厚生労働省が今年6月に公表した2019年出生数は、1899年の統計開始以来最低の86万5,234人(前年比▼5万3,166人)となった。一方、総務省の同月発表では、“令和婚ブーム”を追い風に、婚姻数は59万8,965組(同+1万2,484組)と7年振りに増加に転じた。しかし、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題が最も深刻だった5~7月の婚姻数、妊娠数とも前年同期比大幅減少となったことから、少子高齢化が進む日本の経済規模縮小、これに伴う社会保障システムの機能低下が益々深刻化すると、欧米メディアが報じている。
10月27日付
『ロイター通信』:「COVID-19感染流行で日本の人口減少問題が更に深刻化」
日本は世界の中で最も高齢化が進んだ国であり、2050年までには全人口に占める65歳以上の高齢者比率が35%以上と予想されている。
この結果、日本の経済規模の縮小化やこれに伴う財政規模の圧縮が避けて通れないとみられる。
しかし、更にショッキングなニュースとして、COVID-19問題が深刻だった今年5~7月の間の婚姻数及び妊娠数が、前年同期比それぞれ▼36.9%、▼11.4%と大幅減少していることが判明した。...
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10月27日付
『ロイター通信』:「COVID-19感染流行で日本の人口減少問題が更に深刻化」
日本は世界の中で最も高齢化が進んだ国であり、2050年までには全人口に占める65歳以上の高齢者比率が35%以上と予想されている。
この結果、日本の経済規模の縮小化やこれに伴う財政規模の圧縮が避けて通れないとみられる。
しかし、更にショッキングなニュースとして、COVID-19問題が深刻だった今年5~7月の間の婚姻数及び妊娠数が、前年同期比それぞれ▼36.9%、▼11.4%と大幅減少していることが判明した。
日本の慣習上、婚姻後の妊娠・出生が大半を占めることから、婚姻数の減少が即出生数の減少につながる恐れが見込まれる。
坂本哲志少子化担当大臣(内閣府特命担当大臣、69歳、自民党衆議院議員)は10月23日の記者会見で、“COVID-19問題に伴い、多くのカップルが子供を持つことに不安を感じてしまったとみられる”と表明した。
第一生命経済研究所(1997年設立)の熊野英生首席エコノミスト(53歳)は、“これは大変深刻な問題で、将来への不安感から婚姻、更には子供を持つことを逡巡することとなり、益々経済規模縮小に拍車がかかってしまう”とコメントした。
2019年の日本の出生数は、前年比▼5.8%減の86万5千人となり、史上最低値を記録したことから、安倍晋三首相(当時)は、“国家的危機”と呼んだ。
しかしながら、今回のCOVID-19問題で出生数の低下が益々深刻化する見通しとなっている。
日本小児科学会は、COVID-19問題で出生率低下が10年以上早まったとみられるとした上で、小児科診療の減少に留まらず、もっと深刻な問題をもたらすことになると警鐘を鳴らしている。
国際通貨基金(IMF、1945年創設)は、COVID-19後の2021年の世界経済成長率を+5.2%としているが、日本のそれは+2.3%と予測している。
熊野首席エコノミストは、人口減少問題から日本の成長率が低くみられることになっていると分析している。
『日経新聞』が直近で22人のエコノミストにアンケート調査したところ、大半が日本の経済規模は2024年以前にはCOVID-19前のレベルに戻ることはないと予想しており、この結果、結婚に対する逆風が益々強くなると示唆している。
為政者は危機対策を急ぎ進めようとしていて、不妊治療を保険適用可としたり、新婚カップルへの補助手当支給額を60万円(5,726ドル)に倍増したりと懸命に取り組んでいる。
ただ、前少子化担当大臣の松山政治参議院議員(61歳、自民党)は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“出生数低下によって、悲観的な問題が多く予想される”とした上で、“最も深刻なのは、社会保障システム等現在進められている政策が、機能低下に陥ってしまうということ”だと嘆いている。
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