信用保険会社のユーラーヘルメス社は、世界における大企業の倒産件数が第2四半期に倍増したという憂慮すべき結果を発表した。更にドミノ現象による中小企業への影響も警告している。
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『キャピタル』によると、新型肺炎の世界的流行による経済活動の停止や需要の落ち込みで世界的に大企業の倒産が増えているという。大企業とは、売上高が5,000万ユーロ(約62億円)を超えている企業を指しており、ユーラーヘルメス社によると、第2四半期に世界で発生した大企業の倒産件数は前年同期比2倍となっている。2019年第2四半期には73件だったのに対し、2020年の同じ期間に147件を記録している。
同時に、倒産企業の累積売上高は1069億ユーロ(約13兆円)に達しており、昨年同時期に比べて138%増加したと指摘している。
世界全体で見ると、経済危機の影響を最も受けているのが、流通業だという。第2四半期に37件(前年同時期+27件)の大企業が倒産している。次いでサービス業が24件(+17件)、エネルギー業が17件(+8件)、自動車業13件(+12件)となっている。
経済危機の影響を最も受けている地域は欧州で、昨年よりも33件増の64の倒産件数。次いで北米が36件増の52の倒産件数となっている。
『レゼコー』によると、今回の世界的な経済危機で、今年はより規模の大きい企業が倒産しているという。
ユーラーヘルメスの業界リサーチ部門の部長、マキシム・ルメール氏は「経済活動停止による危機というのは、多くの大企業にとってその構造的脆弱性を加速させる役割を果たしており、今もそうした影響を受け続けている」と説明している。
しかし予想に反し建設業は影響を概ね免れており、倒産件数は昨年と比べても変化はあまり見られない。また最も安定している有望な業界は、化学、技術、医薬品業界となっている。
地理的には、欧州(64件)と北米(52件)で倒産が最も集中している反面、アジアでの倒産件数は20件にとどまっている。
しかしユーラーヘルメスは、こうした現状はまだ始まりにすぎず、2020年後半により多くの債務超過が発生すると予想している。
同社のルメール部長は「大企業の倒産の増加の背後には、ドミノ倒しの恐れが隠れている」と警告している。 企業の生産チェーンが壊れ、下請業者やサプライヤーが弱体化する可能性があり、未払いの請求書によって倒産する恐れがあるためだ。
倒産は2019年から2021年の間に、事業規模関係になく世界で35%、フランスでも25%増加すると予想されている。
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