シンガポールでは来年から、顔認証システムによって納税ができ、400以上のデジタル・サービスの利用が可能になるという。顔認証システムの日常生活への浸透が加速化していく中、悪用されることへの懸念の声も上がっている。
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『NBCニュース』によると、シンガポールではすでに、世界で最も先進的なデジタル版マイナンバー「SingPass」を導入しており、「SingPass」を使用して、確定申告や公営住宅の申請など400以上のデジタル・サービスを利用できるようになっている。
この「SingPass」が顔認証で利用できるようになることで、400万人の国民は、パスワードを覚えなくても、いつでもどこでも、顔認証だけで行政サービスにログインできるようになる。...
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『NBCニュース』によると、シンガポールではすでに、世界で最も先進的なデジタル版マイナンバー「SingPass」を導入しており、「SingPass」を使用して、確定申告や公営住宅の申請など400以上のデジタル・サービスを利用できるようになっている。
この「SingPass」が顔認証で利用できるようになることで、400万人の国民は、パスワードを覚えなくても、いつでもどこでも、顔認証だけで行政サービスにログインできるようになる。
顔認証機能の導入は、シンガポール政府が2014年より国を挙げて取り組んでいる24億ドル(約1863億円)の「スマートネーション(スマートな国家)」構想の一環だ。データ認証システムの導入、センサーネットワークの構築、キャッシュレス決済システムの導入など、政府のオンラインサービスを刷新してきた。
『MSN』によると、シンガポール当局は、顔認証技術は写真やビデオ、または録画再生やディープフェイクではなく、本人であることを認識できるという。顔認証技術はここ数年で急激に進歩しており、現在最も一般的に利用されているのは、スマートフォンのロック解除の時だ。中国では、顔認証技術によって、群衆の中の個人を識別するために使用されてもいる。
シンガポールでも顔認証が将来的に他の用途に応用される可能性がある。例えば、学生本人が必ず試験を受けに来ているかどうかの確認、あるいは港湾検査などでの導入、など様々な活用法が考えられる。
『NDTV』によると、マイナンバー制度での顔認証システムの導入は、シンガポールが世界初の国となる。プライバシー擁護派は、プライバシーの侵入が起こる可能性があり、悪用されやすいシステムでもあると警鐘を鳴らしている。
確かに顔認証技術は、利用が拡大しているにもかかわらず議論の的であり続けている。たとえば、法執行機関が大規模な集会で群衆をスキャンしてトラブルメーカーを探し出すなど、倫理的な懸念が残っている。また、シンガポール当局は、あらゆる反対派や批判的な声を弾圧しているとして、頻繁に非難されており、人権活動家たちは政府がどのようにこの顔認証技術を使うのかを懸念している。
シンガポールのフリージャーナリスト、キルスティン・ハン氏は「監視やデータ収集を利用する政府の権限には明確な制限を設けなければならない」と述べている。「もしかしたら、収集されたデータが同意なしに警察や機関の手に渡っていたことが発覚する、という日が来るかもしれない」と不安の声を上げている。
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