ドイツのアルトマイヤー経済・エネルギー相とフランスのルメール経済・財務相は4日、オンライン共同記者会見で、欧州のクラウド・データインフラストラクチャー構想「ガイア-エックス(Project GAIA-X)」のスタートを発表した。同プロジェクトは、欧州のための安全で信頼できるデータインフラストラクチャーを整備することを目的とし2021年初旬にサービスを開始する予定だという。
『ルフィガロ』は、フランスとドイツが、米国と中国の地政学的緊張関係や新型コロナウイルスがもたらした危機を通して、欧州企業がデータ管理権を回復できるようにすることの緊急性を確信したと報じている。
4日に正式にスタートを切ったプロジェクト「ガイア‐エックス」は、長期的な目標としては、欧州発のデータインフラストラクチャーを構築し、アメリカや中国のクラウドプロバイダーに代わるものを企業に提供することだ。...
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『ルフィガロ』は、フランスとドイツが、米国と中国の地政学的緊張関係や新型コロナウイルスがもたらした危機を通して、欧州企業がデータ管理権を回復できるようにすることの緊急性を確信したと報じている。
4日に正式にスタートを切ったプロジェクト「ガイア‐エックス」は、長期的な目標としては、欧州発のデータインフラストラクチャーを構築し、アメリカや中国のクラウドプロバイダーに代わるものを企業に提供することだ。
数年以内に、多くの欧州企業が提供しているサーバーとサービスを規模に関係なく用いることによって、データの提供、保存、接続、共有が可能な真の「欧州のエコシステム」を作り上げようとしている。
『ラクロワ』によると、ここ数ヵ月間のテレワークの普及により、多くの企業で仕事のデータをリモートで「クラウド」に保存することへの必要性が高まった。しかし、こうしたデータ保存はアマゾン、マイクロソフト、アリババ、グーグル、IBMなど、主にアメリカと中国のデジタル・ジャイアントによって支配されているため、データセキュリティに関する懸念を引き起こしているという。
2018年の米国の連邦法であるクラウド法成立によって米諜報機関は米企業に対し、自国の領土以外でも自社のサーバーに保存されたデータの提供を強制することができるようになった。そのためヨーロッパの国々ではこうした懸念がますます深刻になっている。
今回の共同プロジェクトでは、ドイツから11社、フランスからも11社が参加する予定だ。「ガイア‐エックス」は、欧州の新しい産業政策の開発の一環として、データの共有を通じて企業間の相乗効果を促進する狙いがある。インダストリー4.0(第4次産業革命)、自動車産業、航空、エネルギー、健康などの主要産業を中心に40ほどの活用事例が検討されているという。
新しいプラットフォームでは、新しい市場においてストレージプロバイダーと欧州企業を結び付け、欧州企業のデジタル・ジャイアントへの「戦略的依存」やアメリカ企業の市場支配による価格変動のリスクを回避するのが狙いとなっている。
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