウジアラビアやエジプトなどの伝統的な強豪がいなくなったことで引き起こされた「中東の戦略的空白」を利用して、この地域での役割を高めようとしているとの見方を示している。同氏は「大統領はこの状況を利用して、中東地域で自分の影響力を伸ばそうとしているのではないか」と指摘しており、「欧米人に対して頭を下げない人として見せたい 」と思うと述べている。
モンテーニュ研究所の中東専門家であるモイジ氏は、『20ミニュット』のインタビューで、エルドアン大統領のマクロン大統領に対するあからさまな批判には、大きく分けて2つの理由があると語っている。まず、国内の状況があるという。トルコでは大統領と与党の人気が停滞しており、新型コロナウイルスの収束の見通しがたたない中、経済危機にも面している。こうした国内問題から世論をそらすために、フランスに対する攻撃的な姿勢を取っているという。
さらに国際面では、西側諸国に対するイスラム教の強力で確固たる声として見られることを望んでいる。現在、シーア派のイランとスンニ派のトルコの間で、イスラム世界での指導的立場を取るための対立が起こっているという。アラブ諸国の一部がイスラエルとの国交正常化に舵を切る中、トルコは原理主義者のカードを出していくことでリーダーシップを取ろうとしている。
ではなぜイスラム系少数民族を再教育のために施設に送っている中国の製品はボイコット運動をしないのか?モイジ氏は、エルドアン大統領はもともと攻撃的で直球を投げてくる気質の人であり叩く相手を必要としていたと指摘している。フランスはちょうど弱まっているように見え、攻撃しているという。アメリカ、ロシア、さらには中国などの強国に対しては、反撃が怖くて強く出ることが出来ない。しかし、その中でフランスは最も安全に攻撃を仕掛けることが出来る相手として見ているのではないかという。
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