かねて報じたとおり、東南アジア諸国においても、経済成長に連れて環境問題を深刻に捉えるようになり、例えば先進国からの資源ゴミの輸入を禁止する動きが出ている。それと同時に、自国もしくは近隣国から廃棄されたペットボトル等のプラスチックゴミによる環境破壊にも真剣に取り組むようになっている。下記はそのうちのマレーシアの取り組みについての報道である。
9月18日付
『ロイター通信』:「マレーシアのプラスチックゴミ対策、ビーチから市内ショップまで拡大」
マレーシアのリゾート地のティオマン島(南シナ海南端)では毎週末、ボランティアによるホワイトサンドのビーチに打ち上げられたプラスチックゴミの清掃活動が行われている。
ただ、ボランティア団体によれば、回収したプラスチックゴミは燃やしたり地中に埋めるより、可能な限りリサイクル事業に回して、自動車部品から家具等への再生品に作り替えることが望ましいという。...
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9月18日付
『ロイター通信』:「マレーシアのプラスチックゴミ対策、ビーチから市内ショップまで拡大」
マレーシアのリゾート地のティオマン島(南シナ海南端)では毎週末、ボランティアによるホワイトサンドのビーチに打ち上げられたプラスチックゴミの清掃活動が行われている。
ただ、ボランティア団体によれば、回収したプラスチックゴミは燃やしたり地中に埋めるより、可能な限りリサイクル事業に回して、自動車部品から家具等への再生品に作り替えることが望ましいという。
海洋ゴミのリサイクル事業に携わるNGOシーモンキー・プロジェクト創設者のシドニー・スティーンランド氏は、“今日では何でもプラスチックで包装されるので、プラスチックゴミは増えるばかり”だとした上で、“プラスチックの使用をまず止める、としない限り、ゴミ回収やリサイクリング活動は終わりが見えない”と嘆いた。
マレーシア南部ジョホール州本拠のヘン・ヒアップ社は、同国の海洋ゴミを回収してリサイクルに回す事業を展開している。
同社創設者のシーア・キアン・ホー氏は、“海洋汚染問題は深刻化してきているので、当社は海洋プラスチックゴミの回収、再利用に重点を置く事業に注力している”と語った。
環境対策活動を続ける世界自然保護基金(WWF、注後記)は今年初め、マレーシアの他中国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムのアジア計6ヵ国合計で、世界の海洋に廃棄されるプラスチックゴミ年間約800万トンの60%を占めている、との報告書をリリースしている。
そして同報告書の中で、マレーシアは、年間一人当たり16キログラム(35ポンド、約51万トン)のプラスチックゴミを廃棄している、と記載されている。
かかる事情から、マレーシアにおける環境対策が民間ベースでも展開されている訳だが、
ヘン・ヒアップ社で再生されたペレット(プラスチックの成形材料)は、地元の家具メーカーなどに販売されている。
その一社のキアン社(クアラルンプール本拠)のブランド家具企画マネージャーのイレーン・リン氏は、“当社が製造している椅子ひとつひとつが、元は私たちが出したプラスチックゴミから再生されたものだということを良く理解しており、今後もリサイクル事業に関わっていきたい”とコメントした。
(注)WWF:世界最大規模の自然環境保護団体である、1961年設立の国際NGO。ニューヨーク本拠。生物多様性を維持しつつエコロジカル・フットプリントを減らし、総じて地球一個分の暮らしを目標とするのが、WWFの活動方針としている。具体的な活動分野は気候変動、森林保全、海洋保全、水産物管理、綿花や砂糖などの農産物、水など多岐にわたり、人間の持続可能な環境づくりが活動の中心になっている。
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